鰹節

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鰹節
かつおぶし
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100gあたりの栄養成分一覧
カロリー356kcal
たんぱく質77.1g
脂質2.9g
炭水化物0.8g
ビタミンD6μg
ビタミンE1.2mg
ビタミンB10.55mg
ビタミンB220.35mg
ナイアシン45mg
ビタミンB620.53mg
ビタミンB1214.8μg
葉酸11μg
パントテン酸0.82mg
ビオチン14.9μg
ナトリウム130mg
カリウム940mg
カルシウム28mg
マグネシウム70mg
リン790mg
5.5mg
亜鉛2.8mg
0.27mg
ヨウ素45μg
セレン320μg
クロム1μg
モリブデン1μg
イノシン酸600mg
イノシン酸600mg
コレステロール180mg
食塩0.3g
DHA560mg
EPA99mg
100gあたりの必須アミノ酸一覧
ロイシン5.9g
リシン(リジン)6.6g
トレオニン3.5g
バリン4g
トリプトファン0.95g
メチオニン2.2g
ヒスチジン5.6g
フェニルアラニン3g

鰹節(かつおぶし)とは、カツオ燻製である。

概要[編集]

特徴[編集]

棒状で非常に固く、そのまま食用にすることはなく、削って使用する。筋肉血液等の基となるタンパク質をはじめ、リンカリウムビタミンD等を多く含んでいる。また脂肪の酸化を防ぎ動脈硬化の予防に効果的なビタミンカルシウムミネラルなども含んでいるため、非常に栄養価の高い食品と言える。

歴史[編集]

鰹節の原型は、712年(和銅5年)頃に編纂された古事記に登場する「堅魚(かたうお)」とされており、それ以前の3世紀中頃には既に生産されていたと考えられている。

当時の日本では、堅魚の基となる鰹は極めて貴重なタンパク源とされており、701年大宝元年)の大宝律令757年天平宝字元年)の養老律令の発令時には、鰹の漁獲量の多い地域には、鰹浦(鰹を水揚げする湾)を制定し、煮干し鰹や煎汁の献納を強制していたとされている。

室町時代には、煮干し鰹を焙乾する技術が伝えられ、より現在の鰹節に近い形態のものが作られるようになり、より鰹節の生産が活発化することとなる。 この頃から煮干し鰹の焙乾を行う「焙乾小屋」という設備が各地に整備された。主な地域は五島、平戸、紀伊、志摩、土佐等が挙げられる。 当時の焙乾小屋は台所との兼用のような形態になっており、囲炉裏の上部に設置されていた平籠に鰹を置きしばらく放置すると、台所での煮炊きによる熱や煙、水蒸気などによって自然と焙乾が進むようになっていた。 こうして主に九州地方で生産された鰹節はポルトガル、イギリス船を経由し、当時のシャム国へと輸出されていき、鰹節は世界各地へと広がり始める。

その後、紀州の焙乾小屋が大幅に改良されたことにより、徐々に大阪堺港の商人、京都の上流家庭からの支持を受けるようになる。この時代は煮物・汁物料理の隆盛に伴い、従来の調味料だけでは不足感を感じざるを得ない状況となっていたため、鰹節を出汁等として重用する人々が増加したという。

その後、紀州にて生み出されたこの鰹節は「熊野節」という名で世間からの絶大な支持を受ける事となり、他の調味料と肩を並べるほどの必需品へ成り上がることとなった。

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製造工程[編集]

ここでは削り節の制作工程については言及しない。あくまでも本項では削る前の固い鰹節の製造工程について解説していく。

なお、これらの製造方法は一例であり、各社によって軽微な違いが見られる場合がある事をご留意いただきたい。

原料
原料のカツオは鰹節にする場合は脂肪分が少ないほうが良いとされ、脂肪分1〜3%のものが鰹節の製造に適している[1]
生切り
カツオの頭部と腹部を取って内臓を除去する工程[1]。伝統的には包丁で処理されるが、工場ではヘッドカッターが導入されているところが多い[1]。魚体の処理方法には薩摩型(地型)と改良型(焼津型)があるが後者が一般的になっている[1]。一般的に魚体が4kg以下のときは左右2枚に捌いて亀節、それより大きいものはさらに背肉と腹肉を分けて4枚とし本節にする[1]
籠立て
煮熟のために煮籠に節を並べる作業を籠立てという[1]。亀節の場合は皮付面、本節では身付面を下にして煮籠に並べる[1]
煮熟
節を並べた煮籠を重ねて煮釜に入れて加熱する[1]。鰹の死後、熟成する段階で自己消化核酸より生成されたイノシン酸は、これ以後の化学反応を経て腐敗を防ぐために酵素の活性を失活させるべく、高温の熱湯に漬ける「煮熟(しゃじゅく)」をすることにより、イノシン酸が固定される。煮熟の過程で湧出されたエキスも回収されて市販の製品に利用される[2]
骨抜き
煮熟した節から骨を抜く工程。
修繕
身卸し、煮熟、骨抜きの工程で欠けた部分に練り肉を埋め形を整える工程[1]
蒸煮
節を引き締め表面を殺菌するため100度〜120度で蒸して加熱する[1]
焙乾
蒸煮した節は硬木(ナラ、クヌギ、カシ、サクラ、モミ等)を焚いて焙乾するが、亀節では8〜10番火、本節では10〜15番火まで繰り返す[1]。この工程後に半日から一日、日乾したものを荒節という[1]
焙乾には手火山式と棚式があるが後者が一般的になっている[1]。江戸時代より鰹節の製造に使われてきた手火山式は、生切りした鰹をセイロに乗せた後、薪を使い高温に燻煙させて作る工程をいう。
削り
日乾した節は3〜4日放置し、表面についたタール質を削り取って形を整えるが、この工程を終えたものを裸節という[1]。伝統的には包丁で処理されたが、工場ではグラインダー型のやすりを付けた木製ドラムの機械が導入されているところが多い[1]
カビ付け
カビ付けの意義は完全には解明されていないが、優良カビによる水分や脂肪の除去、特有の香味の付与やだし汁の透明化、不良カビの抑制などの効果があるとされている[1]。裸節を2〜3日乾燥させてからカビ付け用の木箱に詰めてカビ付け庫(湿度80〜90%、温度27〜30度)[1]。カビ付けと日乾、日乾後のブラシでのカビの払い落しを繰り返すが、普通はカビ付け操作の回数で4番カビまで行われる[1]。カビを生やした枯節には、うま味成分やビタミン類が他の鰹節より多く含まれ、高級品として扱われている。血合いをそのままにしたものと除いたもの(血合い抜き)があり、用途にもよるが後者の方が繊細で上品な味になるため高級品とされる。

なお、カビ附けに用いられるカビの胞子のトップメーカーは「にんべん」である。
「かつを という字は何偏だったかね?」「そりゃあ、にんべん だろう」という小咄もある。

製品
乾燥の繰り返しにより製品の歩留まりは亀節では18%、本節では16〜17%になっている[1]

副産物[編集]

鰹節や鯖節の煮熟に使った煮汁を長時間加熱して煮詰めたものを「せんじ」という[1](煎脂[3]、鰹せんじ、鯖せんじ)。鯖せんじは屋久島で生産されている[1]。『和名類聚抄』などには堅魚煎汁(かつをいろり)の記述があり古くから調味料として使用されてきた[3]

鰹節(削り節)の使用例[編集]

  • ふりかけ
  • お好み焼き・たこ焼きのトッピング
  • 味噌汁の出汁

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情報元[編集]

脚注[編集]

  1. a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 第5節ふし類”. 鹿児島県水産技術開発センター. 2020年11月25日確認。
  2. 山本おさむそばもん ニッポン蕎麦行脚 第8巻』 小学館2011年。ISBN 978-4-09-184273-2 より「出汁のあれこれ」。
  3. a b 五百藏良、西念幸江、三舟隆之. “古代の調味料としての鰹色利”. 東京医療保健大学. 2020年11月27日確認。

関連項目[編集]