西武3000系電車

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西武3000系電車(せいぶ3000けいでんしゃ)は、かつて西武鉄道に在籍した鉄道車両の1形式。

登場の経緯[編集]

池袋線では勾配線区向けの101系・301系の増備が一段落したが、平坦線区向けに抵抗制御で回生ブレーキを持たないこれらを入れるのは電力を多く消費し不経済となっていた。そこで2000系を入れようとしたものの、4ドアで整列乗車を妨げるため、車体のみ新101系ベースとし、足回りのみ2000系ベースの界磁チョッパ制御という本系列が投入されることになった。

この時点では営団直通計画もあり、電機子チョッパ制御やアルミ車体、ボルスタレス台車といった新機軸の導入も検討されたが、すべて没になっている。

構造[編集]

車体は基本的に新101系と同じ構造の20m級3扉車体であるが、前面部のセンターピラーは省略された。

台車・機器類は西武2000系で実績のあるFS372および界磁チョッパ制御を採用し、台車中心間隔も2000系と同一の13.8mとされた。

側面窓は新101系などと異なり、2連続の田の字窓×2という構成になっている。

ブレーキ方式は回生ブレーキ併用の電気指令式ブレーキ(ナブテスコ製HRD-1)を採用したが、この関係で新101系との併結はできず、放送装置などの相違により2000系との併結もできない。

沿革[編集]

1983年に1次車8連3本が投入されたのを皮切りに、1987年までに合計9本72両が製造された。当初は池袋線系統に投入されたが、1992 - 93年に4本が新宿線に転属した。

2010年には3005Fと3007Fが6連化され、編成から外れたモハ3200形4両は年内に廃車解体された。編成単位での廃車は2013年度から始まり、30000系に代替される形で8連5本が同年度内に廃車。残る8連2本と6連2本も2014年12月までに廃車となり、西武線内から姿を消した。

近江鉄道300形電車[編集]

6連化が済んでいた3007Fと、3009Fのうちの6両は近江鉄道に譲渡され、うちモハ3100形の4両が2連化されて2020年から2021年にかけて300形として竣工した。運転台を失ったクハとモハ3300形はすべて解体廃棄されている。当初は2020年5月中の運用開始を目指していたが、コロナ禍の影響もあり8月に延期されたという哀れな歴史もある。

行き先表示器は白色LEDに変更され、LCD式の車内案内表示器やワンマン運転装置も設置された。制御装置は界磁チョッパ制御のままだが、同制御装置搭載車両の地方譲渡時によく切られる回生ブレーキは残されているものと減速音から判断可能である。

関連項目[編集]