藤重藤厳

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藤重藤厳(ふじしげとうげん)は藤重藤元の子。戦国時代末から江戸時代初期の奈良の塗師。生没年不詳。藤重藤元については藤厳の父であった事以外は藤厳の事績とほぼ同一であり詳細は不明である。

概要[編集]

三菱財閥が所有する静嘉堂文庫美術館の九十九髪茄子の説明文では『藤巖』とある[1]。しかし、『原色茶道事典[2]』『茶の湯の銘大百科[3]』等の文献では『藤厳』と記載されている。

元は樽井氏を称した。中継ぎの茶入を考案したとも伝えられる。1615年大坂城落城の際に徳川家康の命令により藤重藤元・藤重藤厳の親子は大坂城宝蔵跡から掘り出した茶器の修復を命ぜられる[4]。 修復したものは新田肩衝、鴨肩衝、玉垣文琳、小肩衝、大尻張の茶入、九十九髪茄子松本茄子、針屋円座等がある。修復の出来映えが良かったため、家康より九十九髪茄子は藤元に[5][6][4]松本茄子は藤巖に[6]下賜された[4]

藤重藤厳・藤重藤元の親子による修復は漆によって陶器を継ぐという新しい手法であり、以降は漆による修復が主流となった[6]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. 大名物 唐物茄子茶入 付藻茄子”. 静嘉堂文庫美術館. 2017年6月2日確認。
  2. 井口 1975.
  3. 井口 2010.
  4. a b c 矢野 2008, p. 102.
  5. 井口 2010, p. 791.
  6. a b c 井口 1975, p. 781.

参考文献[編集]

  • 有馬頼底(監修)稲畑汀子(監修)筒井紘一(監修) 『茶の湯の銘 大百科』 株式会社淡交社、2005年7月10日、1st。ISBN 4-473-03212-4
  • 井口海仙(監修)末宗廣(監修) 『原色茶道大辞典』 株式会社淡交社、1975年10月10日、1st。
  • 井口海仙(監修)末宗廣(監修)永島福太郎(監修) 『新版茶道大辞典』1巻、株式会社淡交社、2010年2月15日、1st。ISBN 978-4-473-03603-2
  • 桑田忠親 『戦国武将と茶の湯』 小和田哲男(監修)、宮帯出版社、2013年7月7日、1st。ISBN 978-4-86366-807-2
  • 矢野環 『伝承がわかる、歴史が見える 名物茶入れの物語』 株式会社淡交社、2008年12月16日、1st。ISBN 978-4-473-03540-0