河野秀忠

河野 秀忠（かわの ひでただ、1942年9月23日 - 2017年9月8日）は、社会運動家。障害者問題総合誌『そよ風のように街に出よう』編集長。

経歴・人物

大阪市生まれ。社会運動に目覚めた原点はキューバ革命だという。中学卒業後、酒屋の店員をしていたとき、浅沼稲次郎暗殺事件を契機に日本社会主義青年同盟（社青同）に加盟する。酒屋の店員・トレーラーの運転手などをしながら、反戦・部落・沖縄問題に取り組み、日本社会党東淀川総支部の書記、21才のとき日本社会党大阪府本部のオルグ職となった。

1971年に障害者の友人を得て、同年の狭山闘争で本人の意向を無視して連れて来られた障害者を見たことを契機に共同で「障がい者解放の会」を結成する。脳性麻痺当事者組織「青い芝の会」を取材した「さようならCP」の上映運動から障害者運動を始め、以後、障害者映画の制作・上映運動、優生保護法反対運動、養護学校義務化阻止闘争に取り組む。その中で「青い芝の会」の横塚晃一の影響を受け、信奉していたマルクス主義は「能力のある健常者の論理でしかない」と考えるようになったという。

1973年、障害者問題資料センターりぼん社を設立。1979年、障害者問題総合誌『そよ風のように街に出よう』を発刊、編集長となる。1982年、豊能障害者労働センターを創設、代表となる。1995年、牧口一二と「民間障害者市民復興計画委員会ゆめ風10億円基金」（2001年「特定非営利活動法人ゆめ風十億円基金」、2005年「特定非営利活動法人ゆめ風基金」、2012年認定NPO法人）を創設、副代表となる。2007年時点で箕面市人権啓発推進協議会事務局長、花園大学社会福祉学部講師も務める。2016年、箕面市人権啓発推進協議会会長に就任。

『そよ風のように街に出よう』は2017年7月発行の第91号で終刊した。同年9月8日、脳梗塞で死去した。享年74歳。

著書

単著

• 『「ゆっくり」の叛乱』 日本放送出版協会、1999年
• 『障害者市民ものがたり――もうひとつの現代史』 日本放送出版協会（生活人新書）、2007年

編著

• 『ラブ――語る。障害者と性』 牧口一二共編著、長征社、1983年
• 『匂うがごとく――梅谷明子の場合』 長征社、1986年

分担執筆

• 『歴史をつくった市民たち――語り下ろし市民活動』 大阪ボランティア協会編、大阪ボランティア協会、2014年

教材・絵本

• 『障害児教育創作教材1 あっ、そうかぁ』 かわのひでただ・文、にしむらよしひこ・絵、障害者問題総合誌「そよ風のように街に出よう」編集部、1987年
• 『障害児教育創作教材2 あっ、なぁんだ』 かわのひでただ・文、にしむらよしひこ・絵、障害者問題総合誌「そよ風のように街に出よう」編集部、1989年
• 『障害児教育創作教材3 しまったぁ ゆめ編』 かわのひでただ・文、おだつとむ・写真、にしむらよしひこ・絵、障害者問題総合誌「そよ風のように街に出よう」編集部、1996年
• 『障害児教育創作教材4 しまったぁ 風編』 かわのひでただ・文、おだつとむ・写真、にしむらよしひこ・絵、障害者問題総合誌「そよ風のように街に出よう」編集部、1996年
• 『障害児教育創作教材5 いたいなぁ』 かわのひでただ・文、おだつとむ・写真、にしむらよしひこ・絵、障害者問題総合誌「そよ風のように街に出よう」編集部、2001年
• 『人権啓発絵本1 やったネ』 河野秀忠、折田みどり、穏土ちとせ、逢坂悟郎・文、西村吉彦、穏土ちとせ、穏土幸実・絵、三浦麻紀・写真、そよかぜ、2001年
• 『人権啓発絵本2 ともだち100まんにん』 河野秀忠・文、西村吉彦・絵、三浦麻紀・写真、箕面市人権啓発推進協議会、2003年
• 『人権啓発絵本3 にんげんの悲喜』 河野秀忠・文、西村吉彦・絵、窪誠・巻末言、障害者問題資料センターりぼん社、2005年
• 『人権啓発絵本4 重いの? 軽いの?』 河野秀忠・文、打越保・絵、障害者問題資料センターりぼん社、2007年
• 『人権啓発絵本5 つながる、つなげる』 河野秀忠・文、打越保・絵、障害者問題資料センターりぼん社、2010年

映画

• 『カニは横に歩く』 「カニは横に歩く」制作実行委員会編、河野秀忠制作責任、障害者問題資料センターりぼん社、1972年
• 『何色の世界――ある在日朝鮮人障害者の証言』 金満里主演、金紅珠音楽、松本徳彦、河野秀忠制作、障害者問題資料センターりぼん社、1975年
• 『ふたつの地平線――養護学校はもういやだ』 河野秀忠監督、木下順演出、高木たかし音楽、松本徳彦カメラ、障害者問題資料センターりぼん社、1977年

外部リンク

• まねき猫通信「特集：「生きてるだけでバンザイ」河野秀忠」 ぷくぷくの会