集中豪雨
集中豪雨 (しゅうちゅうごうう,英:Torrential rain)は限られた地域に短時間に集中して降る大雨をいう。日本の気象庁は「同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨。」と定義している。
名称[編集]
気象用語である。1953年(昭和28年)頃から使われ始めたという。単に「豪雨」ないし「大雨」とも呼ばれるほか、奇襲を行うゲリラになぞらえて「ゲリラ豪雨」と呼ばれることもある。
概要[編集]
日本の豪雨の大きな特徴は、多量の雨が広い領域に降るのではなく、100km四方以下の領域に数時間から1日位の時間に多量の雨が集中して降ることである。これの原因となる線状降水帯は長さ50kmから300km、幅は20kmから50kmである。梅雨の時期や9月に多く見られる。雨量の基準は特にないが、100mmから数百mmの雨量とされる。
原因[編集]
積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことにより、組織化した積乱雲群により、線状降水帯が数時間にわたり同じ場所を通過または停滞して長時間滞留し、大雨が特定の地域に集中する。
災害[編集]
土石流、河川氾濫による洪水。陸地に降った雨のほとんどは河川に流入するが、高地に降った雨は河川の上流で石を侵食し、これを下流域へ運搬し、下流域で堆積する。この、侵食、運搬、堆積を河川の三作用という。豪雨によって河川に流れ込む水の量が増えて河川の流速が速まると、河川の運搬力が大きくなる。運搬力は流速の6乗に比例する。このため、豪雨の際には巨大な岩が流されたり、流木、あるいは水塊そのものによって河川に築かれた土木構造物が破壊されることがある。これが豪雨災害である。(築堤、堤防の崩壊)。
下水管[編集]
大量の雨は下水管にも流れる。このとき、家庭や事業所からの下水管と同じ下水管に雨水が流れ込む合流式は、豪雨の際に下水処理場に処理能力を上回る大量の下水が流れ込むことになる。これを防止するため、雨水からの下水管は河川に直接流れ込み、家庭や事業所からの下水管は下水処理場に流れ込む分流式にするのが望ましい。
防災[編集]
人命や財産を災害から守るため、危険な山腹の保護、住民の避難を行う必要がある。崖崩れの発生に密接に関係するのは、斜面勾配、地質、土中の水分、降雨などであるが、過去の災害資料から日雨量が200mm、3時間雨量で100mm、1時間で50mmを超える雨量があると、甚大な土砂災害が発生するとされている。