甲種鉄道車両輸送

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新津へグリーン車を牽引をするEF65-2101号機

甲種鉄道車両輸送(こうしゅてつどうしゃりょうゆそう)とは、輸送される車両の車輪(仮設台車を含む)を用いて、日本貨物鉄道(JR貨物)等の機関車牽引の車扱貨物列車として車両を輸送するものを指す。鉄道車両を輸送する事例がほとんど。略して甲種輸送(こうしゅゆそう)と呼ばれることがほとんど。

概要[編集]

標準軌のため狭軌区間を仮台車で走行する。

鉄道車両メーカーの工場で完成した鉄道車両を、その車両の所属する鉄道会社の車両基地まで輸送する目的での運転が大部分を占める。近場での輸送であれば、陸送と呼ばれるトレーラー輸送が用いられることがあるが[注 1]、新潟や西日本のメーカーから関東地方の鉄道会社への車両輸送の場合は、海運もしくはこの甲種鉄道車両輸送が用いられる。甲種輸送列車の終点駅では、メーカーから鉄道会社への受け渡しの手続きが行われ、ここで初めて輸送されてきた車両は鉄道会社の所有車両となる。
届け先の鉄道会社の線路とJR線の線路が繋がっていない場合は、最寄りの車扱貨物取扱駅よりトレーラーを用いた陸送での搬入が行われる[注 2]。また、在来線と軌間が異なる京成電鉄京急電鉄やー部新幹線車両などを輸送する場合は仮台車を使用する。
基本的に1編成単位で施行されるが、E331系のように複数の工場で分割して輸送することや、普通列車グリーン車のように一部中間車だけ運ぶ事例も存在する。かつては「乙種輸送」なるものも存在したが、現在ではほぼ行われない。

厳密には鉄道車両と定義されないものも輸送可能であるのが特徴で、事前に行われる車両検査等の基準に合格すれば輸送可能である。例えば、メーカーで製作中の車両鋼体や、マルチプルタイタンパー(通称:マルタイ)、JR東日本の鉄道クレーン車・ワゴン車、保線用機械なども輸送された実績がある。そのほか、会社間で行われる車両譲渡輸送や、回送列車として単独で運転できない場合[注 3]にも甲種輸送として運転される。

一例[編集]

川崎車両兵庫工場を新製出場する兵庫発の甲種輸送は、神戸貨物ターミナル駅で山陽本線の列車線に合流する。同駅では機回しや牽引機のディーゼル機関車から電気機関車への付け替えを実施するため、神戸(タ)で長時間停車する。

牽引機[編集]

DE10DD200EH200EH500EF210EF65などが各線区に応じて牽引する。東海道本線を走行する新製時の甲種輸送では、EF65-2127EF65-2101など人気の高い車両が充当されることもある。

脚注[編集]

注釈
  1. 例:京王5000系電車総合車両製作所横浜事業所出場時など
  2. 例えば、東京都交通局(都営地下鉄)や東京地下鉄(東京メトロ)の一部路線では根岸駅から、新京成電鉄では越谷貨物ターミナル駅から陸送が行われている。
  3. 例:北陸本線が並行在来線として分離されたことによる寝台特急「トワイライトエクスプレス」の下り最終列車後の返却回送や、観光列車「THE ROYAL EXPRESS」のJR北海道貸出運行に伴う回送、西武多摩川線車両交換

関連項目[編集]