AdBlue
AdBlue(アドブルー)とは、尿素SCRシステムにおける還元剤として使用される尿素水の商標である。
概要[編集]
ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するために使用され、排気ガス中にAdBlueを噴射することで窒素酸化物をし水と窒素に還元することができる。
ディーゼルエンジンの排出ガス規制をクリアするために必要なものであり、2023年現在新車で販売されている自動車のディーゼルエンジンには一部を除いて必須であるとされている[注 1]。そのため、AdBlueが不足してくると補充を促すだけでなく、残量がなくなるとエンジンを始動できなくなるタイプの車が多い。
性質[編集]
尿素SCRシステムには高品質の尿素水が求められており、AdBlueは純水に尿素が溶け込んでいるものである。そのため、人体にとっては無害なものである。しかし、金属にとっては腐食性を有するため、取り扱いには注意が必要とされている。なお、氷点下11度で凍結する性質があり、厳冬期においても尿素SCRシステムを作動させるためにヒーターを設置したり、エンジンの冷却水で受け取ったエンジンの熱を尿素水タンクへ取りまわすなどの対応がとられている。
AdBlue不足[編集]
2021年に米中貿易摩擦に対する経済制裁に際し、中国側が報復としてオーストラリアからの石炭輸入を停止したことに起因する。尿素の原料となるアンモニアであるが、石炭の乾留の工程で得られる副産物からアンモニア合成により得ていたため、尿素の輸出を規制したために発生した。そのため、尿素の全量を中国からの輸出に頼っていた韓国を始め、中国からの輸入が多かった各国で混乱が発生。
日本でも一時は危機的な報道がなされたものの、原料となるアンモニアの国内生産体制があること、尿素の製造大手メーカーである三井化学が定修期間を終えて増産体制に入ったことから1、2か月程度で収束した。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ マツダのスカイアクティブは圧縮比を限界まで下げることで排出基準を達成した唯一の例