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BCL
BCL(Broadcast Listening)とは、海外からの国際放送(海外放送ともいう)を聴取する遠距離受信の一種で、国内外のラジオ放送の遠距離受信の愛好者(マニア)を指すこともある。海外ではSWL(Shortwave Listening、短波による受信)と呼ばれ、その名の通り短波放送がメインとなっている。
概要[編集]
短波の放送は電離層のF層で反射をすることから、夜間にE層で反射するのみの通常のAMラジオ(中波)よりも遠方まで届き、広い国土を持つ国の隅々や国境を越えた海外向け放送が可能である。2000年代にインターネットや衛星放送が普及する以前は、海外からの貴重な現地情報の入手元の一つとなっていた[注 1]。また、アマチュア無線などの無線通信に興味がある人々のファーストステップとされることもあった。
短波放送に限らず、ラジオ放送局は受信報告書を受け付けており[注 2]、その返礼としてベリカード(受信確認証)やベリレターという葉書サイズものが発行される。BCLの趣味の中にはこのベリカード(受信確認証)を収集するものも含まれており、後述のBCLブームの際の原動力にもなっていた。なお、受信報告書は単なる感想文ではなく、受信した信号の強度や受信場所・時刻・機器などを記す必要があるとされる。
日本におけるBCL[編集]
日本においては1970年代から1980年代に海外の短波放送の日本語放送を受信する「BCLブーム」が発生し、小学生から高校生などの青少年に短波放送が受信可能な短波ラジオが流行した。その流行に乗って登場したのがSonyのスカイセンサーや松下電器(現・Panasonic)のクーガなどのBCLラジオであった。
BCLブーム時はBCLラジオの高性能化と高級機の登場だけにとどまらず、BCL愛好者の連盟として日本BCL連盟(2000年代半ばに活動停止とされている)が発足するなど大いに盛り上がりを見せた。しかし、年々、高性能化する短波ラジオはその価格も高価になっていき、メインターゲットである中学生や高校生などの青少年には手が届かないものになってしまい、1980年代になりテレビゲームなどに興味の対象が移ったこと、ベリカード(受信確認証)をある程度収集して飽きてしまったものも多かったなどの要因から1980年代にはBCLブームも沈静化したとされる。
1980年代のBCLブームの終焉後、2000年代の後半からBCLラジオの蒐集をするものも増加した。特に、1970年代からのBCLブームを経験した世代が当時憧れた機種を購入するというものもあり、改めてBCL(短波放送の受信)の趣味を再開するという動きもみられるようになった。一方で現在も継続されているBCLラジオは数少なく、日本の家電メーカーが販売している現行のBCLラジオはかなり希少になってしまった。そのため、手軽にBCLを始めようとした場合は中国製のラジオを購入するケースが多くなっている[注 3]。
関連項目[編集]
- 乱数放送 - 乱数放送には短波放送がよく使用されていた。
- UVB-76 - 短波放送される乱数放送でも有名なもの。
- ジャミング - いわゆる国際放送の妨害電波。
- 遠距離受信
- アマチュア無線 - アマチュア無線愛好家の中にはBCL(短波放送の受信)の愛好者も多い。
- エアチェック - FMラジオ受信に使われる言葉。
- 三才ブックス - BCL(短波放送の受信)愛好者向けの雑誌を刊行。
- RUN RADIO - 自由国民社から刊行していたBCL愛好者向けの雑誌。