横浜市営バス94系統

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金沢区総合庁舎前にて

94系統(横浜市営バス)(よこはましえいバス94けいとう)とは、神奈川県横浜市金沢区富岡バスターミナルから同区内にある金沢区総合庁舎前を結んでいた路線。路線図で示されている色はシン・ホン色

本項では同区間を走行し、共同運行を行っている京浜急行バス94系統や横浜市営バスの金沢区の幸浦・富岡地区の路線変貌についても記述する。担当は市営バスが磯子営業所、京急バスが杉田営業所である。

  • 本項では金沢区総合庁舎行を往路、富岡バスセンター行を復路とする。
  • 系統については以下のとおりとする。
    • 4系統磯子駅から追浜日産自動車前を結ぶ京浜急行バスの路線。
    • 61系統新杉田駅から鳥浜町方面へ向かう横浜交通開発の路線。かつては富岡バスターミナルにも乗り入れていた。
    • 117系統新杉田駅からかつて存在した三菱金沢工場方面へ向かう横浜交通開発の路線。
    • 121系統 … 新杉田駅から幸浦・ヘリポートを通り金沢工業団地までを結んでいた路線。1990年頃に廃止された。
    • 122系統 … 新杉田駅から富岡バスセンターを経由して金沢工業団地までを結んでいた路線。シーサイドライン開通と引き換えに廃止された。
    • 123系統 … 新杉田駅からなぎさ団地・富岡バスセンター方面へ向かっていた循環路線。シーサイドライン開通と同時に廃止されてた。
    • 294系統新杉田駅から並木・幸浦地区を反時計回りで回る一方循環路線。

概要[編集]

金沢区北部の富岡バスターミナルからサブセンター前谷津坂金沢文庫を通り、金沢区総合庁舎を結ぶ路線。市営バス4系統の撤退以降、唯一の金沢区中心部へ乗り入れる路線とともに、横浜市営バスの定期運行路線で最南端の路線となっていた。富岡バスセンターから慶珊寺前までは均一運賃となっているものの[注 1]、その先の区間については横浜市営バスで3か所のみとなった対キロ運賃となっていた[1][注 2]

沿線概況[編集]

横浜市金沢区の富岡バスターミナルを出発後、一旦左折し金沢区の中心部とは逆方向に進む。富岡東中学校前停留所を過ぎると2回左折をし、294系統と別れ単独区間となる。慶珊寺前停留所からは横浜市営バスでは現在3か所しかない対キロ運賃区間となる。富岡町交差点からは国道16号を通るとともに、4系統との並走区間となる。この4系統もかつては市営バスと京急バスの共同運行路線だったが、2007年(平成19年)3月31日をもって運行終了し、現在は京急バスの単独管理となっている。君が崎停留所を過ぎると左に曲がり終点の金沢区総合庁舎前に到着する。復路ではルートが多少異なっており、町屋・寺前を経由して国道16号に戻るルートをとる。

沿革[編集]

94系統成立まで[編集]

1965年、当時の横浜市長である飛鳥田一雄は「横浜市六大事業」という大規模な開発プロジェクトが行われることとなった。これらの中に「金沢地先埋立事業」というものがあり、交通局はこのプロジェクトを推進するための中核的な役割を担っていくこととなる。

1972年、先行して埋め立てられた鳥浜地区を走る61系統のうち磯子駅 - 鳥浜町間が運行を開始した。その後、幸浦地区の埋め立てが完了した1978年から61系統は鳥浜町から先の区間にも延伸していくこととなる。この時にこの地域の交通拠点として設置されたのが富岡バスターミナルである。1980年4月には金沢区役所へのアクセス路線としてこの94系統が開通することとなる。

シーサイドライン開通による路線整理[編集]

その後、1981年に61系統が金沢卸団地まで延伸されることとなった。しかし、この状態は1982年の2度にわたる路線整理で61系統は以下のようになる。

  • 61A : 磯子駅 - 鳥浜町 - 富岡バスターミナル
  • 61B : 新杉田駅 - 富岡バスターミナル - 並木中央 - 金沢工業団地(後の122系統)
  • 61C : 富岡バスターミナル - 金沢卸団地 - 金沢工業団地

この際に61系統の内、幸浦地区の東側を走る路線は新設された117系統に引き継がれることとなる。1983年にはさらなる路線強化のため、磯子営業所金沢派出所が設置され、そこへの入出庫便が運行を開始している。1985年には121系統122系統123系統が順次運行を開始している。

しかし、この地区での市営バスの繁栄も長くは続かなかった。1989年7月にこのエリアに金沢シーサイドラインが開通したことにより、このエリアのバス路線は大幅に整理されることとなる。幸い、94系統はシーサイドラインを使うと不便になってしまうことから、整理対象にはならず引き続き運行していくこととなる。

2007年の再編[編集]

その後、1991年に金沢派出所が廃止され、2003年にリネツ金沢という施設が開業し、61系統が立ち寄るようにもなったほかはこの地域の市営バス網に大きな変化がなかった。しかし、2002年に横浜市長に就任した中田宏は横浜市の財政再建を基に様々な政策を行っていく。その中に市営バスについての見直しが検討されることとなり、「横浜市営交通事業あり方検討委員会」が設置された。この時には民営化という案もあったが、最終的には民営化はせずに経営安定化を図っていくこととなる。そのため、赤字路線のうち他バス事業者や鉄道路線と並行している区間に関しては民間バス事業者へ運行主体を変更するか、路線を廃止することとなった。それに伴い94系統も横浜京急バス(当時)への移譲が予定されていた。しかしながら、当路線は大幅な赤字路線であり、移譲しても赤字が改善することは難しいとされ、横浜京急バスは移譲に慎重的な立場をとった。

2007年4月1日に市営バス全線にわたる大規模な再編が行われた[2]。この再編により94系統は特に変化がなかったものの、61系統は磯子駅 - 鳥浜町を除いてすべて廃止された[2]。暫定運行措置路線として日中時間帯のみ294系統が新設されたものの(新杉田駅 → なぎさ団地前 → 新杉田駅)、富岡バスターミナルは経由しない形となった。このため、同ターミナルには94系統のみが乗り入れる形となった。また、金沢文庫側で並走していた4系統も横浜京急バスに完全移譲され、この路線は他の市営バス路線とは孤立した形となった。

その後[編集]

2009年4月1日、暫定運行措置路線が多少の減便を行い一般路線になることとなった[3]。294系統は当初8循環運行されていたが、6往復となった。また、一部の便が富岡バスターミナルに乗り入れるようになった。この出来事をもって2007年前後の一連の再編計画は幕を閉じた。結果として市営バスと京急バス(横浜京急バス)の共管という形が変わらず維持されることとなった。

しかし、赤字ということには変わりなく、利用者数は減少傾向であり、赤字額は増加傾向になっていた。加えて2020年に発生した新型コロナウイルス感染症拡大による旅客減も追い打ちをかけた。市営バスでは11年ぶりの赤字となる見込みであり、京急バスも以前から運転手不足により減便を行ってきたという経緯があり、赤字路線を維持する体力がなくなってきた。もともと日中しか運行しない以上、客単価が低い敬老福祉パスでの利用が多いことも赤字を増大させる理由にもなっていた。加えて富岡バスターミナルの土地は横浜市港湾局の所有物であり、2021年3月をもって無償での使用期限を迎えることから、2020年3月31日をもって廃止された[4][5]。同時に、294系統の富岡バスターミナル発着便も運行を終了し、294系統は4循環となる予定である。

年表[編集]

  • 1980年昭和55年)4月5日 : 富岡バスターミナル - 金沢区総合庁舎前間の運行を開始。
  • 2002年平成14年)4月1日:京浜急行バスが横浜京急バスに運行を委託。
  • 2006年(平成18年)8月31日 : 横浜市営バスが神奈川県生活交通確保地域対策協議会に路線の退出意向を提出する。
  • 2018年(平成30年)
    • 3月16日 : 共通定期券の取り扱いを終了。
    • 4月1日 : 京急バスグループの再編により京浜急行バス杉田営業所の担当となる。
  • 2021年令和3年)3月31日 : 全区間で廃止。

運行形態[編集]

全便が富岡BT - 金沢区総合庁舎間を運行していた。途中停留所での折返しはなかった。市営バス・京急バスが交互に1時間間隔で運行されていた。平日は8便、土曜日は午前中の4便、日曜・祝日は全便運休となっていた。

運行ダイヤ[編集]

金沢区総合庁舎方向 停留所名 富岡BT方向
京急 市営 京急 市営 京急 市営 京急 市営 運行者局 京急 市営 京急 市営 京急 市営 京急 市営
9:02 10:02 11:02 12:02 13:02 14:02 15:02 16:02 富岡バスターミナル 9:56 10:56 11:56 12:56 13:56 14:56 15:56 16:56
9:04 10:04 11:04 12:04 13:04 14:04 15:04 16:04 八幡公園前 9:53 10:53 11:53 12:53 13:53 14:53 15:53 16:53
9:06 10:06 11:06 12:06 13:06 14:06 15:06 16:06 富岡東中学校前 9:50 10:50 11:50 12:50 13:50 14:50 15:50 16:50
9:08 10:08 11:08 12:08 13:08 14:08 15:08 16:08 サブセンター前 9:48 10:48 11:48 12:48 13:48 14:48 15:48 16:48
9:09 10:09 11:09 12:09 13:09 14:09 15:09 16:09 慶珊寺前 9:47 10:47 11:47 12:47 13:47 14:47 15:47 16:47
9:12 10:12 11:12 12:12 13:12 14:12 15:12 16:12 宮の前 9:45 10:45 11:45 12:45 13:45 14:45 15:45 16:45
9:13 10:13 11:13 12:13 13:13 14:13 15:13 16:13 富岡 9:44 10:44 11:44 12:44 13:44 14:44 15:44 16:44
9:15 10:15 11:15 12:15 13:15 14:15 15:15 16:15 長浜 9:42 10:42 11:42 12:42 13:42 14:42 15:42 16:42
9:16 10:16 11:16 12:16 13:16 14:16 15:16 16:16 谷津坂 9:41 10:41 11:41 12:41 13:41 14:41 15:41 16:41
9:17 10:17 11:17 12:17 13:17 14:17 15:17 16:17 谷津坂住宅入口 9:40 10:40 11:40 12:40 13:40 14:40 15:40 16:40
9:18 10:18 11:18 12:18 13:18 14:18 15:18 16:18 上西柴 9:39 10:39 11:39 12:39 13:39 14:39 15:39 16:39
9:20 10:20 11:20 12:20 13:20 14:20 15:20 16:20 西柴 9:37 10:37 11:37 12:37 13:37 14:37 15:37 16:37
9:22 10:22 11:22 12:22 13:22 14:22 15:22 16:22 金沢文庫 9:35 10:35 11:35 12:35 13:35 14:35 15:35 16:35
9:23 10:23 11:23 12:23 13:23 14:23 15:23 16:23 君が崎 9:34 10:34 11:34 12:34 13:34 14:34 15:34 16:34
寺前 9:32 10:32 11:32 12:32 13:32 14:32 15:32 16:32
寺前 9:31 10:31 11:31 12:31 13:31 14:31 15:31 16:31
9:26 10:26 11:26 12:26 13:26 14:26 15:26 16:26 金沢区総合庁舎前 9:30 10:30 11:30 12:30 13:30 14:30 15:30 16:30

輸送実績[編集]

近年の市営バスでの年間輸送実績をここに示す[6]。▲はマイナスを表す。

年度 損益状況(円) 営業係数(円)[注 3] 1日当たりの利用者数(人) 出典
収入 支出 損益額
2006年(平成18年)度 7,266,000 8,616,000 ▲1,390,000 119.2 119
2007年(平成19年)度 7,343,000 12,482,000 ▲4,890,000 166.7 123
2008年(平成20年)度 7,489,000 13,858,000 ▲6,369,000 185.0 125
2009年(平成21年)度 7,020,000 9,242,000 ▲2,222,000 131.7 126
2010年(平成22年)度 6,152,000 8,600,000 ▲2,448,000 139.8 109
2011年(平成23年)度 6,953,000 8,762,000 ▲1,809,000 126.0 139
2012年(平成24年)度 6,728,000 8,729,000 ▲2,001,000 129.7 126
2013年(平成25年)度 6,766,000 8,759,000 ▲1,993,000 129.5 128
2014年(平成26年)度 6,866,000 8,578,000 ▲1,692,000 124.6 133
2015年(平成27年)度 7,189,000 8,616,000 ▲1,427,000 119.8 134
2016年(平成28年)度 7,136,000 8,593,000 ▲1,457,000 120.4 135
2017年(平成29年)度 7,416,000 9,076,000 ▲1,224,000 122.4 169
2018年(平成30年)度 7,198,000 8,954,000 ▲1,756,000 124.4 169
2019年(令和元年)度 6,926,000 8,924,000 ▲1,998,000 128.8 159
2020年(令和2年)度 6,312,000 9,467,000 ▲3,155,000 150.0 120

停留所一覧[編集]

  • 全停留所が横浜市金沢区に所在。
  • 他バス路線と並走する区間に関しては最初と最後のバス停のみ記載する。
  • 停車方向 … ▽ : 富岡BT方向のみ停車 (空欄): 両方向ともに停車
停留所名 停留所間
営業キロ
通算
営業キロ
接続路線(鉄道) 接続路線(バス) 停車方向
富岡バスターミナル - 0.0   横浜市営バス : 294系統(サブセンター前まで並走)
八幡公園前 0.61 0.61    
富岡東中学校前 0.45 1.06    
サブセンター前 0.56 1.62   横浜市営バス : 294系統(富岡バスターミナルまで並走)
慶珊寺前 0.25 1.87    
宮の前 0.54 2.41   京浜急行バス : 4系統(町屋まで並走)
富岡 0.35 2.76 京浜急行電鉄KK 京急本線KK 47  
長浜 0.57 3.33    
谷津坂 0.33 3.66 京浜急行電鉄:KK 京急本線(KK 48  
谷津坂住宅入口 0.5 4.16    
上西柴 0.26 4.42    
西柴 0.57 4.99    
金沢文庫 0.62 5.61 京浜急行電鉄:KK 京急本線(KK 49 京浜急行バス : 文13文15文16・文17・文18・文19
君が崎 0.22 5.83    
金沢区総合庁舎前 0.5 6.3   京浜急行バス : 文6
町屋 0.6 6.65   京浜急行バス : 4系統(宮の前まで並走)・文15
寺前 0.15 6.8    
君が崎に戻る

注釈[編集]

  1. 大人220円、小児110円
  2. 残りの2か所は7系統の南幸町 - 川崎駅西口間と40系統の長津田駅前 - 公園前間である。前者は川崎市内を走るため、後者は当系統と同じく、他民間バス事業者が路線を運行していたため、このような扱いになっている。
  3. 100円儲けるのにどれくらいのお金がかかるのかという指標。

出典[編集]

外部リンク[編集]