Linux Mint

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Linux Mint(リナックス ミント)は、Ubuntuを元に開発されているLinuxディストリビューション

派生元・Ubuntu[編集]

初心者向けLinuxのド定番ディストリ、Ubuntu。ただ、人気者に必ずアンチがつくのは世界の理。

  • UbuntuはDebianから派生。Ubuntu創始者のマーク・シャトルワースさんも元はDebian開発者の一人。ひょんなことからカノニカルを設立、Ubuntuを立ち上げた。Ubuntu立ち上げ当初は功績の横取りやら技術者のヘッドハントやらと、Debianコミュニティとの仲は殺伐としていたとか。今は特にそのようなことはない。
  • Ubuntuそのものはコミュニティにより開発されているけど、営利企業カノニカルが支援している。「方針にカノニカルが口を出している」という噂は何度も否定されているけれど…。
  • パッケージ管理システムSnap(ソフトウェアと、依存するモジュールを一緒にパッケージングして配布する形態。依存関係トラブルの心配がなく便利だが重たい)のバックエンドはカノニカルが運営し、ソース非公開。Ubuntuは少々強引にSnapを広めようとしている(と、アンチは考えている)。
  • 使いやすさ重視の方針により、システム管理者ではない一般ユーザーがよく使うOfficeスイート等のソフトウェアが充実している。その反面か、動作が少し重たい(それでもWindowsより軽い)。

Linux Mint登場[編集]

Ubuntuが初心者向けで使いやすいのは分かる。分かるんだけど、でもUbuntuは何かイヤ…。 フランス出身アイルランド在住のクレマン・ルフェーブルさんはそんな思いを抱いてLinux Mintプロジェクトを立ち上げ、志を同じくする仲間たちが集まった。

  • Ubuntuなど他のLinuxディストリもそうだけど、やはりWindowsユーザーの取り込み施策に余念がない。「スタートメニュー」やエクスプローラー、初めから入っているFirefoxThunderbirdLibreOfficeなど「Linuxコマンドはいいから早く使わせてよ」というせっかちなユーザーもニッコリ。
  • クレマンさん他MintチームはSnap否定派とのことで、初期状態ではSnapシステムが組み込まれていない。自分で調べて有効化することは普通に可能。
  • Ubuntuを元にしつつ使いやすさを損なわないように気を付けながら機能を削り、代わりに「mintTools」を付属。全体的にUbuntuより動作が軽いとされる。
Timeshift
バックアップツール(正確にはスナップショット作成ツール)。
mintUpdate
アップデートマネージャー。システム・アプリケーションを最新の状態へ更新。
mintinstall
ソフトウェアマネージャー。aptFlatpakのフロントエンド。コマンドカタカタでなくマウスポチポチで手軽にアプリケーション追加。

Mint Tools以外にもLinux Mintプロジェクトとして独自に開発したものがいくつかある。

Cinnamon
デスクトップ環境(テーマやファイラーなどのGUI機能を司る)のひとつ「Cinnamon」はMintプロジェクト謹製。GNOMEに代わる選択肢の一つとして他ディストリにも広がっている。親の親であるDebianからもCinnamonのエディションが登場。遅れてUbuntuもCinnamonエディションを公開。
Warpinator
お手軽ファイル転送ツール。同じLAN内でWarpinatorを動作させているデバイスを自動的に検索、列挙してくれる等、設定などの手間を極力省ける設計。Mintプロジェクトの手ではないものの、別の有志によりAndroidへ移植されている。NASがどうしてもないときにどうぞ。

人気獲得[編集]

クレマンさんのように「Ubuntuは何かイヤ」と考える人はそれなりにいるらしく、Linux MintのシェアがUbuntuを抜く場面がしばしばある(DistroWatch調べ)。ただし他とは無関係にUbuntuがシェアを落としている説もあり。
その後はArch Linux系ディストリManjaroに抜かれたり、最近ではDebianベースのMX Linuxに抜かれたりと盤石ではないものの、初版登場からそこそこの年月が経ってなお安定的に発展を続けるMintへの支持率は安定している。

Debian Edition[編集]

通常のLinux MintはUbuntuベースだが、それとは別にDebianベースの「Linux Mint Debian Edition」略してLMDEも公開されている。
Ubuntu版となるべく同じ見た目・使い勝手になるように開発されているものの、UbuntuとDebianの違い(Linuxカーネルのバージョン違いも関係している)ゆえか、完全に同じというわけではない(mintDriversツールがない、安定重視のDebianゆえににソフトやライブラリのバージョンが一昔前の安定版、等)。
LMDEの目的は「Ubuntuプロジェクトが何かの拍子に吹き飛んだ場合(考えづらいけど)、他のLinuxディストリをベースにする際にどのような作業が必要なのか確認しておく」とのこと。Ubuntu版と異なり「支流」扱いであり、本流になることはないと明言されている。
「元々のDebianがUbuntuより軽いわけで、Ubuntu版MintよりLMDEのほうが軽い」と言われている(実際には必ずしもそうではない)一方、元のDebianは結構なLinux知識を必要とする中~上級者向けディストリであり、必然的にLMDEも初心者向けとは言いづらいものの、mintToolsの力によって使いやすいディストリに仕上がっている。

その他[編集]

  • メインターゲットはやはりPCデスクトップであり、サーバー向けシェアを狙っているUbuntuとは違ってサーバー用途はあまり想定されていない。やろうと思えば出来るけど、それはMintに限らずあらゆるLinuxディストリも同じこと。
やはりPCらしく、FirefoxでYouTube見たり、LibreOfficeでドキュメント書いたり、Wine入れてゲームで遊んだり。SteamにもLinux Mintユーザーは少なくないみたい。
  • 元々がUbuntuということもあり、Ubuntuの知識(トラブル対応)やUbuntuコミュニティのサポートがそのままMintでも役に立つ。それとは別にLinux Mint公式内にもフォーラムがあり、ユーザー同士で助け合って問題解決を図ることが出来る。
  • デスクトップ環境「Cinnamon」などのテーマ機能といい、見栄えの観点での使いやすさを追求する傾向がある。Mintなだけに長らく緑基調のテーマカラーだったが、メジャーアップデートのタイミングでテーマのシステムが大きく更新され、見た目がガラッと変わる場合もしばしば。その場合でもLegacyへ戻す手段が提供される。
  • というわけで、一般的には「まあUbuntu使っとけば無難じゃない?」となるのかも知れないけど、Ubuntuの背後のカノニカルの存在に違和感を覚えたのなら、Linux Mintという選択肢もありますよ。初版作成者としては「Linux知識まだ全然だけど、そんな僕でもDebianが使えるんだ」という気持ちにさせてくれるLMDEを応援しています。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]