キャベツ
キャベツとは、アブラナ科の植物であり、いわゆる「十字花植物」の一種ではあるが、「葉牡丹」くらいしか花を見られることがないのであまり知られていないかもしれない。葉牡丹・ブロッコリー・カリフラワーは同種であるが、一般にこれらはキャベツに含まない。葉を観賞するのが葉牡丹、つぼみを食用にするのがカリフラワー[1]、花を食用にするのがブロッコリーで、葉を食用にするのが通常の意味におけるキャベツである。
概要[編集]
一般的な野菜である。十字花植物であり、大根や蕪などとも近縁である。毒素としては辛味成分であるシニグリンを含むが、人体にはほとんど影響はない。ただし昆虫にとっては毒素であり、いわゆるモンシロチョウはシニグリンに耐性があるため食草とする。
青汁の原料として知られるケールは同種である。「キャベツとは結球性のケールである」という定義も可能である。
人間生活との関わり・利用[編集]
多様な利用法がある。
- 生のまま繊切りとしてサラダや付けあわせ、やや幅広に刻んでパリパリキャベツ、漬物などとして利用。
- ロールキャベツ
- シチー
- コールスロー
- ザウアークラウト
- 焼きそば
- 餃子(鍋貼子)
- お好み焼
などが知られている。消化を促進する酵素を含むことでも知られている。
平らなまな板・よく手入れされた、薄刃で幅広の包丁があると便利であり、幅広のピーラーもあると便利である。刃物マニアにとっては「料理するたびに心が浮き立つ」野菜のひとつである。
調理[編集]
いわゆるキャベツについて述べる。芽キャベツについては宣べない。
下ごしらえに二種類あり、繊切りにする場合とロールキャベツにする場合が基本であろう。
繊切り[編集]
繊切りには二種類ある。
ひとつは縦に四等分してから中心部の茎の部分を切りとって除き、横に繊切りにしてゆくもの。餃子や焼きそばやお好み焼きやボルシチはこのくらいでよい。
もうひとつは“お上品な”繊切りである。文化包丁の手前の角などで葉を一枚一枚はがしてゆく。中心に近い部分は柔らかいので別途用いてももよい。
次に葉の中心部を通っている葉芯を切りとる。こちらは薄く斜めにスライスして別途使ったり、煮込み料理のときに野菜出汁として使ってもよい。
葉の部分は、まず四センチから5センチ程度[2]の帯状にして重ねてゆく。これは繊維のパリパリ感を愉しむため。それから繊維に平行に細かく刻んでゆく。これはそのまま使ってもよいが、付けあわせやサラダにする場合は大きめのボウルに水を張ったところに放してほぐし、弁慶笊などに手で掴んで移して水を切る。残った細かい部分は別途水切りしてから刻んでタルタルソースやサラダドレッシング混ぜて無駄なく使おう。
繊切りのコツとしては、包丁を持たない側の腕の肘を外に張り、拳は「猫手」[3]にし、水を張った大きめのボウルを用意しておいて1mm~2mmに刻み、俎板が狭くなってきたら水に漬ける。「そんなことをしたら、キャベツの栄養が抜けてしまう!!!」と主張する奴もいるが、それで栄養が抜けるほど細胞は大きくもなければ細胞壁はヤワではない。浸透圧の関係上、水分を吸収してパリパリ感・シャキシャキ感が際立つ。
トンカツ、フライ盛り合わせ(アジフライやミックスフライなどを含む)などのつけあわせとして用いられることもあるが、西欧料理では「冷たいものと熱いものを一つの皿に盛ってはいけない」というタブーがあるらしく、嫌われることもあるという。
なお、紫キャベツや新タマネギ(紫も可)があるなら混ぜると彩りがよくなる[4]。
煮込み料理の場合は月桂樹の葉とともに、鶏・豚・牛などの出汁で煮るのがロシアを含む東欧では一般的な大衆食として知られている。ウクライナにおけるボルシチ(いわゆる「ビート」・サトウダイコンを用いることが多い)は「ボル」(肉)+「シチ」であり、「肉が入っているだけマシ」という代物だったという。したがって、家庭でシチーを作るときはマギーのブイヨンなどを加えるとそれなりの味になる。
ロールキャベツ[編集]
大型の鍋をいくつも用意したりローリエが必須だったり干瓢をもどしたりといろいろ面倒臭い部分はあるが、まぁ峠は三つくらいあるものの難しい料理ではない。
第一の難所は「出汁」だが、まぁ業務用食材店で骨付き牛肉の安いのを見つけたら気長に出汁を取るだけなので、いろいろ使いまわせるしさほど面倒臭くはない。なけりゃ固形ブイヨンと水でごまかせる。
第二の難所はプチナイフかなにかでキャベツの芯を削り取り、それを大鍋に入れて一枚一枚剥がしてゆくところだ。
三番めは中のタネを捏ねるところで、手は冷たいは握力と腕力は使うわボウルは安定しないわで、「これで不味かったら絶望的だな」という苦行的な行動である。まぁ、これが楽にこなせたら饂飩だろうが陶芸だろうが怖いものなしなのだが。
あとは丸めてキャベツの葉二枚できっちり包んで干瓢で結んで(面倒臭かったら爪楊枝で留めてもよい)鍋にぎっしりきっちり整然と詰め込んでひたひたの出汁か水とブイヨンを入れてローレルを入れて蓋をしてなるべく弱火で放ったらかしておけば代替なんとかなる。
劇的に美味くもならんし劇的に不味くもならないという無事な料理である。ただしローレルを忘れると残念な感じになるし、挽肉にナツメグを足すとなんとなく味が深くなるくらいの違いはある。