国鉄413系電車

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国鉄413系電車は、国鉄が設計し、1986年に登場した近郊形電車である。なお、後年の107系と同様に車体のみ新造、床下などは471系473系の部品が流用されている。

概要[編集]

1970年代後半、国鉄は赤字縮小のため、大幅値上げを行った一方、私鉄に比べての、サービス水準の低さから社会的な非難が大きく、利用者の視点に立った輸送サービスの改善がとても強く望まれていた。
次いで、1980年代に差しかかり、分割民営化を控えていた頃の福井・金沢・富山など北陸本線の普通列車は、余っていた急行形や旧型客車を使った旧態依然の汽車型ダイヤでの運行だった。
あまりにも非効率すぎる運用であった[注 1]ことから分民化直前にシティ電車と呼ばれた短編成で高頻度運転、つまり電車型ダイヤを採用したが、運行車両は455系などを使用したものであり、車内に人は入りにくく乗り降りの際にドア幅が狭すぎることからラッシュ時はもう地獄状態だった。そんな状況を改善するために生まれたのが本形式である。

主な車両の内容[編集]

新造に当たっては以下の点に注目。ラッシュからローカルまで幅広い運用ができるような車両が望まれた。

  • 客用扉は1,300 mm幅(急行型よりも広い間隔の)ステップ付両開扉を片側2ヶ所に設置。なおデッキは省略された。
  • 戸袋部分のガラスは熱線吸収ガラスとしカーテンを省略。
  • 車内は115-1000系や211系と同様セミクロスシート配置となった。
  • 電動車の1・4位側に115-1000系と同じ主電動機冷却風を取り入れる雪切室を設置。
  • サービス向上の観点から、冷房装置ならびに車体側面にサボ受けだけでなく電動式行先表示器を搭載した。

番台[編集]

0番台[編集]

471系を種車とする車両。

100番台[編集]

473系を種車とする車両。473系が1編成しかいなかったので、100番台も1編成のみである。なおクハには存在しない。

編成と車両[編集]

編成は以下の通り

直江津/富山          金沢/福井

クモハ413- モハ412 - クハ412/クハ455形700番台

クモハ413[編集]

車両番号:1-10,101
制御電動車となる。3両編成のうち、一番北寄りの車両。
全車2ドア車。
クモハ471形クモハ473形からの改造。

モハ412[編集]

車両番号:1-10,101
パンタグラフ搭載の電動車となる。3両編成のうち、中間の車両。
こちらも全車2ドア車。
モハ470形モハ472形からの改造。

クハ412[編集]

車両番号:1-3,5-10
トイレが設置されている制御車。
なお、トイレは種車の汚物処理装置を再用したため近郊形では初めて4位側へ設置された。
なお3・8はサハ451形が、その他はクハ451形が種車。

クハ455[編集]

車両番号:701,702
本系列と編成を組む455系の制御車となる。クハ413-4,101、モハ412-4,101が併結相手。
本形式は2両(700番台)のみの改造。どちらもサハ455の先頭車化改造となっている。
なお、413系の顔がつけられた以外は455形の原型を保っている。

改造[編集]

体質改善工事[編集]

クハ455を組み込んだ編成を除き、簡易的な体質改善工事を行っている。工事内容としては、手すりやつり革の黄色化である。

一万三千尺物語[編集]

あいの風とやま鉄道のAM01編成を観光列車化したもの。ドアや窓の撤去や内装の工事、バリアフリートイレの設置が行われた。ちなみに、ドアを撤去した部分のみ窓枠が40N車のようなものになっている。

譲渡[編集]

それぞれあいの風とやま鉄道えちごトキめき鉄道に譲渡されている。

余談だが、JR西日本では2021年3月のダイヤ改正で運用を終えた。そのため、現存する413系で原型を一番保っているのはあいの風車となる。

あいの風とやま鉄道[編集]

2015年3月14日の北陸新幹線金沢延伸開業と同日付で本系列もB01 - 03・07・10の5編成計15両が、車両番号はそのままで編成番号のみAM01 - 05と変更し、富山県区間を管轄するあいの風とやま鉄道へ譲渡された。なお、車両の全般検査と重要部検査はJR西日本の金沢総合車両所松任本所で実施される。
2022年2月現在ではあいの風とやま鉄道線とIRいしかわ鉄道線の金沢 - 石動 - 泊間で運用される。
2016年にはイベント用としてAM03編成がとやま絵巻へ改造。また2018年にはAM01編成が一万三千尺物語へ改造された。
だが、あいの風とやま鉄道では521系の新製・追加投入により2018年から2022年度にかけ本系列を順次置換える計画がある。そのため、2021年5月5日に運行されたイベント列車「ありがとう413系」での運行を最後にAM04編成が一足早く廃車され、次いでAM05編成も2023年3月で運用を終えた。
なお、AM02編成は新北陸色、AM05編成は海坊主こと青一色の塗装となっている。
とやま絵巻は老朽化により廃止される予定である。

えちごトキめき鉄道[編集]

2021年3月1日にえちごトキめき鉄道の鳥塚亮社長は公式ブログにて、B06編成3両をJR西日本より購入したと発表。
さらに同月15日にはB04編成に組成されていたクハ455-701も追加で購入した。金あるなぁ…

関連ページ[編集]

[編集]

  1. 北陸本線増発前は、50系客車の余剰が始まり、EF70電気機関車も休車が目立ったが、機回しの要らない制御客車を用いたペンデルツークが試みられることは無かった。