ピーター・ナバロ
ピーター・ケント・ナバロ(Peter Kent Navarro、1949年7月15日 - )は、経済学者で大統領補佐官、国家通商会議委員長(現職)である[1]。カリフォルニア大学ザ・ポール・メレッジ・スクール・オブ・ビジネスの名誉教授で、『中国による死』を含む、著作の著者である。妻は建築家のレズリー・レボンである。
対中国強硬派として知られ、対中国に関してドナルド・トランプ政権では最も厳しい[2]と言われる。WTO加盟以来、中国は宣戦布告なしで貿易戦争をアメリカに仕掛けていると批判する。
概要[編集]
マサチューセッツ州、ケンブリッジで1949年に生まれる。父のアルフレッド・ナバロはサクソフォンとクラリネットの奏者で、夏はニューハンプシャー、冬はフロリダで演奏するハウス・バンドのリーダーである。両親はナバロが9歳か10歳のときに離婚したため、母親とともにフロリダに住んでいた。
奨学金を得てタフツ大学に進学した。1972年に教養学士の資格を得て卒業した。その後、1979年にハーバード・ケネディ・スクール公共政策大学院で公共経営修士(専門職)を得て、1986年にPhD(経済学博士)を得る。
1970年代は米国・エネルギー省で政策アナリストであった。1981年から1986年まで、ハーバード・エネルギー環境政策センターに勤務した。1985年から1988年まで、カリフォルニア大学サンディエゴ校とサンディエゴ大学で教鞭をとった。1989年にカリフォルニア大学アービング校の経済学と公共政策の教授となった。主としてエネルギー問題と米国とアジアをテーマに研究した。
1999年頃は、ヒラリー・クリントンも尊敬するほどのリベラル経済学者であったとされる[3]。連邦議会選挙に民主党から立候補したことがあり、さらにカリフォルニア州サンディエゴ市の市長選挙や市議会議員選挙にも立候補したがいずれも落選している[4]。
2016年の大統領選挙では、トランプ陣営の経済政策アドバイザーとなった。
2016年12月21日、トランプ次期大統領(当時)は、ホワイトハウス内に「国家通商会議」を新設し、そのトップにピーター・ナバロ・カリフォルニア大学教授を起用すると発表した[5]。2017年1月20日にピーター・ナバロは国家通商会議委員長に就任した。通商政策について大統領に助言するほか、製造業の分析と労働者の雇用促進施策を提言する[4]。
2019年7月2日、米メディアCNBCのインタビューで、ナバロ補佐官は米国内の次世代通信規格(5G)に中国のファーウェイを排除する方針に変更はないと言明した[6]。翌日の7月3日、ナバロNTC委員長は、米国が政策金利を引き下げ、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を議会が承認すれば、ダウ平均は3万ドルに達するだろうと、述べた[7]。
著書[編集]
- Peter Kent Navarro(2015):"Crouching Tiger: What China's Militarism Means for the World" Prometheus Books、ISBN-10: 9781633881143
- 日本語訳:『米中もし戦わば――戦争の地政学』文藝春秋、2016年
- Peter Navarro、Greg Autry(2011):"Death by China: Confronting the Dragon – A Global Call to Action"Pearson FT Press、ISBN-10: 0134319036
関連項目[編集]
注[編集]
- ↑ Peter NavarroWhitehouse
- ↑ ナバロ氏、米政権きっての対中強硬派日本経済新聞、2018/12/22
- ↑ Peter Navarro Used To Be a Democrat. Now He’s the Mastermind Behind Trump’s Trade WarTime、2018年8月23日
- ↑ a b ピーター・ナバロNHK、2017年10月10日
- ↑ 【米政権交代】トランプ氏、新設「国家通商会議」トップに対中強硬派BBC、2016年12月22日
- ↑ ナバロ米大統領補佐官「5Gのファーウェイ排除変更なし」
- ↑ ナバロ氏、ダウ平均「3万ドル」を予想Bloomberg、2019年7月4日