中部高速鉄道G5100系電車

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
中部高速鉄道G5100系電車
基本情報
製造年1964年 - 2013年
製造数100両
主要諸元
編成2両編成(1M1T)
3両編成(1M2T)
4両編成(2M2T)
軌間1,740 mm (5 ft 8 1/2 in)
電気方式直流3,000V
交流50kV 50/60Hz
非電化
最高運転速度180km/h
自重19.6 t (Mc車・直角カルダン駆動)
全長20,000 mm
全幅2,700 mm
全高3,928 mm
車体材質ステンレス鋼
台車円錐積層ゴム式ダイレクトマウント空気ばね台車
Mc車・M車:G-DT85V系
Tc車・T車:G-TR305V系
機関ツインターボ・スーパーチャージャー付き4バルブDOHCボクサーディーゼルエンジン
G-DMH24HZ系(2両または4両編成)
G-DML36HZ系(3両編成)
機関出力2720ps(2両または4両編成)
4080ps(3両編成)
主電動機かご形三相誘導電動機
G-MT84系(2両または4両編成)
G-MT91系(3両編成)
主電動機出力320kW(2両または4両編成)
480kW(3両編成)
駆動方式直角カルダン駆動方式
吊り掛け駆動方式
WNドライブ(4両編成の一部)
TD平行カルダン駆動方式(4両編成の一部)
リンク式駆動方式(3両編成のみ)
歯車比3.83(改造前)
4.00(改造後)
編成出力1,280kW(2両編成)
1,920kW(3両編成)
2,560kW(4両編成)
制御方式VVVFインバータ制御(GTO素子・ベクトル制御)
制御装置G-SC500B
制動装置回生・発電併用電気指令式電磁自動空気ブレーキ(HAR-1DR)
保安装置ATS-G

中部高速鉄道G5100系電車(ちゅうぶこうそくてつどうG5100けいでんしゃ)は、黒澤マンガンによる架空鉄道である中部高速鉄道の鉄道車両の1形式。

概要[編集]

中部高速鉄道には多種多彩な車両が存在するという設定があるが、一部の車両については設定をかなり濃く作ってあり、そのレベルは個別記事を作成可能な程となっている。

G5100系もその1形式であり、以下、本項ではG5100系が実在するものとして記述する。

登場の経緯[編集]

中部高速鉄道では、戦後に入ると輸送力増強のために大量に車両増備が行われており、1962年1月1日にはG5000系が4連25本製造されて運用に就いていたが、従来車と自在に併結が可能なものの、性能差が大きいほか、極めて軽量[1]かつ電気指令式ブレーキを採用しており、運転現場、保守現場の両方から少々嫌われていた。

そこで、さらなる輸送力増強を兼ねて、G5000系をベースとし、G5000系に比べてより従来車との互換性を持たせたG5100系を1964年より投入した。

構造[編集]

車体構造はG5000系に準じた車体長20m、両開き4扉・準張殻構造のオールステンレス車体をそのまま使用した。前照灯もG5000系と同一のプロジェクター式シールドビームで、上部に2灯配置された。腰部には標識灯と尾灯を縦2段に並べて配置されているが、上部に尾灯、下部に標識灯という組み合わせになった。前面もG5000系に準じたプラグドア付きの貫通型とされた。

主電動機は1955年登場の初代G3000系およびG5000系で実績がある江戸電機製三相誘導電動機G-MT84B[2]を採用し、これを直角カルダン駆動方式で駆動する。歯車比は24:92=1:3.83である。

制御方式は当時の中部高速鉄道ではすでに当たり前となっていたGTOサイリスタVVVFインバータ制御とした。

対してブレーキ方式は従来車で実績のあるセルフラップ弁付きのHAE-DR回生ブレーキ・発電ブレーキ併用の電磁自動空気ブレーキを採用し、保守の安定化が図られた。なお、HAR-1DRを採用したG3000系やG5000系などにはブレーキ読替装置が搭載されており、性能差は大きいものの互いに併結は可能で、実際に併結されての運用が組まれたことが多い。それでもワンハンドルマスコンを採用していることが特徴で、空気指令式ブレーキへのワンハンドルマスコンの採用例は高速電車において2例目という設定となる。[3]

台車は軸梁式のダイレクトマウント空気ばね台車としている。

車内はオール回転リクライニングシートで、東京方面の先頭車にはトイレも備える。この他、車内には赤1色のLED式車内案内表示器を備える。

この結果、1両あたりの重さが1tを切る走ルンです以上の車両となったが、加速性能は従来車と同様の1.6km/h/sに抑えられてしまった。

編成構成は梅田方面からMc-T-M-Tcの4両編成を基本としたが、デルタ線などが頻繁に使用され、方向転換されるケースも多く存在した。なお、反転状態でも正方向の車両との併結は可能である。

増備[編集]

1次車
1964年製造分の3本12両が該当。化粧板は後に登場する名古屋市営地下鉄3000形電車に準じた黄色とした。最初の2本は直角カルダン駆動で落成したが、12月に落成した第3編成は吊り掛け駆動方式に戻された。吊り掛け車の電動車の制御方式、出力や歯車比は変わらないが、主電動機形式がG-MT84Eに変更され、重さが1両で28 - 30tとかなり重くなった。
2次車
1968 - 69年製造分の5本20両が該当。化粧板が白に変更された。第8編成のみ吊り掛け駆動方式となった。
3次車
1978 - 79年製造分の4本16両が該当。車内案内表示器が3色LED式に変更された。第12編成のみ吊り掛け駆動方式で落成した。
4次車
1984年製造分の2本6両が該当。この2本はMc-T-Tcの3両固定編成を基本とし、車体に軽量ステンレスの採用、ドアチャイムや側面行先表示器の設置など大幅な改良が図られた。駆動方式は吊り掛け駆動で、当初はG-MT84Eを採用した。
5次車
1991 - 92年製造分の4本14両が該当。側面灯がLED化され、車内案内表示器もドア上に移設された。最初の第15編成のみ1M1Tの2両固定編成であったが、それ以外の3本は4両固定編成である。第18編成のみ吊り掛け駆動とされたが、それ以外は直角カルダン駆動となっている。
6次車
1996 - 97年製造分の3本12両が該当。VVVFインバータ制御の方式をベクトル制御とした。このグループは直角カルダン駆動で統一されている。
7次車
2002 - 03年製造分の3本12両が該当。前照灯がHIDに変更された他、番号表記がJR西日本タイプとなった。最初の第22編成はそのままだが、第23編成は台枠を簡略化され、第24編成については台枠をマグネシウム合金で固めるなどさらなる軽量化が進められた。第24編成のみ吊り掛け駆動である。
8次車
2013年製造分の2本8両が該当。車体構造の一部にE231系の設計思想を取り入れたほか、行先表示器フルカラーLED化され、車内案内表示器もLCDに変更された。戸閉予告灯も設置された。交直流電車の準備工事車両として落成している。
ただし、すでに他社では平行カルダン駆動・IGBT-VVVFインバータ制御・電気指令式ブレーキが一般的になっていたものの、吊り掛け駆動・GTO-VVVFインバータ制御・自動空気ブレーキで落成した。

8次車の製造をもって100両が出そろい、約49年間にわたる増備は終了した。

改造[編集]

ベクトル制御試験[編集]

2次車第4編成を対象に、1995年よりベクトル制御の試験改造が行われた。この結果はかなり良好で、6次車以降のベクトル制御での増備に繋がった。

ATS化[編集]

ATSの高精度化に伴い、ATSの更新およびブレーキ方式の電気指令式化が2017年までに全車に対して行われた。

3両編成の主電動機交換[編集]

3両編成については中間サハ1両を抜いた運転も可能とされていたが、固定編成化に伴いサハ1両を抜く頻度が減ったことから2015年頃に主電動機をより大出力のG-MT91系[4]に換装されている。

さらに、将来的な吊り掛け車の全廃に備えて駆動方式をリンク式に変更するにあたり、主電動機を同じ出力のものに再度換装している。[5][6]

車体更新工事[編集]

49年間にわたる増備が完了し、1次車の製造から未更新のまま50年以上が経過し老朽化も極めて著しく進んでいたことから、車体更新工事を行いさらに数十年使用することになった。この際に以下の改造が同時施工された。

  • エンジン発電機を4両編成は2基、2両編成と3両編成は1基搭載。
    • エンジンは3両編成のみ水平対向12気筒で出力4080psのG-DML36HZで、それ以外は水平対向8気筒で出力2720psのG-DMH24HZとされた。
  • 前照灯をハロゲン式からHID式、あるいはLED式に変更。
    • 当初からHID前照灯の車両の一部はそのままとされた。
  • 標識灯についても縦2列式からLEDによる丸型1灯式に交換。
  • LED式のフォグランプをスカート部分に設置。
  • すべり周波数制御の車両や、純電気ブレーキ取り付け未施工の車両についてはベクトル制御化や純電気ブレーキ化も施工。
  • 主電動機は絶縁強化を行い、4連4本はTD平行カルダン駆動化、4連2本はWNドライブ化により主電動機ごと交換。
  • 台車は円錐積層ゴム式のダイレクトマウント空気ばね台車G-DT85V系に交換。
  • 内装も一新し、車内照明もLEDに変更。8次車については車内照明のLED化のみとされた。
  • 直流専用車であったのを交直流電車に改造。準備工事施工済みだった8次車についてはそのまま改造された。

VVVFのIGBT化や、吊り掛け車のカルダン駆動化については見送られた。この工事は2020年3月までに、事故廃車となった8両と台枠の強度の問題で見送られ廃車された4両以外に対して行われた。

後に3連についてはリンク式駆動方式の試験車となっている。

歯車比の変更[編集]

2018年頃より、計算を容易にすべく全車の歯車比を3.83から4.00に変更され、年内に完了した。もっとも、ごく僅かな変更だったので歯車比未変更車と変更車の併結は可能であった。

内装のセミクロス化[編集]

コロナ禍により混雑緩和を図るため、かつ特別車とそれ以外で差別化を図るために、回転リクライニングシートはすべて撤去し、車端部とドア間の一部をロングシートとした上でそれ以外を転換クロスシートとする、セミクロスシート仕様に変更され、2022年3月の普通車の回転リクライニングシート全廃までに既廃車以外の全車に対して完了した。

運用と廃車[編集]

当初から快速等の運用に就いて各地で幅広く活躍しており、2022年時点でも転属車はない。

2018年まで廃車はなかったが2018年10月に台風で煽られた第16編成と第17編成の8両が未更新で廃車、2019年3月には台枠の強度の問題から第23編成の4両が車齢20年足らずで未更新で廃車、2020年1月には昇圧後故障が頻発していた第25編成が車齢わずか7年弱で廃車搬出となっている。第25編成の主電動機については何ら問題がなかったため、G5200系第19編成の更新工事に活用された他、第25編成は、2019年2月よりAqoursの『Thank you, FRIENDS!!』のラッピング列車となっており、廃車まで剥がされなかった。いずれも後に2代目として代替新製されている。

残る編成についても2053年より後継車両への置き換え計画があり、2071年までに全車両の廃車が予定されている。エンペディア上への譲渡予定もない。

なお、2022年以降フルモデルチェンジの新車が導入されているが、数年以内の代替対象からは外されている。

脚注[編集]

  1. 車体長20mの冷房搭載であるにもかかわらずMc車で重さがたったの19.8tであった。
  2. 端子電圧2200V時、1時間定格出力320kW、定格回転数1600rpm
  3. 実際は東急7600系や7700系まで登場しなかった。
  4. 端子電圧2200V時1時間定格出力480kW、回転数1600rpm
  5. 主電動機出力の関係から直角カルダン駆動やWNドライブの採用は見送られていた。
  6. しかし、初期投資等の問題で成績が芳しくなかったことから2022年以降の新車では引き続き吊り掛け式が併用されることになった。

外部リンク[編集]