ベクトル制御
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ベクトル制御とは、電力変換器(インバータ等)の制御方法の一つ。
概要[編集]
交流電動機の可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)に用いられる方法の1つ。
電動機に電流が流れる際に、その電流に特殊な演算を行い、電流を磁束方向とトルク方向のベクトル成分に分解する制御方式。モーター出力を変える際にトルク方向のみの電流の制御だけを行えば空転時や架線電圧が急に変わった際により迅速に対処できるという利点がある。
その演算にはプログラムが必要で、かつベクトルである以上はモーターのパラメータを設定しなければならないという難点がある。
1980年代の時点では産業用インバータに広くベクトル制御が使われるようになっており、1モーター1インバーター制御(以下、1C1M制御)の場合にはベクトル制御がうまくいくようになった。
鉄道車両への応用[編集]
多くの鉄道車両でのVVVF制御の場合は複数のモーターを一斉に1つのインバータで制御するため、各モーター特有の性能や車輪径の微妙な差を活かしての制御ができないため、インバータを導入する効果自体が薄れてしまうことになる。
日本で初めて採用したのは1996年の阪急8200系電車であり、これは1C1M制御×3だったため本来の性能を活かすことができている。
その後、ドイツのシーメンス社がインバータを日本に売り込んできた際はベクトル制御を売り文句にしたため、1C1M制御でないにもかかわらずその後のVVVF制御の大半がベクトル制御となった。
なお、勘違いしないでいただきたいのは純電気ブレーキはベクトル制御でなくても可能である。また、モーター音に関しても本来はすべり周波数制御と何ら変わりはなく、素人には聞き分けが難しい。