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とは、米飯の一種ではあるが、焚かずに煮るということを特徴とする。
日本の粥と中国粥があり、日本では病人食扱いされることもあるが、中国粥は朝食の定番である。

概要[編集]

和式の粥は、米一合に対して水1リットルほどを鍋(行平鍋がよい)などに入れて弱火で四十五分ほど放っておくとできる。味付けはとくになく、せいぜい昆布出汁で煮る程度である。どこかの禅寺で、干しシイタケの戻し汁を加えても美味い、という。
ただし、これは日本の粥の一部の話であり、炊いた白に水を加えて煮たものも粥という。いわゆる「雑炊」と「おじや」の差に近い。
日本の粥は、梅干(叩き梅)、鰹節の削ったものを醤油で和えたもの、とろとろの茹で玉子、「錦松梅」などのふりかけ的なもの、佃煮などをを供にすることが多い。
中国粥は朝食としてよく食べられ、「及第粥」などが知られる。油条とともに食されることが多い。「人に粥を待たせるとも、粥に人を待たせること勿れ」という言葉があり、炊きたてを上とする。こちらは干し椎茸のほか干し貝柱など各種の出汁材を加えるという[1]

粥有十利[編集]

粥には十の功力があるとされる。「色、力、寿、楽、詞清弁、宿食除、風除、飢消、渇消、大小便調適」である。

  1. 色 - 活動的になり、感覚が冴える
  2. 力 - 持久力がつく
  3. 寿 - 長寿
  4. 楽 - 身体が楽になる
  5. 詞清弁 - 弁舌が爽やかになる
  6. 宿食除 - 胃もたれがしない
  7. 風除 - 抵抗力がつき、病気しにくくなる
  8. 飢消 - 腹が満ちる
  9. 渇消 - 喉の渇きが潤う
  10. 大小便調適 - お通じがよくなる

これらは『摩訶僧祗律』に記され、その後『禅苑清規』に記されたというが、後世においていろいろと脚色されているため、解釈は慎重に行われたい。

調理法[編集]

全粥・七分粥・五分粥・三分粥・重湯といった濃度の違いはあるが、ほぼ調理法は同じである。

全粥 米1に対し水5。
七分粥 米1に対し水7。
五分粥 米1に対し水10。
三分粥 米1に対し水20。
重湯 不明

全粥[編集]

米1に対して水5。

  1. 汚れを落とす程度に米を洗い、30分程度程度浸水し、笊にあける。ただし、この工程は省いてもよい。
  2. 好みの水加減にし、強火で沸かす。
  3. 沸騰したら火を弱くしてフタをずらして、30分から 40分煮る。
  4. 好みで塩をひとつまみ入れてから火を止め、底からかき混ぜる。

以上は西多摩保健所の生活環境安全課、保健栄養担当によるものだが、そうなると「重湯は五分粥と三分粥の中間か?」という疑問が起きる。だいたい米一合(180ml、約150g)と水一リットル(昆布出汁でもよい)を加えて」行平鍋で最弱の弱火で 45分というのが間違いのないレシピだが、あらかじめ水(あるいは昆布出汁)を鍋で沸騰させてから米に加えると時間の短縮になる。

保存食として[編集]

冷凍保存が可能である。ただし、通常のご飯は「浸水した米と同量の水」が一般的なので、粥を冷凍するとその五倍量となり、約1リットルということになってしまう。だったら冷凍ごはんに四倍の水を加えて煮るか、おじやにしたほうがいい。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. 残念ながら、早朝から中華街に行くことがなかったので、介護食として自分で作ったものを自分で食っただけだが、定跡どおりに作れば家庭でもけっこう美味しい。