簡易旅館
簡易旅館(かんいりょかん)とは、簡易宿所とも同一視されているが、NTTの電話帳には「簡易旅館」とあるので、ここではこの用語を使う。
概要[編集]
室内は非常に狭く、床の間があることはほとんどない。畳1畳から3畳で、場合によっては2段ベッドの相部屋のこともある。食事の提供はほとんどない。設備としては室内に風呂はなく、トイレも共同である。また、テレビは設置されていないところがあり、テレビがついていても有料である。ビジネスホテルやゲストハウスといった名称を用いるところもある。他の施設から転用したところではエレベーターがついているところもある。
沿革[編集]
江戸時代に宿場町に設置された木賃宿は食事の提供がない相部屋ということから簡易旅館の原点である。売春防止法の施行によってそれまでの売春宿が簡易旅館に転業した例もある。
営業地[編集]
日本各地に存在するが、簡易旅館が密集しているところは「ドヤ街」「寄場」ともいわれ、東京都の「山谷」、横浜市の「寿町」、大阪市の「釜ヶ崎(あいりん地区・西成)」が有名である。東京の山谷は、JR南千住駅の南である。横浜の寿町はJR関内駅・JR石川町駅・地下鉄伊勢佐木長者町駅が最寄である。大阪の「釜ヶ崎」は、日本最大の簡易旅館の町であるが、西日本旅客鉄道、南海電気鉄道新今宮駅・堺筋線動物園前駅・南海萩之茶屋駅が最寄である。また、名古屋市の「笹島」が寄場として出てくるが、簡易旅館が名古屋駅西地区に数軒あり、他地域にもある。福岡の「築港」も寄場の名前で出てくるが、簡易旅館がある。
料金[編集]
日払いの前払いが原則であり、大阪では1泊500円のところもあるが、大概、千円台から三千円以上まである。
権利金や連帯保証人の問題で賃貸アパートに入居できない人が、簡易旅館を居室として住むこともよくあり、簡易旅館に住民票を置くことも多くある。また、入居者には日雇労働者も含め早朝より出勤する人が多いため、夜9時以降は音を出すことは控えめにすることが求められ、かつ朝5時ぐらいから人の出入りが激しいことも留意する必要がある。門限にも留意することが必要である。
ゲストハウスを名乗っているところにはホームページがある簡易旅館もあり、外国人観光客も多数泊まっているところもある。インターネットルームがある簡易旅館も存在する。
旅館業法では「簡易宿所営業」となっている。