2009 ワールド・ベースボール・クラシック

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2009 ワールド・ベースボール・クラシックとは、野球の世界一決定戦であるWBCの第2回大会である。

概要[編集]

日本韓国はA組予選で2回対戦し、第2ラウンドでも2回対戦している。最終的には決勝ラウンドでも日本対韓国になり、通算5回の日韓戦が繰り広げられた。これは本大会から導入された「ダブルエリミネーション方式」という敗者復活制度があるトーナメントによるところが大きい。事実、予選ラウンドでは日本に敗れた韓国が敗者復活戦を勝ち抜き、予選最終戦では日本を下して予選1位として第2ラウンドに進出している[注 1]。第2ラウンドでは日本が敗者復活を勝ち抜き、第2ラウンド最終戦で韓国に勝利して最終ラウンドへ進出している[注 2]。このことは後のWBCで改善され、2013年のWBC2013で予選はシングルエリミネーション方式、第2ラウンドのみダブルエリミネーション方式が採用となるなど改善されつつある[注 3]

日本代表[編集]

2009WBCの日本代表は「侍(サムライ)ジャパン」という通称で呼ばれ、原辰徳が監督を務めた。監督の決定には紆余曲折があり、当初は第1回大会優勝時の監督である王貞治が健康上の理由から辞退、NPBの現役監督を採用することも球団側が難色を示しており、2008年北京オリンピックの野球日本代表監督を務めた星野仙一が監督となることに決定した。 しかし、イチローが星野監督の就任に難色を示したり、NPBの現役監督が代表監督を務めないというのは本気で勝とうとしていないなどと発言。世論もそれを後押しし、星野仙一は監督就任を辞退。NPBの球団側も現役監督の起用に容認するムードになり、最終的に巨人をセリーグ優勝に導いた原辰徳が監督に決定した[注 4]

選手陣としてはマリナーズイチロージョージ・マッケンジーレッドソックス松坂大輔などのMLB移籍選手をはじめ、NPBからは小笠原道大阿部慎之助亀井義行漢・村田等の野手陣、ダルビッシュ有、や田中将大などの投手陣が参加している。中日からは選手が参加せず、様々な憶測が流れていたものの、実際のところは調整面への不安やシーズンへの影響を恐れての辞退であったとされる。特に岩瀬については2008年の北京オリンピックの成績から過度なバッシングを受けた経験も影響しているといわれている。

韓国代表の問題行為[編集]

韓国の日本に対する極度なライバル視が原因か、日本に勝利した試合でマウンドに太極旗を差し込むというパフォーマンスが行われた。これは国内外から問題視されており、「対戦国へのリスペクトが欠けている」、「スポーツに政治を持ち込むべきではない」などの批判が行われた。なお、前大会の2006年にも同様のパフォーマンスをしており、イチローをして「野球人生で最も屈辱的な日」と言わしめた。

決勝戦でのタイムリーヒット[編集]

イチローは本大会の予選から調子が悪く、2006年の第1回大会の際の発言や上記の監督選任の経緯からビッグマウスなどとの声もあった。特に決勝前までの打率は2割をようやく超える程度であり、2016年の巨人の投手である菅野智之の打率を下回る程度であった[注 5]

決勝戦は9回表の時点で3-2で日本がリードしていた。しかし9回裏の韓国の攻撃で同点に追いつかれてしまう。サヨナラは避けられたものの、試合は延長戦に持ち越しとなる。 10回表、2アウトランナー1・2塁の状態で打席がイチローに回る。ダブルスチールでランナー2・3塁になるものの、イチローが絶不調であったこと、次打者の中島が好調であったことから、韓国代表バッテリーは敬遠せずに勝負することを選んだ[注 6]。打席に立ったイチローはコース際の危険な球をカットし、あきらかに外れた球を見逃すなど、選球眼が冴えわたっていた[注 7]。勝負は8球目、イチローは教科書通りのセンター前ヒットを放つ。2・3塁走者は一斉にスタートを切り、2者とも生還。それまで絶不調だったイチローが放ったタイムリーヒットが決勝打となり、試合は5-3で日本の勝利となり、同時に日本の優勝とWBC2連覇が決まったのである。このイチローのタイムリーヒットによって2ch(現5ch)に書き込みが殺到。サイバー攻撃でも落ちなかったサーバを一振りで落としたため、「鯖オチロー」として功績が語り継がれている。

なお、決勝の日本における視聴率は平日でありながら非常に高い数値を誇っており、関東における平均視聴率は36%、瞬間最高視聴率は45%を超える数値となっていた。優勝後は日本の多くがWBC優勝の色に染まり、スポンサー各社も優勝記念セールを開催していた。

参加チーム[編集]

A組
中国
台湾
日本
韓国
B組
メキシコ
オーストラリア
キューバ
南アフリカ
C組
カナダ
イタリア
アメリカ
ベネズエラ
D組
ドミニカ
オランダ
パナマ
プエルトリコ

脚注[編集]

  1. 予選は2位までが進出できるため、日本も第2ラウンドへ進出した
  2. 第2ラウンドの2位までが決勝に進出できるため、以下略
  3. その後のWBC2017では総当たりリーグ戦に変更された
  4. 2008年の日本シリーズ勝者は西武ライオンズであったものの、当時の監督であった渡辺久信が固辞したことから原に決定したという経緯がある
  5. なお、菅野はシーズン打率である点に注意。ちなみに同時期の巨人小林(捕手)のシーズン打率は驚異の.204である
  6. 諸説あり、韓国の監督は敬遠のサインを送っていたという説もある。しかし、それはそれで危険な策であることに変わりはない
  7. こうなってしまったら投手は投げるコースがないのである。打たれないためにコース際に投げてるのにカットされ、コースを外れた誘い球には手を出さないとなれば、危険なストライクゾーンで三振か打ち取りを狙うしかないのである