ニコラス・ピレッジ
ニコラス・ピレッジ(英:Nicholas Pileggi,1933年2月22日[1] - )は、アメリカ合衆国の作家、プロデューサー、脚本家。マーティン・スコセッシ監督のマフィア映画『グッドフェローズ』(1990年)、『カジノ』(1995年)の原作となったノンフィクション作品『ワイズガイ』(1985年)、『カジノ』(1995年)を執筆した。ニック・ピレッジ[2]、ニック・ピレッギ[3]、ニコラス・ピレッギとも表記される[4]。
初期の経歴[編集]
ニューヨーク市ブルックリン区出身[5]。父の二コラ・ピレッジはイタリアのカラブリア州カタンザーロ県マイダに生まれ、1911年頃にアメリカに移住した[6]。サイレント映画のオーケストラでトロンボーンを演奏していた音楽家で[7]、その後、ブルックリンで靴屋、洋服屋を経営していた。父は画家のトニー・ピレッジの兄弟だった。母のスーザン・デ・パオロはイタリア系アメリカ人で、ジャーナリストのゲイ・タリーズの母の妹だった[6]。
文学の教師になろうと思っていたが、AP通信の雑用係の仕事に誘われて、ジャーナリズムの世界に入った[5]。1956年から1968年までAP通信の記者、1968年からニューヨーク・マガジンの編集長を務め[1]、30年以上にわたって犯罪報道記者として活躍した[7]。
キャリア[編集]
ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせ、マフィアに深い関心を持ち続けてきた[7]。マーティン・スコセッシ監督のマフィア映画『グッドフェローズ』(1990年)、『カジノ』(1995年)の原作となったノンフィクション作品『ワイズガイ――マフィア・ファミリーの生活』(1985年)、『カジノ――ラスベガスの愛と名誉』(1995年)を執筆したことで最も知られている。映画版はいずれもスコセッシと共同で脚本を担当し[8]、『グッドフェローズ』でアカデミー賞脚色賞にノミネートされた。
アル・パチーノ主演の映画『訣別の街』(1996年)の脚本も担当している。フランク・ルーカスの半生を描いた映画『アメリカン・ギャングスター』(2007年)では製作総指揮の1人を務めた。また探偵小説『私立探偵ブライ』(1976年)の著者でもある[9]。
CBSのテレビドラマシリーズ『VEGAS/ベガス』のパイロット版の原案を共同で執筆し、2012年9月に初放送された[7]。
私生活[編集]
作家、ジャーナリスト、映画監督であるノーラ・エフロンの3番目の夫[10]。1987年にエフロンと結婚し、2012年に彼女が亡くなるまで連れ添った。エフロンとは60年代半ばに知り合ったが、当時はそれぞれ別の人物と結婚していた[7]。
フィルモグラフィー[編集]
※邦題が定まっていないものは、邦題の欄に原題の直訳を記載し、原題にリンクを付けている。
公開年 | 邦題 | 原題 | 担当 | 受賞・ノミネート歴 |
---|---|---|---|---|
1986 | ワイズ・ガイズ | Wise Guys | 脚本 | – |
1990 | グッドフェローズ | Goodfellas | 脚本、原作 | 英国アカデミー賞 脚色賞 シカゴ映画批評家協会賞 脚色賞 アカデミー賞 脚色賞ノミネート ゴールデングローブ賞 脚本賞ノミネート 全米脚本家組合賞 脚本賞ノミネート エドガー賞 最優秀映画賞ノミネート |
1993 | パパと呼ばれて大迷惑!? | Father Hood | プロデューサー | – |
1994 | 忠誠と裏切り:アメリカン・マフィアの物語(TV映画) | Loyalty & Betrayal: The Story of the American Mob | 脚本、プロデューサー | – |
1995 | カジノ | Casino | 脚本、原作 | – |
1996 | 訣別の街 | City Hall | 脚本 | – |
1997 | マイケル・ヘイズ(TVシリーズ) | Michael Hayes | 脚本、プロデューサー | – |
1999 | シシリアン 虐殺の地(TV映画) | Vendetta | プロデューサー | – |
2007 | マイアミ・ギャングスター | Kings of South Beach | 脚本、プロデューサー | – |
アメリカン・ギャングスター | American Gangster | 製作総指揮 | – | |
2012 | VEGAS/ベガス | Vegas | 企画・原案、製作総指揮 | – |
2019 | マイヤー・ランスキー・ダイアリーズ(TVシリーズ) | The Meyer Lanksy Diaries | 脚本 | – |
アイリッシュマン | The Irishman | 製作総指揮 | – | |
2021 | 題名の無いショータイム/マフィア・プロジェクト(TVシリーズ) | Untitled Showtime/Mafia Project | 製作総指揮 | – |
2024 | ワイズ・ガイズ | Wise Guys | 脚本 | – |
著書[編集]
- Pileggi, Nicholas 『Blye, Private Eye』 Playboy Press, Chicago、1976年、First。ISBN 978-0-87223-475-8。
- Pileggi, Nicholas 『Wiseguy: Life in a Mafia Family』 Simon & Schuster、1985年、First。ISBN 978-0-671-72322-4。
- 平尾圭吾訳『ワイズガイ――わが憧れのマフィア人生』徳間書店、1989年11月。ISBN 978-4-193440-94-2。
- 平尾圭吾訳『グッドフェローズ』徳間書店[徳間文庫]、1990年9月。ISBN 978-4-195991-78-7。映画公開に合わせて改題・文庫化したもの。
- Pileggi, Nicholas 『Casino: Love and Honor in Las Vegas』 Simon & Schuster、1995年、First。ISBN 978-0-684-80832-1。
- 広瀬順弘訳『カジノ』早川書房[ハヤカワ文庫NF]、1996年1月。ISBN 978-4-150502-00-3。
出典[編集]
- ↑ a b Nicholas Pileggi Biography (1933-) Film Reference
- ↑ シシリアン 虐殺の地 TSUTAYA
- ↑ デイヴィッド・トンプソン、イアン・クリスティ編、宮本高晴訳『スコセッシ・オン・スコセッシ――私はキャメラの横で死ぬだろう』フィルムアート社、1992年、226頁
- ↑ 長谷川貞之「財産上の負担を伴う表現行為の規制と「やむに已まれぬ利益」―ニュ―ヨ―ク州サムの息子法をめぐる違憲判決を中心に―」『日本法學』第82巻第3号、2016年12月
- ↑ a b Patrick, Vincent (1996年1月26日). “Not So Organized Crime”. New York Times 2019年3月2日閲覧。
- ↑ a b Maida, la “fortuna” di Martin Scorsese e l’incontro con Nicholas Pileggi “figlio” di Calabria ilReventino、2019年11月24日
- ↑ a b c d e Adams, Tim (2013年2月3日). “Nicholas Pileggi: the mob, Nora Ephron's death and Vegas”. The Guardian. 2016年1月31日閲覧。
- ↑ Vlastelica, Ryan (2015年9月18日). “Goodfellas turned Wiseguy's simple prose into cinematic gold”. AV Club
- ↑ “BLYE, PRIVATE EYE: The Real World of the Private Detective by Nicholas Pileggi”. Kirkus Reviews. 2016年1月31日確認。
- ↑ Fleeman, Mike, "Nora Ephron, Writer-Director of Sleepless in Seattle, Dies at Age 71", People magazine, Tuesday June 26, 2012