養子縁組

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養子縁組(ようしえんぐみ)とは、生物学的に親子関係に無い者との間で、法律的に親子関係を成立させることである。普通養子縁組、特別養子縁組、国際養子縁組がある。

概要[編集]

養子は養親の戸籍に記載され、嫡出子と同等の身分が得られ、相続扶養の権利義務関係が発生する。

養子縁組は古くから慣習あるいは法制度に基づいて行なわれてきた。日本においては養子縁組は民法に規定がされており、普通養子縁組と特別養子縁組がある。未成年者と養子縁組を結ぶ場合には家庭裁判所審判が必要となる。また、18歳未満の児童の養子縁組の斡旋を行なう場合には、第2種社会福祉事業としての届出が必要である。

日本においては成人の養子縁組が極めて多く、歴史的に見てもその目的は老親扶養、家名存続、労働力確保などが理由に挙げられ、児童の福祉という視点における養子縁組は近代的なものといえる。

歴史的な著名人の養子縁組として、室町幕府管領細川政元細川澄之細川澄元細川高国の3人を養子にしたこと、関白になった豊臣秀吉豊臣秀次豊臣秀勝宇喜多秀家など多くを養子にしたことなどが挙げられる。ただしこれら権力者の養子縁組は明確に後継者指名が成されない場合、後継者争いや権力争いを引き起こす原因になる場合があり、前者は永正の錯乱両細川の乱、後者は秀次事件関ヶ原の戦いの要因になっている。

普通養子縁組[編集]

生物学的に親子関係には無い者の間で、法律的に親子関係を成立させる養子縁組のうち、実親との法的関係も維持され、実親と養親の双方における財産相続権と扶養義務を持ち、離縁も可能である養子縁組制度のことである。養子になると養親の戸籍に記載され、嫡出子と同等の身分が得られ、相続や扶養の権利と義務の関係が発生する。これは古くから慣習、法制度として行なわれてきて、民法にも規定がある。

その目的は老親扶養、家名存続などが多く、未成年者を養子にする場合には家庭裁判所の審判が必要で、18歳未満の児童の養子縁組の斡旋は第2種社会福祉事業としての届出が必要で、児童の福祉を図るため安定的な養子縁組が必要な場合は、特別養子縁組をとったほうが適当な場合が多い。

特別養子縁組[編集]

生物的に血縁関係にある実の父母による養育が困難、不適当であり、児童の利益のために必要であると認められる場合、実の父母との関係の断絶並びに縁組の原則不解消という形態をとる養子縁組制度のことである。

斡旋と養親との適合判断は児童相談所が行ない、半年(6ヶ月)以上の監護期間(試験養育期間)を経て、家庭裁判所の審判により成立する。

原則として6歳未満の児童を対象とする。昭和62年(1987年)の民法改正により立法化され、翌年から施行された。法的効果としては、養親の嫡出子となり、戸籍上においても長男長女と記されて実の父母は記載されない。本制度においては養親と子供の関係性に法的安定を付与し、養育の永続性がはかられて「名実共に親子である」との実現を可能とするものである。

ただし、テリング(真実告知)の問題などもある。

国際養子縁組[編集]

養親と養子の国籍が異なる養子縁組のことである。日本においては日本人外国人を養子とする事、及び外国人が日本人を養子とする事のいずれもが認められている。ただし原則として、日本人が外国人を養子とする場合は日本の法律(民法児童福祉法など)が準拠法となり、外国人が日本人を養子とする場合は養親の本国法が準拠法となる。日本においては日本国際社会事業団が中心的な窓口となっている。

ただし日本は1993年に採択された国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約ハーグ条約)を締結していないため、国際連合児童の権利に関する委員会は国際養子縁組の場合における児童の最善の利益確保のために必要な措置を取るべきことを日本に勧告している。

外部リンク[編集]