松橋事件
ナビゲーションに移動
検索に移動
松橋事件(まつばせじけん)とは、昭和60年(1985年)1月8日に熊本県松橋町(現在の宇城市)で発生した殺人事件である。
概要[編集]
昭和60年(1985年)1月8日、熊本県松橋町(現在の宇城市)の民家で住人の当時59歳の男性Oが顔や首を刺されて死亡しているのが発見された。熊本県警はOの将棋仲間であったAを参考人として連日事情聴取し、Aが殺害を自白したため、1月20日に逮捕された。Aは殺人罪などで平成2年(1990年)に懲役13年が確定する。平成11年(1999年)にAは仮出所したが、間もなく認知症に倒れて介護施設で暮らすようになったため、出廷はできなくなり、成人後見人の弁護士が平成24年(2012年)に再審請求を行う。平成28年(2016年)6月、熊本地裁は自白の信用性を否定し、再審開始を決定する。福岡高裁もこれを支持した。最高裁は平成29年(2017年)10月、検察側の特別抗告を棄却し、再審開始が確定した。
この事件は物証がほぼ無く、1審の公判途中からAは否認に転じている。しかし昭和61年(1986年)の熊本地裁判決では捜査段階の自白に基づき有罪認定し、そのまま4年後に最高裁で確定した。当時は自白の信用性が強く、自白偏重のため、Aは冤罪であるという説が大きい。
- 物証がほとんどない。
- 自白のみが有力な証拠とされている。
- 凶器の小刀の柄に巻いて殺害し、犯行後に燃やしたとAが説明したシャツ片が現存していた。
- 小刀と遺体の傷の形状が一致しないとする法医学鑑定書がある。
以上が、冤罪とする説が大きいとされている。
2019年3月28日、熊本地裁はAに無罪判決を言い渡した。事件から実に34年が経過していた。溝国禎久裁判長は「犯人との証拠がなく、殺害は認められない。確定判決から長い年月がたち、可能な限り速やかに判決を出すのが適当だ」と述べた。
松橋事件の関連年表[編集]
1985年[編集]
- 1月8日 - 熊本県松橋町(現在の宇城市)の民家でOの遺体が発見される。
- 1月20日 - 熊本県警が任意聴取で殺害を認めたAを逮捕する。
- 8月 - 熊本地裁の第5回公判でAが殺害を一転して否認に転じる。
1986年[編集]
- 12月 - 熊本地裁が殺人などの罪でAに求刑通り懲役13年の判決を下す。
1988年[編集]
1990年[編集]
1999年[編集]
- 3月 - Aが仮出所。
2012年[編集]
- 3月 - Aの成年後見人が熊本地裁に再審請求する。
2016年[編集]
- 6月 - 熊本地裁が再審開始を決定する。
2017年[編集]
- 11月 - 福岡高裁が検察側の特別抗告を棄却する。