怒首領蜂大往生

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

怒首領蜂大往生』(どどんぱちだいおうじょう)とは、株式会社ケイブ製の弾幕シューティングで、怒首領蜂シリーズの第四弾にあたる。

概要[編集]

2002年稼働開始。販売はエイエムアイ。「大往生」と言う名から、これを持って怒首領蜂シリーズの最終作とする向きがあったが、実際には『怒首領蜂大復活』、『怒首領蜂最大往生』と続編が出ている。

ゲームは怒首領蜂からさらにシステムを進化、ハイパーシステム等の爽快感あふれるゲームデザインや、ハイクオリティなBGMやイラストと、縦スクロールシューティングとしては非常に高い完成度を誇る一方、後述の弾速に秀でた弾幕によって、史上最凶のシューティングゲームともいわれるようになった作品でもある。

ゲームシステム[編集]

ここでは、『怒首領蜂大往生』(以下、大往生)にて新たに搭載されたシステムを紹介する。

ハイパーシステム[編集]

敵を撃破したり蜂アイテム[1]を回収すると、最大コンボメーター横のゲージが貯まっていく。それがMAXになると、「ハイパーアイテム」が画面上から投下され、それを取得し、ボムボタンを押すことで一定時間[2]「ハイパーシステム」が使用可能になる。起動時には画面のすべての敵弾が消え、通常で約80フレーム[3]、ボス時には約120フレームの無敵時間が発生する。ハイパーシステムの起動中は攻撃力が上昇し、コンボの上昇速度と有効時間も上がる。ハイパーアイテムは最大5つまで取得可能で、取得数が多いと、攻撃力とコンボ有効時間はより上昇する。

このように、攻略とスコア稼ぎの両方の役に立つハイパーシステムだが、使用中は敵弾のスピードが上昇、さらにランク[4]も跳ね上がる。諸刃の刃である。そのため、ハイパーシステムの起動直後、ボムを使って早々と解除するプレイヤー[5]も存在する。なお、ボス戦時には、ハイパーアイテムは投下されず、敵弾消滅のみが行われる。

エレメントドール[編集]

この作品では、戦闘機副操縦士のポジションとして「エレメントドール」と呼ばれるロボットが搭載され、機体と共に選択できるようになった。これは戦闘機に接続・装填することで戦闘機全ての兵器プログラムを管理し、武装の強化を図る戦闘用ロボットで、選択するエレメントドールによって、強化される武装がそれぞれ異なってくる。

ショーティア
いわゆる標準型の戦闘用ロボット。機能が戦闘に特化されているためか、ほとんど無表情に近く、その風貌は氷のように冷たい。選択すると、ショットの幅が広がり、攻撃力が上がる。ミス時にはショットのみ一段階のパワーダウンに留まる。また、ボムの所持数が最も多いので、難所を突破するのも容易。
レイニャン
戦争に反対する科学者によって「人間らしさ」を組み込まれた最新鋭のロボット。介護用ロボットの為の感情プログラムが組み込まれており、献身的で温かみのある性格を持つ、軍の人気者。選択すると、レーザーにザコ敵貫通の機能が付加され、攻撃力も上がる。ミス時にはレーザーのみ一段階のパワーダウンに留まる。主にボス戦向け。
エクスィ
旧世代型の戦闘用ロボット。武装面、機能面を最重要視した作りとなっており、パイロットの安全性はおざなりである。性格も横柄で、パイロットへの配慮に欠ける。選択すると、ショットとレーザーの両方が強化され、ミス時のパワーダウンもそれぞれ一段階のみとなる。但し、ボムは最大2発までとなっており、ゴリ押しが不可能となる。

ストーリー[編集]

(怒首領蜂大往生公式サイト[1]より引用)

1000年昔……。
先代の文明国家は兵器に戦略意思を持った機械(マシン)兵団を創り出し、無人の世界大戦をおこなっていた。
やがて誰もマシン兵団の戦闘を抑えられなくなるほど発展し、全てを失った人類はその過ちを繰り返さないよう マシン兵団を月に封印したのだった。
そして1000年の時が過ぎ、人類の文明が平和に向けて使われる時代が訪れていた。
この時代はロボットの技術が発展し、人間に出来ないような難解な作業は、すべてロボットに任せる事ができる程になっていた。
そんな時、月では異常な動きが報告されていた。
封印していたマシン兵団が起動しているというのだ。
何者かによって封印が解かれたのか……。
それともコンピュータの意思か……。
国連軍は、目覚めたマシン兵団が地球を目指して戦力を整えつつある情報を掴むと、月の首都である月華僑(ルナポリス)にむけて先制攻撃を仕掛けていった。
その作戦に参加した戦闘員の中に、戦闘機の「強化」兵器を司る専用ナビゲータ「エレメントドール」がいた。
エレメントドールとは、戦闘機に接続・装填することで戦闘機全ての兵器プログラムを管理し、武装の強化を図る戦闘用ロボットだ。
この「エレメントドール」の出現は、戦闘機の強化を容易に行うことを可能にし、またそのタイプによって、強化する兵器を変えることができるなど実戦において欠かせない存在になりつつあった。
ここにひとつの矛盾が発生していた。
人類は、機械対機械の戦争の過ちをもう一度繰り返そうとしていたのだった……。

高速弾と高密度弾幕[編集]

今作のためにあてがわれた基盤[6]は、弾幕シューティングの醍醐味である「画面を覆い尽くさんばかりの弾幕」を表現できるだけの性能を持ってはいなかった。そこで開発チームが出したアイデアは・・・・・

「弾数が制限されているなら、弾速を上げて弾が早く画面外から消えるようにすればいい!」

かくして、この大往生は弾幕シューティングと他のシューティングの難しさを併せ持った恐ろしい作品となってしまった。通常の弾幕シューティングと同じノリでプレイすると、高速で飛来する大量の敵弾についていけず、かといって普通の縦スクロールシューティングのような進み方では100円を大量投入させるべくプレイヤーを効率よくミスされるべく緻密に計算された弾幕の前にお手上げとなるだろう。つまり、このゲームを進めるには弾幕の回避パターンと敵を倒すタイミングと順序を頭に叩き込みながら、洞察力と反射神経をフル稼働させてひたすら弾を避けることが必要不可欠になる。

その象徴ともいえる存在が、各ステージの最後に待ち受けているボスたちである。一度見ればわかるように、1面ボスの時点ですでにフルスロットルな戦いぶりを見せてくれる。この「凄駆」と呼ばれるボスを先鋒に、ランダム青針弾と赤弾のコラボレーションが映える2面ボス「百虎」、ボス1番の弾速でプレイヤーを翻弄する3面ボス「厳武」、ビットと本体との連携が見事な4面ボス「逝流」、そして最後に待ち受ける最終鬼畜兵器「黄龍」と、美しく、そして残酷な弾幕を見せてくれる存在が目白押しである。

これらが原因で、弾幕シューティング=マニア向けのジャンルのレッテルを張られるようになってしまった。弾幕を避けきり、敵を撃破したときのあの快感から一般人を遠ざけてしまったことはとても残念に思う。もっとも今作の場合、前々作で鍛え抜かれたシューターをすら絶望させるほどの難易度である以上、当然の流れなのだろうが。

地獄と絶望の二周目[編集]

本作にはただでさえ高難易度のステージをさらなる地獄テイストにした「二周目」が存在する。

条件はノーコンティニューかつ

  • ミスが二回以内
  • ボム使用が三回以内
  • 三つ以上のステージで蜂アイテムを10個すべてノーミスで取得

のうちいずれか一つを満たすことである。前々作「怒首領蜂」よりは若干条件が緩和され、より二周目の鬼畜っぷりを味わいやすくなった。

更に、本作では二周目に入ると・・・・・

  • スタート時に全残機没収
  • ノーミスあるいはノーボムでステージをクリアしないと残機が増えない
  • コンティニュー・途中参戦不可

と言う「こんにちは、死ね!」仕様となる。このような非常に厳しい条件下での戦闘を強いられ、勿論敵の弾速、弾密度も大幅に上昇する。後にリアル首領怒首領蜂シリーズの生みの親であるIKD氏も「大往生はさすがに難しくしすぎた」と後悔している。

極殺兵器「緋蜂」[編集]

初代怒首領蜂にてプレイヤーの度肝を抜いた最終鬼畜兵器「蜂」とその正体「火蜂」。今作にてその最狂コンビが更にパワーアップ、地獄を生き延びた超絶シューターを圧倒した。それが第二形態を解放した[7]最終鬼畜兵器「黄龍」と、怒首領蜂大往生の集大成ともいえる真ボス、極殺兵器「緋蜂」である。

緋蜂の攻撃は「超高速針弾」「等間隔全方位青弾」「赤弾と青弾のコラボレーション」といった風にパターン化が非常に困難かつありえないほどの剛速球で、純粋な回避能力と安置[8]把握力の勝負となる。当然ボムバリアは標準装備である。おまけに耐久力もおよそハイパーでの打ち込み6回分であるため、限界までエクステンドし、ボムを一切使わないのが攻略の前提とまで言われている。そんな緋蜂の発狂弾幕[9]が、怒首領蜂大往生の集大成と言える通称「洗濯機」と呼ばれるものである。これを超えるものは今日になっても現れず[10]、あらゆる種類の弾幕シューティングのラスボスの数々も、この「洗濯機」の前では児戯と化すだろう。


ブラックレーベル版[編集]

ゲームセンターに転がった死体の数々を目の当たりにしたCAVEは、本作をより遊びやすく調整したブラックレーベル版を後に発表した。筐体への電源投入時に通常版とブラックレーベル版を選択できるようになっている。変更点は

  • 弾速と弾密度の緩和
  • 当たり判定の縮小
  • エクステンドがより容易になったスコア計算
  • ショーティアによるショット強化の改良
  • 五面以外での二周目コンティニューが可能に
  • ゲーム開始時に一周目にて黄龍第二形態と緋蜂の出現を選択可能に

となっている。

移植[編集]

なんだかんだ言っても、本作の人気は非常に高く、PS2XBOX360にそれぞれ移植版が存在する。

PS2版[編集]

2003年4月10日に発売。通常版の移植となる。開発元はアリカ。全国レベルのシューターたちに監修を依頼しただけあって、アーケードモード、練習用のシミュレーションモードともに非常に高い再現度を誇る。

PS2版独自のモードとして、いわゆる「ボスラッシュ」にあたる「デスレーベル」がある。これは、本編の二周目以上に強化された一面から五面までのボスを5つのハイパーアイテムと毎回供給されるボムを元手に、ノーコンティニューで戦い抜いていくモードである。最後に出てくる「緋蜂・改」は本編の緋蜂が二機で登場する。一応緋蜂一機当たりのの弾数は少なめに調整されているので、クリアはそこまで難しくない・・・・・そう思っていた時期が俺にもありました。

何とこのモードにも二周目が存在する。・・・・・・というより、一周目は練習で、二周目からが本番ともいえるだろう。

  • 残機全没収
  • 開始時にハイパーアイテムが投下されなくなる
  • ボムを使うとボスの耐久力が回復
  • 真ボスの緋蜂・改が「真・緋蜂・改」に

とまぁ、本編の二周目にも劣らぬ素敵な仕様が待っている。特にこの「真・緋蜂・改」の撃破は七年もの間確認されず、2010年9月18日にMON氏が有史上初、デスレーベルモード二周目クリアを成し遂げる。以下がその貴重な史料である。 YouTube 動画リンク

XBOX360版[編集]

2009年2月19日に発売。通常版とブラックレーベル版の両方の移植になる。開発は5pb.。オリジナル要素として、試作型エレメントドール「パイパー」と、独自のモード「X-MODE」が新たに実装された。X-MODEでは擬似的に当時未移植であった怒首領蜂大復活のシステムを踏襲しており、ハイパーアイテムを使用すると敵弾を消すことができる。また、標準型のショーティアと最新型のレイニャンは敵に被弾すると自動的にボムを使用する「オートボム」機能[11]を搭載され、より初心者にも遊びやすくなった。井上惇哉氏の書き下ろしイラストや、並木学氏のアレンジBGMも楽しめる。

パイパー
プロトタイプのエレメントドール。性能的には他の追随を許さぬ優秀なドールで、将来の量産化に向けた研究が進められている。感情プログラム[12]が未完成なためか、パイロットを励ましたいのであろう笑顔が引きつり、はっきり言って不気味である。選択すると、常時ハイパーモードが発動状態である代わりに、ボムは全く使用できず、弾消しができる時間も最も短い。試作品の名にふさわしいピーキーななモデル。

XBOX360版特有の問題[編集]

実はこのXBOX360版は、当初は劣化移植の誹りを受けていた。と言うのも、「通常版2周目以降にゲームオーバーになるとフリーズ」と言う重大なものを含め、バグがそれはもうたくさん見つかっていたからだ。詳しくはこちらを参照していただくとして、他にもユーザーインターフェースが劣悪で、挙動がおかしいなどいった不具合の数々が見つかっている。更に、PS2版開発元のアリカとCAVEの調査の結果、まさかのPS2版のソースコード盗用が発覚した。これにより、XBOX360は出荷停止を余儀なくされた。

なお、発覚と共にアリカはバグの修正プログラムを作成し、発売からおよそ3年後の2011年1月17日に完成。これによって不具合の大部分は解消された。

脚注[編集]

  1. 怒首領蜂シリーズ恒例のアイテム。ノーミスで取得するごとに得点が上がる。
  2. 最大コンボメーター下のゲージがなくなるまでが有効時間である。
  3. ゲームにおける時間の単位のようなもの。60フレーム=一秒。
  4. ゲームの難易度。シューティングゲームは概してプレイ内容に応じて難易度が上下する。
  5. ボムを使う事はしばしばランクを下げる行為の代表例になる。初心者シューターにとっては一石二鳥。
  6. アーケードゲームはパソコンマザーボードのようなものがソフトとなる。どう考えても不便だとおもうのだが
  7. 1週目のアレはまだ第一形態と言うわけだ。
  8. 安全地帯の意味。
  9. 体力が減ってくると繰り出す、気が狂わんばかりの弾幕。ボスの全身全霊。
  10. 最新作「怒首領蜂最大往生」の「陰蜂」の発狂弾幕が、緋蜂以上の難易度と呼ばれているが、アレは洗濯機とふぐ刺しの合わせ技であるので、ノーカウント。
  11. ショーティアはほぼ無条件で使える一方、レイニャンはボムを最大限装備している状態に限られる。これはショーティアが実はボム強化だった戦闘に特化していることにある。
  12. おそらくレイニャンのそれが大好評だったのか、彼女の世代から標準装備となった。