有理関数(ゆうりかんすう)とは、関数の一種である。
変数、および定数の四則演算(和、差、積、商)だけで表される関数のことを、有理関数と呼ぶ。有理関数は、多項式÷多項式の形で表される。
有理関数の和、差、積、商は有理関数となる。また、有理数上、実数上、複素数上いずれでも定義できるが、全ての数で定義できるとは限らない。
一変数の場合[編集]
変数が一つだけの場合、有理関数は、m次多項式、n次多項式を用いて、次の様に表される。
有理関数は、となるに対しては定義できない。であれば、代数学の基本定理よりとなる複素数が必ず存在するため、複素数全体で定義することはできない。が奇数かつ係数が全て実数であれば、は必ず実数解を持つので、全ての実数に対して定義することもできない。
要注意なのがの時で、この様になるに対しても定義してはいけない。この場合、後述の記法を用いて、約分することでゼロ割りにならない様に「錯覚」する場合があるので要注意。
複素数係数の有理関数であれば、代数学の基本定理を用いることで、多項式の因数分解が可能であり、次の様な形に直すことができる。
この時、一般的にはの解、即ちでとなるので、のことを「零点」と呼ぶ。一方、の解、では定義できないが、これらの点の近傍では無限大に近い値となるので、のことを「極」と呼ぶ。
一般的に、零点は分子の次数分、極は分母の次数分存在する。しかし、複数の零点、あるいは極が重複する場合もあるので、次数だけで零点・極の数が特定できるわけではない。
なお、零点と極が重複する様に見える時、即ちの場合は、零点とは呼ばない。極と呼ぶかどうかは人により意見が異なる。というのは、例えばという関数を考えた場合、では定義できないので極であるとも言える。一方で、ならばと同じであり、であればとなり発散しないので、極でないとも言える。
関連項目[編集]