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伝達関数
伝達関数とは、制御系(システム)の入出力特性を表す関数。古典制御の基礎である。
概要[編集]
伝達関数は、すべての初期値を0としたときの、制御系の出力と入力のラプラス変換(またはZ変換)の比で表される。 ラプラス変換から得られる伝達関数はs領域の伝達関数であり連続量に対応する。一方、Z変換から得られる伝達関数はz領域の伝達関数であり離散値に対応する。
種類[編集]
閉ループ伝達関数[編集]
フィードバック制御における入出力特性を表す伝達関数。
フィードバック制御性能の分析に用いられるが、式が複雑になりやすい。
開ループ伝達関数[編集]
開ループ制御の伝達関数、あるいは、フィードバック制御における誤差から出力までの伝達関数。
制御対象の伝達関数と制御器の伝達関数の積である。
閉ループ伝達関数より簡単になりやすい。
一巡伝達関数[編集]
フィードバック制御における誤差から観測量までの伝達関数。
制御器に入力した信号がフィードバックループを一巡して戻るまでの伝達関数である。
一巡伝達関数と開ループ伝達関数は等しくなることも多々ある。
一巡伝達関数と開ループ伝達関数には絶対的な定義があるわけではなく、どちらも全く同じものとすることも多々ある。
求め方[編集]
s領域の伝達関数は、主に系の微分方程式のラプラス変換によって得られる。(時間微分d/dtをsにする。) 対象となる微分方程式として、運動方程式や回路方程式が挙げられる。
s領域の伝達関数からz領域の伝達関数を求める方法は、Z変換#双一次変換やZ変換#インパルス不偏変換を参照されたい。
安定性評価[編集]
制御系の安定性評価には、しばしば伝達関数を用いる。特に伝達関数が有理関数のときは分母多項式の解である極から判定できる。 s領域では極が複素平面中の左右どちらの反平面か、z領域では極の大きさが1未満かである。z=e^sであることからこれらは等価であることがわかる。(sの実部が負ならばzの大きさは1未満になる。)
伝達関数が既知の場合[編集]
分母多項式が4次以下で解の公式が適用できたり、因数分解によって直接解が出る場合は、簡単である。 さらに、伝達関数を2次以下の形に近似する方法もある。s領域の伝達関数では代表根(原点に近い根の組)を用いて近似でき、その時間応答もおおよそ似た波形になる。
しかし、5次以上で解の公式が適用できない場合は直接解を出さないで、その解のもつほしい情報だけを取り出して判定する方法も用いられる。例えば、ラウス表やフルビッツ行列がある。
伝達関数が未知の場合[編集]
しかし、伝達関数が未知(式として求まっていない)のときは前項の方法は使えない。そこで伝達関数を測定してグラフ上にプロットする、ナイキストの安定判別法のような方法もある。