共食い
共食い(ともぐい、英:Cannibalism)とは、ある同類の生物が互いのことを食べ合うことである。
概要[編集]
魚類や両棲類では一般的である。これは「一箇所に集まって産卵する」ため、幼体は共食いをすることによって淘汰され、撰抜されるからである。魚類においては、マグロなどにおいて著しく、稚魚の頭が大きい魚種は共食い前提である。
虫や甲殻類の世界では毎日のように起きていることであり、大体の場合オスがメスに食べられる。
ただし、牛 のおいては牛骨を資料に混ぜ込んで飼料としたため狂牛病が発生した。鶏や豚などの家畜としても飼われている動物でもピンチの際に共食いすることがあり、アニメーション動画では家畜が焼かれた仲間の肉を食べているのを見ることは日常茶飯事である。
なお、人間も縄文時代には昔には共食いをしたこともあり、これは勇者などに対するあやかり行為であって、とくに歴史というわけではない。プリオン病(クールー)などの例がある。
他に近代でも、アルバート・フィッシュのような食人シリアルキラーが存在したこともある。
共食いが起こる原因[編集]
ヒトの場合、映画『アンデスの聖餐』(ポルトガル語: La odisea de los andes)に見られるように、1972年10月13日にウルグアイからチリに向かった旅客機が遭難し、雪山で生き残った乗客たちが、屍体を食糧にして生還したウルグアイ空軍機571便遭難事故を描いた1975年のブラジル制作のドキュメンタリー映画で取りあげられた。この事件は他にも『アンデス地獄の彷徨』、『生きてこそ』など、何度か映画化されている。武田泰淳の短編小説『ひかりごけ』(1954)などもある。
「これは説明不要と言っても過言ではないが、どちらかがピンチのとき、または相手が気に入らなかったとき[Joke]に共食いが起こる」という意見もあるが、『カンビュセスの籤』に影響されたと思われる。極度に食料が不足した場合、共食いするしか生き残る方法がない場合もあり、北朝鮮では珍しいことではないと言う。
日本では経営不振に陥った熊牧場で餌が足りなくなり共食いが発生した。
ペットとしてアメリカザリガニを飼育していた時、脱皮したばかりの個体を別の個体が食べていたので、極端に弱った相手が狙われるようである。
共食いによるリスク[編集]
タンパク質が変異し、異常プリオンによるプリオン病が発生する危険性がある。パプア・ニューギニアのフォレ族において発生したクールー病は共食い文化によるものという指摘がある。
狂牛病もリスクである。狂牛病が発生したときには、牛丼屋から数年間も牛丼が消滅することが起きた。人間によって家畜化された動物でのリスクは人間の経済活動にも影響をもつ。また、タンパク質が原因となったことで、タンパク質のみでRNAやDNAなどの遺伝情報をもたない病原物質の危険性が提起された。普通、ウイルスなどは各種生物に特異的に感染し害をなすが、このようなRNAやDNAをもたない病原物質はタンパク質の種類を共有するあらゆる生物に感染しうる。狂牛病発生時には、同じ哺乳類の人間にも感染するのではと恐れられた。
転用[編集]
機械などで修理部品が不足する際、別の機械から部品を調達するときに使われる。太平洋戦争終了直後、アナタハン島で墜落した連合軍機から日本軍兵士が機内から壊れた4丁の拳銃を発見し、これを2丁の拳銃にしたのも「共食い」である。
なお、現代の自衛隊においても生産終了した個体の維持のため、用途廃止した個体から程度の良い部品を調達することがあり、こういった整備・運用を共食い整備などと呼ぶこともある(特に初期の73式トラックのゲタ山タイヤはメーカーからの供給も途絶えたため、廃車予定の個体からタイヤを使いまわすことも多かったと聞く)。
一方、本来は故障品や廃棄品から動作品に対して部品を移植したり、複数の故障品から動作するものを作り上げるものが共食い整備であったが、一部では予備品から部品を移植するという共食い整備を行っている事例があり、有事の際の稼働率低下が指摘されており問題になっている。