スキニー・レイザー
スキニー・レイザー(英語:Skinny Razor、本名:フェリックス・ジョン・ディトゥリオ(Felix John DiTullio)[1]、1907年8月3日 - 1966年4月[2])は、アメリカ合衆国のマフィア幹部。フィラデルフィア・ファミリーのカポレジーム、バー「フレンドリー・ラウンジ」のオーナー。
経歴[編集]
ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ[2]。1950年代にフィラデルフィアの8番街とワシントン・アベニューの角にバー「フレンドリー・ラウンジ」を開店した[3]。ディトゥリオは前科があったため、パートナーでフィラデルフィア・ファミリーのメンバーのアルフレッド・イエッツィに酒類販売免許を持たせていた。イエッツィは1955年12月から1966年12月まで酒類販売免許を持ち、1966年12月にディトゥリオの妻に譲渡した[4]。
ディトゥリオはアンジェロ・ブルーノに仕える刺客で、フィラデルフィア・ファミリーのカポレジームだった。密輸業者としてスタートを切り、取り立てやゆすりもするようになった。またニコデモ・"リトル・ニッキー"・スカルフォやラルフ・ナターレといったのちにボスとなるマフィアたちのメンターだった[5]。スカルフォが甥のフィル・レオネッティに語った話によると、1954年か1955年にスカルフォがラ・コーザ・ノストラに入ったとき、最初に配属された先のカポがディトゥリオだった。ディトゥリオの存命中にフレンドリー・ラウンジは殺人に使われていた[4]。ナターレによると、ディトゥリオは「伝説的なマフィアの殺し屋」で、フレンドリー・ラウンジは「マフィアの新入りのための教室」だった[3]。
Robert Grey Reynolds Jrの『Felix "Skinny Razor" DeTullio Philadelphia and Atlantic City Mafia Enforcer and Loan Shark』(Smashwords Edition、2017年)によると、1950年代後半から1960年代にかけてフィラデルフィアの犯罪シンジケートの中心的存在におり、銀行に金を貸してもらえない裏社会の人物や実業家に金を貸すことが主な仕事だった[6]。1966年に自然死するまでニュージャージー州カムデンに住んでいた[6]。
通り名の由来[編集]
フランク・シーランによると、スキニー・レイザーという通り名はかつて生きた鶏を売る店をやっており、客がどれを買うか決めると一直線の剃刀(レイザー)で鶏の首を切ったことから名付けられた。レイザーはフレンドリー・ラウンジを経営しつつノミ屋と高利貸しの胴元もしていた[7]。アパラチン会議の後、シーランは彼がアンジェロ・ブルーノのアンダーボスでフィラデルフィアのナンバー・ツーであることを知った[8]。
ラルフ・ナターレの回想録『Last Don Standing』によると、スキニー・レイザーという通り名はスーツのジャケットに剃刀を入れていたことから名付けられたもので、彼は「伝説的なマフィアの殺し屋」だった。ただしフレンドリー・ラウンジを引き継いだ息子は2017年にフィラデルフィア・インクワイアラー紙の取材でこのような話を否定し、通り名は痩せていて(スキニー)、剃刀のようにシャープな格好だったからだと話している[3]。
映画[編集]
2019年に公開されたマーティン・スコセッシ監督の映画『アイリッシュマン』では、ボビー・カナヴェイルがスキニー・レイザーを演じている。
出典[編集]
- ↑ The Story of the First Mob Boss to Turn Rat Vice、2017年10月3日
- ↑ a b The Irishman vs. the True Story of Frank Sheeran and Jimmy Hoffa HistoryvsHollywood
- ↑ a b c A bartender or a mob underboss? Untangling Skinny Razor's story at Friendly Lounge Philadelphia Inquirer、2017年11月1日
- ↑ a b “New Jersey State Commission of Investigation's 1992 report on the Mafia(PDF)”. The Washington Post. 2022年8月1日確認。
- ↑ Who’s Who in The Irishman: A Character Guide VULTURE、2019年11月27日
- ↑ a b Felix "Skinny Razor" DeTullio Philadelphia and Atlantic City Mafia Enforcer and Loan Shark Rakuten kobo
- ↑ チャールズ・ブラント著、高橋知子訳『アイリッシュマン 上』ハヤカワ文庫NF、2019年、128頁
- ↑ 『アイリッシュマン 上』143頁