松本茄子
松本茄子(まつもとなす)は、九十九髪茄子、富士茄子とあわせて日本三大茄子と呼ばれる茶入の一つ。漢作[注 1]の茶入。大名物[注 2]唐物[注 3]である。松本珠報が所持したことによる銘と言われている[1]。
概要[編集]
今井宗久から織田信長に献上され、その後信長から宗久に下賜され、信長の死後、宗久から豊臣秀吉に献上し秀吉が所有することになった。また、徳川家康の命令により藤重藤元・藤重藤厳父子によって大坂城焼け跡から掘り出され[2]、修復の後、藤重藤厳が拝領し藤重家が代々所蔵する事となった。1876年(明治9年)に岩崎弥太郎が譲り受けた[3][4]。
伝来[編集]
現在判明している範囲では、村田珠光の弟子であると言われている松本珠報が所持していた。鳥居引拙をへて、武野紹鷗に渡る。武野紹鷗は茄子茶入の銘品を複数(少なくとも三つ)所有しており、紹鷗茄子とも呼ばれる。紹鷗の死後、娘婿の今井宗久が預かったが、紹鷗の息子である武野宗瓦が成人した際に宗久との間で所有権争いが勃発し、宗久は松本茄子を織田信長に献上してしまう。その後、信長から宗久に下賜される[4]。 信長の死後、宗久は豊臣秀吉に献上する。その後大坂城陥落の際に城とともに焼け出される。徳川家康の命令で藤重藤元・藤重藤厳父子が大坂城焼け跡から探し出し、破片を漆で継ぎ合わせて修復を行った[5]。家康は修復の出来映えの褒美として松本茄子を藤厳が拝領する[6]。1876年(明治9年)に岩崎弥之助に譲られた[6][7]。
現状[編集]
現在は静嘉堂文庫美術館に保管展示されている[7]。静嘉堂文庫美術館は常設展示の美術館では無く企画展示会の時のみ開館される美術館である。このため、この記事を読んで見学する場合はホームページを見て開館しているかどうかを確認する必要がある。また、静嘉堂文庫美術館では収蔵品の有料[注 4]画像データ貸出サービスを2013年(平成25年)10月1日より開始しており、三枚の写真松本茄子1、松本茄子2、松本茄子3についても貸出サービスを受けることが出来る[8]。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
- 有馬頼底(監修)稲畑汀子(監修)筒井紘一(監修) 『茶の湯の銘 大百科』 株式会社淡交社、2005年7月10日、1st。ISBN 4-473-03212-4。
- 井口海仙(監修)末宗廣(監修)永島福太郎(監修) 『原色茶道大辞典』 株式会社淡交社、1975年10月10日、1st。
- 井口海仙(監修)末宗廣(監修)永島福太郎(監修) 『新版茶道大辞典』1巻、株式会社淡交社、2010年2月15日、1st。ISBN 978-4-473-03603-2。