推理小説

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推理小説(すいりしょうせつ)は、小説のジャンルのひとつ。犯罪(おもに殺人が多いが、誘拐・盗難・失踪などもある)を探偵が調査し犯人を暴く内容が基本だが、犯人側から描くものや未解決に終わるものなど例外もある。探偵小説(たんていしょうせつ)、ミステリー小説(みすてりーしょうせつ)などと呼ばれる場合もある。

歴史[編集]

黎明期[編集]

エドガー・アラン・ポーの短編小説「モルグ街の殺人」(1841年[1])が世界最初の推理小説であるといわれる。ただし、それ以前にも、聖書外典ダニエル書補遺』の中の『ベルと竜』[2]にも推理要素のある物語は存在していた。

1866年、エミール・ガボリオは、世界最初の長編推理小説「ルルージュ事件」を発表した。

イギリスではウィルキー・コリンズが1868年に、「英語で書かれた最初で最長にして最良の長編推理小説」といわれる『月長石』を出版。但し果たして、「最初」か「最長」か「推理小説」なのかについては異論もある。

1878年にアンナ・キャサリン・グリーンが書いた『リーヴェンワース事件』は、女性により書かれた初めての長編推理小説と言われている。

ホームズの登場[編集]

ポーによって誕生した推理小説[3]は、シャーロック・ホームズの登場によって、読者を獲得した。 他の作家たちも、ソーンダイク博士やブラウン神父、隅の老人、思考機械など、次々とホームズのライヴァルといわれた探偵たちを登場させた。

この時代は、「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズの「赤毛組合」や「ボヘミアの醜聞」に代表されるように、短編推理小説が中心であった。

また、フランスではアルセーヌ・ルパンが注目され、ガストン・ルルーが「黄色い部屋の謎」を発表した。

長編の時代[編集]

1913年ベントリーの「トレント最後の事件」が出版すると、イーデン・フィルポッツの「赤毛のレドメイン家」、ミルンの「赤い館の秘密」、メイスンの「矢の家」など推理小説の長編が次々と発表された。

また、この頃からアガサ・クリスティのエルキュール・ポワロ、ヴァン・ダインのファイロ・ヴァンス、クイーンの作家と同じ名前のエラリー・クイーン、カーのフェル博士など、本格推理小説と呼ばれる長編の探偵たちが次々デビューした。

日本[編集]

時代小説からの変化[編集]

黒岩涙香が明治22年(1889年)に発表した『無惨』(別題『三筋の髪、探偵小説』)が、日本人初の推理小説とされる。

大正6年(1917年)、岡本綺堂は、ドイルの「ホームズシリーズ」に影響を受け、「三河町の半七」を主人公にして『半七捕物帳』を書き始め、「捕物帳もの」というジャンルを出現させた。

山手樹一郎の「遠山の金さん」は江戸の町で殺人事件が起き、遠山金四郎景元が容疑者を探すという「お白洲もの」である。陣出達朗の金さんシリーズは最初から判っている悪人に桜吹雪を見せる「時代小説」でありミステリ要素は薄い。

主要作家[編集]

海外[編集]

日本[編集]

トリック[編集]

詳細は「カテゴリ:推理小説のトリック」を参照

脚注[編集]

  1. グレアムズ・マガジン1841.4
  2. 邦訳「名探偵登場」「クイーンの定員」早川書房など
  3. 「モルグ街の殺人」と同年に、ディケンズもミステリ要素とトリックのある「バーナビー・ラッジ」を書いている。
  4. 近年、内外の推理ランキング『このミステリーがすごい!』などに例年連続でランクイン。
  5. 黒岩が明治22年(1889年)に発表した『無惨』は、日本人初の創作推理小説と言われる。