深海魚
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深海魚(しんかいぎょ)とは、深海(通常は水深200m以下)に生息している魚類のことである。
深海を探査するのは常に困難が付きまとい、深海魚を観察することは難しい。そのため、深海魚の生態は不明な部分が多い。
最も深い場所で観察された魚類はヨミノアシロ。プエルトリコ海溝の水深8370mだった。
深海魚の適応例[編集]
深海は暗闇(太陽の光が届かない)、高水圧、低酸素濃度、生物密度が少ないという環境である。そのため、深海に生息する魚類は、深海に適応するように特殊な形状になっている。それらは、深海に適応した理想的な形状であり、浅海に生息する魚類の形状とは大きく異なる。しかし、分類学的な観点からは特殊なグループに属する魚類ではない。
物理的条件[編集]
- 高水圧:浮き袋の中の空気は水圧の影響を受けやすい。そのため、高水圧に耐えるように「浮き袋」の内容物が、気体ではなくワックスなどになっている。または、「浮き袋」自体が退化し消滅している。
- 暗黒:周りの環境を光で認識するための目が退化している例もある。しかし、むしろ特別によく発達した眼を持つ例も多い。これは、発光生物が多いこととも関係しているかも知れない。
- 光で色を見分ける必要が無いため、体が退色化したり透明化。しかしこれも、むしろ黒っぽい暗色のものの方が多い。これは、眼の発達した深海魚が多いこととも結びついている。
なお、同様に暗黒条件下の洞穴生物の場合、圧倒的に白っぽくて眼の退化する例が多い。この点で深海魚とは対照的である。これは、洞穴に閉じこめられている洞穴生物とは異なり、深海魚の場合、浅い海域では常に上から光が入ること、浅海へ移動することもあり得ること、発光するものが多いこと(発光する洞穴生物はほとんどない)などによるのであろう。なお、発光そのものも、背景(上層の浅海)の光に対する隠蔽効果として発達したものも多いと考えられている。
捕食[編集]
餌の生物密度が低いため、捕食する時は効率よく確実に成功させる必要がある。
- 自分の体よりも大きな生物も捕食出来るように胃を膨らませることができる。
- 体のサイズと比較して、かなり大きい口を備える。
- 体の一部を発光させて、捕食対象生物をおびき寄せる。鰭などの一部が伸びてその先端が光るものも多くの群で見られる。
繁殖[編集]
交尾対象相手が少ない環境でも繁殖する必要がある。
発光[編集]
深海魚の約半数は発光魚である。発光する部分は、鰭の末端、腹、口など様々である。発光する理由を以下に挙げる。
- 捕食対象生物を発見するための発光。
- 捕食対象生物をおびき寄せるための発光。
- 仲間とコミュニケーションするための発光。
- 身を隠すための発光。「深海」といっても、水深1000mぐらいまでは非常に弱い光が差し込む。そのとき、海中から海面を見上げると、上部にいる生物の体の輪郭の影がくっきりと浮かび上がることがある。その輪郭を消すために発光する。
その他[編集]
エネルギー消費を押さえるためか、ゆっくりと遊泳するものが多い。また、身が柔らかいものが多い。
代表的な深海魚[編集]
- アンコウ - オニアンコウ - キアンコウ - チョウチンアンコウ
- オニハダカ - セキトリイワシ - ホウネンエソ - ホウライエソ - ミツマタヤリウオ - ムネエソ
- カブトウオ
- ガラテアソーマ
- コンゴウアナゴ - ホラアナゴ
- シーラカンス
- シギウナギ - フウセンウナギ - フクロウナギ - ペリカンウナギ
- シャチブリ
- ダルマハダカ - ナガヅエエソ
- ハタハタ
- フリソデウオ - リュウグウノツカイ
- メルルーサ
- キンメダイ
- マンボウ
- ミツクリザメ - ラブカ - オンデンザメ - ダルマザメ - メガマウスザメ