土井章

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土井 章(どい あきら、1905年9月29日[1] - ?)は、中国研究家。昭和同人会常任委員、事務局長[2]

経歴[編集]

神戸市荒田町(現・神戸市兵庫区荒田町)生まれ。大阪市北区および大阪府北河内郡寝屋川村(現・寝屋川市)で育つ。1927年大阪外国語学校支那語学科卒業。大阪市産業部調査課に勤務。外語と調査課にいたとき福田宏一[注 1]の指導を受けた。1933年大阪市天津調査所に転勤。1935年満鉄総裁室東亜課に勤務。小山貞知の『満州評論』に参加し、立田三也、不動太文、塩山二郎のペンネームで評論を執筆。1938年東亜課解散、調査部に異動。東亜研究所に出向[1]、第三部主筆[4]。1939年東亜研究所上海支所の設立にあたり[1]、同支所長[2]。1940年満鉄南京支所、1941年満鉄東京支社調査室総合班に勤務。東亜研究所と満鉄支社にいたとき昭和研究会の大陸班に参加[1]。1939年に昭和研究会の「支那問題研究会」が「東亜政治研究会」に改組され、委員に加わった[5]昭和塾の講師も務めた[6]。満鉄南京支所長・西義顕汪兆銘との和平工作、その後の銭永銘との和平工作が失敗した後、元満鉄上海事務所長・石井成一から話を受け、柯世楨葉大根申錫雨の3人を中心とするグループとの日中和平工作に参画[1][7]。1942年ジャカルタ海軍武官府に出向。1943年南京武官府に出向。再び重慶政権との日中和平工作に参画。日本に出張中に敗戦を迎えた[1]

1945年10月東西出版社金井寛人が出資、築井健人が経営)を創業、海外事情を紹介する旬刊紙「ニュース」を発行[1][8]。またアジア経済調査所を設立、東西出版社から雑誌『中国』を刊行[1]。社団法人アジア経済調査所理事[9]。1953年7月日本エカフェ協会の設立に参加[1][10]、事務局長[11]。その後、昭和同人会に移り[1]、委員[12]、事務局長[13]

1961年4月大東文化大学の「大東文化研究所」が改組された「東洋研究所」の設立に協力し、同所長。1971年大東文化大学外国語学部中国語学科教授。経済学部・大学院経済学研究科を兼任し、中国経済論を講義。1979年3月停年のため大東文化大学教授・東洋研究所長を退任。大東文化大学名誉教授[1][14]

民主社会主義連盟(民社連)理事[15]民主社会主義研究会議(民社研)理事(1960年2月~)[16]、「安保改定・民主主義を守る会」監事(1969年7月~)[17]アジア政経学会監事も務めた[4]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『中共綿業の発展と価格政策』(民主主義研究所、1960年)
  • 『中ソの貿易関係』(民主主義研究会、1961年)
  • 『日中交流史 1 文化・政治交流と日中問題』(民主主義研究会、1962年)
  • 『日中交流史 2 経済交流』(民主主義研究会、1962年)
  • 『中共の経済問題と人民公社』(土居明夫編、大陸問題研究所[大陸問題シリーズ]、1962年)
  • 『中共経済の現状と日中貿易』(土居明夫編、大陸問題研究所[大陸問題シリーズ]、1963年)
  • 『現代中国政治経済論』(大東文化大学東洋研究所[大東文化大學東洋研究所襍刊]、1967年)
  • 『中国社会主義経済の特質』(大東文化大学東洋研究所[大東文化大學東洋研究所襍刊]、1973年)
  • 『中国の食糧問題』(大東文化大学東洋研究所、1975年)
  • 『中国経済開発論』(大東文化大学東洋研究所、1977年)

共著[編集]

  • 『インドと中共――その経済発展の比較』(栗本弘共訳著、日本外政学会、1957年)
  • 『中共問題の理解』(田中直吉、蔵居良造、川崎一郎共著、文教書院[現代文化シリーズ]、1962年)
  • 『社会主義経済の変貌――東西経済力の比較』(執筆者代表、民主主義研究会、1962年)
  • 『中国貿易要覧 1971年度版』(富山栄吉共著、国際技術協力協会、1971年)
  • 『中国貿易要覧 1977年度版』(富山栄吉共著、国際技術協力協会、1977年)

編著[編集]

  • 『中国経済成長の条件』(編集責任者、アジア政経学会[現代中国研究叢書]、1965年)

訳書[編集]

  • 李宝嘉作『官場現形記(上・下)』(東西出版社、1949年)

監修[編集]

  • 大久保達正、永田元也、兵頭徹編著『昭和社会経済史料集成(全30巻)海軍省資料』(大東文化大学東洋研究所、発売:御茶の水書房(第3巻から巌南堂書店)、1978-2004年)
  • 大東文化大学東洋研究所編『現代中国革命重要資料集(全3巻)』(大東文化大学東洋研究所、1980・81・84年)

分担執筆[編集]

  • アジア経済研究所編『中国人民公社の組織と機能』(アジア経済研究所[調査研究報告双書]、1961年)
  • 民主主義研究会編『中ソ対立の諸様相と今後の問題』(昭和同人会、1963年)
  • 昭和同人会編『中国経済の成長とその可能性』(昭和同人会、1964年)
  • アジア調査会編『日本の国家利益と中共の国家利益』(アジア調査会、1966年)
  • 昭和同人会編『高度産業社会と第三市民の形成――人間解放と近代超克の理論構造』(昭和同人会、1970年)
  • 大東文化大学経済学研究科編集委員会編『比較社会経済体制論』(大東文化大学経済学研究科、1979年)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. 大阪の町人学者、泊園書院門人。「支那通」として知られた。1936年没[3]

出典[編集]

  1. a b c d e f g h i j k 土井章「中国と私の五十年の生活」『東洋研究』第56号、1980年1月
  2. a b 土井章、富山栄吉『中国貿易要覧』海外技術資料研究所、1971年
  3. 吾妻重二「植野武雄とその東洋学――附・著述目録PDF」『関西大学東西学術研究所紀要』第51輯、2018年4月
  4. a b 土井章『現代中国政治経済論』大東文化大学東洋研究所、1967年
  5. 昭和同人会編著『昭和研究会』経済往来社、1968年、37、141頁
  6. 昭和同人会編著『昭和研究会』経済往来社、1968年、133頁
  7. 栗本弘「土井章と日中和平工作」『東洋研究』第56号、1980年1月
  8. 日本書籍出版協会編『日本出版百年史年表』日本書籍出版協会、1968年
  9. 土井章「最近の中國事情と中日貿易」『海外貿易情報』第40号、1953年4月
  10. 時事通信社編『時事年鑑 昭和29年版』時事通信社、1953年、232頁
  11. 民主社会主義連盟編『社会主義教科書 第1巻 原理編 社会主義の理論と歴史』春秋社、1956年、9頁
  12. 土井章「中共の農業資源開発」『資源』第44号、1956年8月
  13. 民主社会主義研究会議編『日本における民主社会主義の課題――第一回民主社会主義研究会議報告書』民主社会主義研究会議、1960年、221頁
  14. 中嶋敏「刊行の辞」『東洋研究』第56号、1980年1月
  15. 中村勝範「中村菊男・人と思想(十五)」『改革者』第20巻第4号(通巻232号)、1979年7月
  16. 佐藤寛行「民社研三十年小史――高く掲げた「民主社会主義」――「民社連」八年の実績の上に三十年」『改革者』第30巻第8号(通巻352号)、1989年11月
  17. 「資料 安保改定・民主主義を守る会 七・二三アピール」『同盟』第133号、1969年8月