サケガシラ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
サケガシラ
分類
動物界
アカマンボウ目
フリソデウオ科
サケガシラ属
サケガシラ
名称
学名Trachipterus ishikawae
Jordan & Snyder 1901
和名サケガシラ (鮭頭 or 裂頭)
英名Slender ribbonfish
保全状況

サケガシラは、アカマンボウ目フリソデウオ科に属する深海魚である。

形状[編集]

体は銀白色で鰭は朱色。最大2.7mになる[1]。腹縁に沿って鋭い結節が並び、体形は直線的に細長い。体に鱗は無い。

背鰭棘は178〜195本で、胸鰭棘は1+12~13本、尾鰭棘は9+4本である。脊椎骨数は80〜83本。

背鰭は眼の上から尾まである。尾鰭と腹鰭は小さく、臀鰭は無い[2]

水圧に押しつぶされるため浮き袋は持たない[3]

深海が光が乏しいため、目の直径は、5cm以上になる。

口吻は、下に向かって突き出る[4]。幼魚には黒斑がある[5]

近縁種との違い[編集]

リュウグウノツカイ
リュウグウノツカイは、背鰭の第1~6鰭条と腹鰭が糸状に伸びているが、サケガシラは伸びない。また腹鰭が小さく、口が下端にある。
テンガイハタ
テンガイハタは、体側に5個の黒斑がある。
また頭部の背縁から吻部の傾斜は、テンガイハタが急だが、サケガシラはゆるやか。

生態[編集]

北海道高知県沖、沖縄県台湾の沖合の200~500mに生息する[6][7][8][9][10][1]

肉に味がなく、加熱すると肉がゼラチン状になる[4]

名前の由来は、「サケの群れを連れてやってくる」という伝説に由来する説[4]と頭が裂けたように見えるからという説がある[2]

日本側の海岸では、冬の荒天時に打ち上げられることがある[10]。打ち上げられると地震が起きるという伝承があり「地震魚」と呼ばれる[11]

体を斜めにし、背びれで立ち泳ぎする[3]

分類[編集]

本種は、1901年にジョルダンとヘルマン・シュレーゲルによって新種記載された[12]。タイプ産地は、東京湾口沖で、三崎と房州の間である。種小名は、日本の動物学者である石川千代松博士に由来する。

サケガシラ属の分類は諸説あり、本種はテンガイハタのシノニムとする説も存在する。またT. arawataeは、サケガシラかT. jacksonensisの幼体であろうとされている[13]

脚注[編集]

出典
  1. a b Trachipterus ishikawae”. FishBase. 2022年8月28日確認。
  2. a b 持ち込まれた魚(平成26年3月19日)サケガシラ”. 新潟県ホームページ (2019年9月2日). 2022年4月9日確認。
  3. a b 熊木豊 (2008年11月7日). “丹後の海の生き物(サケガシラ)”. 京都府ホームページ. 2022年4月9日確認。
  4. a b c 澤村正幸「アカマンボウ目の珍魚2種:テングノタチとサケガシラ」、『北水試験だより』第79巻、2009年、 25頁、2022年4月9日確認。
  5. 武田寛史 (2014年5月30日). “富山湾でサケガシラ幼魚 23日に続き2例目:富山”. www.chunichi.co.jp (中日新聞). オリジナル2014年6月27日時点によるアーカイブ。. https://archive.ph/1HKkO 
  6. 珍魚採集報告第114号 サケガシラ”. 東京都島しょ農林水産総合センター. 2022年4月9日確認。
  7. “珍しい深海魚「サケガシラ」捕獲 播磨灘”. www.sankei.com (産経新聞). (2019年5月14日. https://www.sankei.com/article/20190514-BCIVIHQEPVK4JBDLHBLBFIPABY/ 2022年4月9日閲覧。 
  8. リュウグウノツカイ近縁種「サケガシラ」の偶発的漁獲について”. 新潟市水族館 マリンピア日本海. 2022年4月9日確認。
  9. “何かの異変?深海魚サケガシラ、相次ぎ見つかる : 科学 : YOMIURI ONLINE”. www.yomiuri.co.jp (読売新聞). (2013年1月23日). オリジナル2013年1月26日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130126085059/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130122-OYT1T00229.htm 2024年1月27日閲覧。 
  10. a b サケガシラとおもわれる魚の写真を送っていただきました。”. 国立科学博物館魚類研究室. 2022年8月28日確認。
  11. サケガシラが漂着しました”. 美の国あきたネット (2014年7月3日). 2022年4月9日確認。
  12. Jordan, D. S.; Snyder, J. O. (1901). “Descriptions of nine new species of fishes contained in museums of Japan”. Tokyo Teikoku Daigaku kiyo (Tokyo Teikoku Daigaku) 15: 301-311. https://biostor.org/reference/57646. 
  13. Jennifer M., Martin (2015). “Phylogeny, ontogeny and distribution of the ribbonfishes (Lampridiformes: Trachipteridae)”. The College of William and Mary.