スギ

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スギ,sugi)とは、植物界種子植物門ヒノキ科 スギ属の ときわのことである。

概要[編集]

とりわけ 極東に 在る 日の本日本に 生え、勢い 良く スクスクと 育ち 真っすぐに 立つ。小枝から 束になって 生える 針形の 葉は 秋にも 落ちず、緑の 葉が 常に 見られる。柔らく、人が 手を 加えやすいため、家や 建物や オケや タルなど 様様(さまざま)に 用いるための 真木まきとして アジアに 広く 植えられている。高さは およそ 50メートルほどにも なる。2月の 終わりから 4月ごろに 葉の 先に花が群がって咲く。花粉花粉症を引き起こし、多くの人を悩ませている。

その名の言われ[編集]

クスクと生える(育つ・立つ)」からと いう。京都地名研究会事務局長の 綱本=逸雄によると、近世・江戸時代終わりの国学者である谷川=士清(ことすが)が 著した『和訓栞(わくんのしおり)』(1777年~1887年刊行)には 言わく、「直(スク)に生ふるもの(注、直ぐ成長する)故に名とするよし」うんぬんと あり、寺島=良安の『和漢三才図会』(1712年成立)にも 言わく、「杉すぎ、サン 和名須木と言う、心は直(スク)経る(注、すぐ時が経つ=成長早い)の木也」うんぬんと、丸山=林平の『上代語辞典』(明治書院、1967年刊行)にも 言わく、「すくすくと立つ木の義」うんぬんと あるという。ほかに 『大言海』(1932年~1935年刊行)にも 言わく、「すぎ(杉榲) すくすくト生フル木、又、すくすくト立つ木ノ義、スギの木ト云フガ、成語ナ(ル)ベシ」うんぬんと あり、日本最大の 国語辞典である 『日本国語大辞典』(小学館)も 「スクスク生える木の義。スギノ木が成語か」との 旨を 語源説の 筆頭として 挙げている。

ほかにも、幹が 真っ直ぐ 伸びることや 木の目が 真っ直ぐな 事などから 「ぐ(直)な」とする 説も 少なくない。だが 綱本=逸雄は、「スギ」という 言端(ことば)は、「須木、須疑、須岐」などの 漢字表記で、いにしえ(古代)に 書かれた 古事記(ふることぶみ)や 日本書紀・万葉集(奈良の古言〔ふること〕)・風土記・木簡・古辞書 あるいは 平安文学などに 既に 登場しているにも 係(かか)わらず、「中古(平安時代)までスグの訓よみはなく中世以降である。古辞書『類聚名義抄』(観智院本)には、当然ながら『直』の訓みにスグはなく、『タタチニ』である。『万葉集』も『直』は頻出するが、『直(ただ)に逢はば』(二二五)とか、『あたへ』『じき』『まな』などで、『スグ』の訓みはない(正宗敦夫編『萬葉集総索引漢字篇』平凡社)」などと 挙げつらっている。江戸時代中期の 国学の 大成者である 本居= 宣長も 『古事記伝』において 言わく、「須疑(すぎ)は、直木(スグキ)するはわろし、直(ナホ)をすぐと云こと古にあらず」とし、『増補俚言集覧』(早くとも1797年よりあと、遅くとも1829年より前に成立)も 言わく、「直木とするはわろし直(ナホ)のスグと云ことすへ(末)にあらすと云へり」うんぬんと、江戸時代中期の 国学者である 鹿持=雅澄も 『万葉集古義品物解』において言わく、「直木(すぐき)の意とする説はあたらず」うんぬんと 説いているという。

これらの 事から 綱本=逸雄は言わく、「『すくすくと立つ木』が妥当な見解だろう。(『牧野新日本植物図鑑』北隆館、一九六七)。古代には『すくすく』(ずんずん、どんどんの意)という擬態語はあった。『古事記』応神条に『楽浪道(さざなみぢ)を須久須久(すくすく)と我が往(い)ませばや』と載る。スクの語源はスクヤカ(健)の意である(『日本国語大辞典』小学館)。『広辞苑』は『すくすく 滞りなく進む、勢いよく成長するさま』……という。つまり、二語の結びつきが固定し決まった意味を表す『スギの木』は、『すくすく生える木』から古人が作り、後人によく引用される成語になった。縮約してスギ(キ)といったのであろう」うんぬんと 説き明かしている[1]

文化[編集]

日本においては 「杉の花」や 「杉の花粉」が 晩春ばんしゅん、つまり 暮れの 春(清明4月5日ごろ〕から 立夏の 前の 日〔5月5日ごろ〕まで)の[2]、「杉落ち葉」が 初夏(しょか)、つまり 初夏(はつなつ)立夏5月6日ごろ〕から 芒種ぼうしゅの 前の 日〔6月5日ごろ〕まで)の[3]、そして 「杉の実」が 晩秋(ばんしゅう)、つまり 暮れの 秋(寒露10月8日ごろ〕から 立冬の 前の 日〔11月7日ごろ〕まで)の、それぞれ 季語と されている[4]また、日本の 公共放送局である 日本放送協会(NHK)の ラジオ番組・「ラジオ深夜便」では、日本の 季節に 合わせて このスギの 花を 2月29日の 「誕生日の花」とし、その 花ことばを 「雄大」としている[5][6]

脚注[編集]

  1. [1](綱本逸雄「月間杉 100号記念特別寄稿『杉の語源』 - 月刊杉」日本全国スギダラケ倶楽部 出版部). 2016年3月1日閲覧
  2. 季語・杉の花 - 季語と歳時記(NPO法人季語と歳時記の会). 2016年2月29日閲覧
  3. 季語・杉落ち葉 - 季語と歳時記(NPO法人季語と歳時記の会). 2016年2月29日閲覧
  4. 季語・杉の実 - 季語と歳時記(NPO法人季語と歳時記の会). 2016年2月29日閲覧
  5. "ラジオ深夜便 誕生日の花と花ことば".(日本放送協会). 2016年2月29日閲覧
  6. 日本放送協会の 「ラジオ深夜便」の 網タン(つまり ウェブサイト)では、「その日の『花』……は、どうやって決めたの?」との 問いに 答えて 言わく、「選定は、日本の代表的な園芸研究家お二人にお願いしました。日本の季節に合った『花』……を……選定していただきました」 うんぬんと 述べている[2](日本放送協会). 2016年2月21日閲覧

参考文献[編集]

外部リンク[編集]