鬼役

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鬼役(おにやく)とは、江戸時代後期(徳川家斉徳川家慶)を舞台にした時代劇小説、及び漫画である。原作は坂岡真。漫画は橋本孤蔵

概要[編集]

坂岡真が原作の光文社時代小説であり、文庫化されている。また、株式会社リイド社から漫画化もされており、コミック乱ツインズで連載されている。

姉妹シリーズとして「鬼役伝」があり、江戸中期、初代の鬼役・伊吹求馬(もとめ)が主人公。鬼役修行に励みながら密命を果たす(赤穂塩の不正を暴いたり、陰陽師と対峙する)。

ストーリー[編集]

鬼役とは江戸幕府征夷大将軍御膳奉行、すなわち毒見(鬼見)役を意味する。主人公の矢背蔵人介はこの毒見役である。毒見役は通常3年で役替えとなるが、蔵人介はおよそ20年間もこの役目についている。その理由は、蔵人介が江戸城内の権力者である長久保正忠から裏の役目、暗殺役を請け負っているからであり、長久保から密命を受けて悪と見なされた対象を闇に葬っていた。長久保に裏切られた後は、小姓組番頭の橘右近から暗殺の密命を受けるようになり、蔵人介は表向きは毒見役、裏は悪を葬り去る刺客としての日々を過ごしてゆく。

登場人物[編集]

矢背蔵人介(やぜ くらんどのすけ)
本作の主人公徳川将軍家の毒見役を務める御膳奉行で、通称「鬼役」。11歳の時に叶家から矢背家の養子となる。最初は若年寄・長久保正忠から暗殺を下命されていたが、長久保に裏切られて自ら長久保を成敗した。その没後は橘から下命を受けるようになり、表向きは御膳奉行、裏向きは凄腕の刺客として暗躍する。田宮流抜刀術の使い手。
串部六郎太(くしべ ろくろうた)
若年寄・長久保正忠から蔵人介を補佐するために遣わされた矢背家の用人。蔵人介の裏方を補佐する。蔵人介同様、剣術の使い手。
幸恵(ゆきえ)
蔵人介の妻。その間に息子の鐵太郎がいる。夫の裏の顔は知らないが弓矢の達人。
綾辻市之進(あやつじ いちのしん)
幸恵の実弟で蔵人介の義弟。徒目付を務める。剣術はそこそこだが、柔術捕縛術に優れている。
長久保正忠(ながくぼ まさただ)
江戸幕府若年寄。受領名は加賀守で長久保加賀守正忠と呼ばれる。蔵人介に暗殺を密命していたが、自らの出世のために蔵人介を利用して政敵を葬ろうとしたため、蔵人介の逆襲を受ける。長久保自身は槍術の使い手で蔵人介を一時は圧倒したが、結局は苦戦の末に倒された。その死は病死と始末された。
橘右近(たちばな うこん)
第12代将軍・徳川家慶配下の小姓組番頭。周囲からは切れ者で清廉な人物と見られているが、蔵人介に暗殺の密命を長久保の死後から下命している人物でもある。
土田伝右衛門(つちだ でんえもん)
将軍の尿筒持ちを務める公人朝夕人であるがそれは表の顔であり、実際は橘の命令を蔵人介に伝えたり、橘や蔵人介の情報収集役を務めたりしている。
徳川家斉(とくがわ いえなり)
江戸幕府の第11代将軍。実子の家慶と不仲で、家慶を暗殺して将軍職に復職しようと画策する。
徳川家慶(とくがわ いえよし)
家斉の子。家斉の隠居により第12代将軍に就任するが、家斉とは不仲で対立している。大酒飲み。
望月宗次郎(もちづき そうじろう)
将軍・家慶がまだ若い頃に名も無き御殿女中に生ませた落胤。母親の身分から旗本の望月家に預けられて養育され、望月家滅亡後は矢背家に居候の形で養育されている。その出生の経緯は蔵人介など一部の人間のみの秘密となっている。
志乃(しの)
矢背蔵人介の養母。薙刀の達人。夫の矢背信頼は既に死去しているが、精神面で蔵人介と矢背家を支えている。
中野清茂(なかの きよしげ)
御小納戸頭取を務める家斉の側近。家斉の側室の養父にも当たるため、江戸城内で大いなる権力を振るっている。通称は碩翁(せきおう)。

外部リンク[編集]