瓶詰

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瓶詰(びんづめ)とは、びん入り飲料を除く保存食品としては、大きく分けて二種類ある。本稿は主にこちらについて述べる。
なお、びん入り飲料「ガラス瓶」に詰められた飲料の保存法などをいう。歴史的にはこちらのほうが古い。コカコーラの瓶が有名であり、航空業界にはジェット戦闘機に「コークボトル型」があった。

ひとつは十九世紀以降に知られたガラス瓶に食品を詰めた保存方法であり、缶詰の原形となった食品の保存法である。現在でもホテイフーズからカレーの缶詰が出ており、トマトピューレやドミグラスソースなども缶詰として流通している。いわゆる「広口瓶」が用いられることが多く、貯蔵瓶としての「ジャー」が用いられることもある

概要[編集]

1804年フランスの料理人のニコラス・アペールによって発明され、ナポレオン一世の懸賞によって糧食として採用されたものである[1]

狭義の瓶詰は滅菌したガラス瓶に食品を詰めたのちに瓶ごと加熱消毒し、封じたものをいう。
軍隊の糧食として採用され、貯蔵瓶としてのガラス瓶が普及することにより普及された。季節ごとに大量に収穫できる食材を、年間を通じて食すことができるという利点がある。ただし短所としては、「未加熱のまま食す」食品は本稿でいう「瓶詰」には向いていないため、保存のために砂糖・食塩・酢・アルコールなどの保存料を加えるか、冷凍などの方法に頼るしかない。
代表的な瓶詰食品としては、飲料、筍などの山菜[2]の水煮や佃煮、チルドジャムのほか、イタリアではサン・マルツァーノ種などの料理用トマトを旬に瓶詰にする家庭もあった。なお、レトルトパウチ食品も瓶詰食品の一種であるが、レトルトパウチは自立しないので、一食分を食べきりのカレー(カレーライス)やハヤシ(ハヤシライス)、麻婆豆腐の素などに利用される。

製法[編集]

製法は基本的には同じだが、容器である瓶は二種類あって、「スクリューキャップ型の、瓶詰用の瓶」と、いわゆる「(貯蔵瓶としての)ジャー」があり、容量(あるいは用法)によって使い分けられる。
前者は「開封するときに、『ペコン』『プシュ』という音がする、蓋の中央がペコペコする」タイプである。
後者はいわゆる「貯蔵用のガラス瓶」であり、パーツに分解して沸騰消毒できるタイプをいう[3]。どちらも沸騰消毒に耐えられるように、パッキングはシリコンゴムでできていることが多い。
まず容器(瓶)を十分に煮沸滅菌・アルコール消毒などして滅菌し、鍋などに水を入れ、食品を詰めた瓶を入れ(軽く蓋をしてもいい)、十分に加熱したのちに(火傷などしないように手袋をして。軍手をはめたうえで台所用のゴム手袋をするなどして)封をする。

使用法[編集]

消費期限は一年を目安とする。冷暗所に保存し、開封後は冷蔵庫に入れるなどして早めに消費すること。

瓶詰飲料など[編集]

ガラス瓶は

  • 化学的に安定性があり、反応性が小さい
  • 内容物の容量や状態が確認しやすい
  • 密封性が高い
  • リユースやリサイクル性が高い

といった点において利便性が高く、牛乳瓶やビール瓶(紫外線などの影響を避けるために色つきの瓶が用いられる)や、ワインやウィスキーやシャンパンなどの保存に用いられる。
飲料(酢や醤油も含む)の瓶詰についてはアルコールや二酸化炭素で殺菌されており、高温殺菌の必要性はないため、広口瓶ではなく一般的な瓶が用いられる。古代ギリシャではアンフォーラと呼ばれる双把手の陶器瓶[4]が用いられた。コルク王冠などで栓をし、ときに封蝋などで気密性を保つなどした。
材質としては無色透明なガラスが一般的だが、ビール瓶など色つきのガラスも使われ、アンフォーラのように陶製のものも古くは用いられた。日本では「漆器」という耐年性の高い木製容器があったため、祝い事の際に酒を贈るための「祝樽」という漆塗りの桶があった[5]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. アペール』 - コトバンク
  2. 「大名竹」とも呼ばれるネマガリタケや、ワラビゼンマイなどが用いられる。
  3. 画像が欲しいところだ。
  4. いわゆる「パンドラの箱」も、元はアンフォーラであったという。
  5. ただし、「何度あってもいい」祝事のみに使われる。婚礼の際には使われない。