VALU

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株式会社VALU
種類株式会社
市場情報非上場
本社所在地日本国旗.png日本
150-0033
東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF-201
設立2016年11月1日
業種フィンテック
代表者小川晃平
関係する人物中村洋基 堀江貴文
外部リンクhttps://valu.is

VALU(バリュー)は、株式会社VALU(バリュー、代表取締役小川晃平)によって運営されているフィンテックサービス。

名称の由来は「VAL(VALUE=価値) + U (YOU=あなた)」。個人が株式会社のようにVAとよばれる擬似株式を発行することができ、売りに出されたVAは自由に売買することができる。取引は全てビットコインを用いて行われる。

2017年5月31日にβ版としてリリースされた。対応言語は日本語・英語。取引可能時間は9:00~21:00。VAの発行者数は2017年7月21日に約1万2000人と報道された。[1]

開発の経緯[編集]

小川晃平は2011年にグリーに入社し、翌年からシリコンバレーにある米国支社でサーバーエンジニアを務めた。帰国後、フリーランスのエンジニアに転身。複数の新規事業の立ち上げに従事したのものの、いずれも資金不足によって事業拡大を諦めるほかなかった。ビットコインと出会ったのはそうした状況であった。

開発者の一人である中村洋基はVALUの始まりについて、自身と小川晃平堀江貴文が出会ったことがきっかけだったと明かしている。

カウンターパーティーとはビットコインに実装されている機能のひとつで、この機能を用いることでビットコインと互換性のある独自通貨を発行することができる。堀江はこのときすでに「ホリエモンカード」という名称で独自通貨を発行していた。三人はアイデアを出しあっていくていくうちに、この独自通貨を自由に売買できる仕組みを整えれば、個人が株式会社のようにふるまって資金調達を行うことができる可能性に気がついていった。

2016年11月1日、株式会社VALU設立。中村が設立者の一人でありクリエイティブディレクターを務める広告・デザイン企業PARTYが出資を行っている。[2]その他出資者には家入一真もいる。[3]堀江は取締役に名を連ねた。[1]

中村は「このサービスは、使い方によっては破壊的になりえる」と認識しており、開発にあたってはクローズドベータで何回もテストを重ねたという。[4] また金融庁にも頻繁に足を運び、1つ1つの機能について法律面の問題がないか確認を行ったとしている。[4]

問題点[編集]

海外では、ビットコイン経由での資金調達において、詐欺事案が8割を占めており、国の規制と詐欺抑制をおこなう為、ルールを設けているが、日本ではまだ法律が制定されていない。

ユーザは、通貨として扱われないポイントのような実態がないものを購入する為、売り買いそれぞれに消費税がかかる。運用元は、資金決済法に基づく資金をプールしておく必要があるが、本サービスには全く明示されておらず、昨今有名になったLINE内のポイントと同様、

資金をプールしておくべきはずだが、当局からの指導等は未だ見られていない。日本国内では、法の不備、及び、安定的なサービスの提供に疑問が残る為、利用は限られている。

一部ユーザが、元反社会的勢力に属しているなど、顕著ないわゆるシノギとなる可能性もメディアで取り上げられており、今後の運用が注目されている。

利用方法[編集]

利用方法は下記の通り。(いずれも2017年7月27日現在)

アカウントの登録[編集]

アカウントの登録にはFacebookのアカウントが必要となる。

MY VALUの発行[編集]

アカウント登録後、アカウントにはFacebookの他、TwitterおよびInstagramのアカウントも連携させることができる。自身のVA=MY VALUの発行は、連携したいずれかのSNSアカウントで100人以上の友達・フォロワーがいる人のみが行うことができる。

これら連携されたSNSアカウントの友達・フォロワー数等に基づき、各人の推定値としての時価総額が算出される(単位はビットコイン=BTC)。MY VALUの発行数はいくつかの選択肢が決められており、このうち1VAあたりの値段(推定値としての時価総額÷VA数)が円換算で\100~\1000となるもののみ選択することができる。

発行の申請後、審査がある。

ビットコインの入金[編集]

上記のようにVAの取引はすべてビットコインによって行われるが、VALU上でビットコインの購入・売却を行うことはできない。 これはビットコインの売買を行えるようにした場合、2017年4月に施行された改正資金決済法による業務の制限を受けることになってしまうためである。外部のビットコイン取引所でビットコインを購入し、VALUのアカウント口座へビットコインを入金する必要がある。

改正資金決済法の規制強化により、ビットコイン取引所で新たに口座を開設しビットコインを購入することができるようになるまでには、通常住所確認を含めて数日を要する。

またビットコインの性質上、VALUアカウント口座にビットコインを入金してから入金が承認されVAの取引ができるようになるまでに、通常数分から十数分を要する。

VAの売買[編集]

  • VAの売却を希望する場合、売却希望VA数と売却希望単価(単位はBTC)を入力する。
  • VAの購入を希望する場合、購入希望VA数と購入希望単価(単位はBTC)を入力する。

すべて指値取引であり、売却希望単価と購入希望単価が完全に一致した場合にのみ成立となる。

MY VALUの初回売出しは、推定値としての時価総額をVA数で割った金額でしか行うことができない。この初回売出しは5VAまでとなっている。

価格の乱高下を防ぐため、初回売出し日当日の売買価格は、売出し価格の0.75倍~1.5倍の間に制限される。翌日以降の売買価格は前日の終値に対し0.75倍~1.5倍の間となる。

1日の取引数には10回までという制限がある。

手数料[編集]

(ⅰ)売買手数料

購入 売却
自分で発行したVALU 1% 10%
自分以外が発行したVALU 1% 1%

(ⅱ)出金手数料

VALUアカウント口座へのビットコイン入金する際には手数料はかからないが、外部にビットコインを出金する際には出金額の0.0005%の手数料がかかる。

(ⅲ)MY VALU発行手数料

MY VALUの発行には一律\500の手数料がかかることになっているが、2017年7月27日時点ではまだ無料期間という扱いになっている。無料期間の終了時期は不明。

寄付型クラウドファンディングおよび株式との違い[編集]

寄付型クラウドファンディングとの違い[編集]

小川がサービスの意図として述べている通り、VALUでは見知らぬ他人を支援したり、見知らぬ他人から支援されたりすることができ、この点は寄付型のクラウドファンディングと共通している。

寄付型クラウドファンディングと異なるのは、VALUにおいてはクラウドファンディングの寄付にあたる行為をVAの購入という形で行い、このVAは株式と似たような形で売却することができるため、支援者(VAの購入者)は支援を行った上で支援額を回収できたり、売却益を得ることができる可能性がある点である。

株式との違い[編集]

VALUにおけるVAの発行と売買の仕組みは株式とよく似ているが、VAと株式には実際には明確な違いが存在している。

  • 株式は発行者が企業であるのに対し、VAは個人である。
  • 株式購入の対象は事業であり、株式の発行者には株主に対する決算の広告義務があるのに対し、VA発行者にはVA売却益の使途についてかならずしも明示する必要がなないため、VAの購入は発行者の存在や人格がもつ価値・可能性を対象にして行われると考えられる。
  • 株式には剰余金の配当を受けたり残余財産の分配を受ける権利(自益権)や株主総会における議決権(共益権)などが存在し、この点が株式に価値を生み出しているが、VALUにおいては利益の配分が禁止されているのみならず、VAには発行者に対する一切の発言権や強制力が存在しないため、価値を裏付ける本質的な根拠が存在しない。
  • 価値に裏付けのある株式の購入は投資といえるが、価値に裏付けのないVAの購入は投資とはいえない。VA購入が投資ではない点は運営会社も明確に主張しており[5]、発行者がリターンや売却益を呼び水にしてあたかも投資となるかのようにVAの購入を呼びかけた場合、違法となる。[要出典]

この他、下記の例のような制度上の違いが存在する。(2017年7月27日現在)

  • 株式において認められている増資(追加発行)や株式分割は、VALUにおいては認められていない。
  • 株式においては上場企業の5%以上の株式を取得した時に金融庁に対する大量保有報告義務が発生するが、VALUにおいては所有するVAの多寡にかかわらず各アカウントが所有するVAを誰でも覗くことができ、非公開にすることができない。

優待[編集]

発行者はVA購入者(VALUERと呼ばれる)に対し、優待として物品やサービスの提供を行うことができる。

評価経済社会[編集]

発行者の知名度や言動に対する期待など、発行者への社会的な評価が高くなれば高くなるほど、支援者や支援金が集まりやすく、VA価格や時価総額が高くなりやすいことになる。このように、VAの価値は概ね発行者の社会的評価を反映するものと考えられる。ここから、VAを所有することが「発行者の社会的評価を擬似的に所有すること」であると人々が認識するようになることで、本源的価値のないVAに価値が生まれることになる。

VAに価値が認められた結果、VAに対する投機が可能となる。仮に発行者に対する支援の意思を全く持ち合わせていなくても、社会的評価に対しVAの価値が低く評価されている場合、将来見込める売却益がVAを購入する動機となりうる。

こうした投機行動はVAの価値を社会的評価に常に近づけることになり、発行者や支援者が適切に売却益を得られることを下支えしていると考えられる。また、言動に対する期待に比べ発行者の知名度が著しく低いような場合に、投機的動機は発行者への支援をより集めやすくしていると考えられる。VALUでは名目上投機を禁止しているが、現実にはVALUにおいて支援と投機は表裏一体であり、明確に区別することはできない。

岡田斗司夫は2011年に自身の著書で、今後の社会は人々からの評価が価値を持つ社会に移行するのではないかと主張し、評価経済社会という造語を編み出した。VALUにおいては発行者の社会的評価が発行者に直接金銭をもたらし、周りの多くの経済を巻き込むことから、VALUがこの評価経済社会を具現化させていく可能性を指摘する言説が存在する。[6][7]

また小川は、社会的評価がVAの価値に反映されることが転じて、VALUが個人の力の信用度を判断する新しい評価軸となることを期待していると述べている。[6]


脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]