レッド・ツェッペリン III

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レッド・ツェッペリン III』(LED ZEPPELIN III)は、英国のロックバンド、レッド・ツェッペリンの第三作アルバム。1970年(昭和四十五年)10月5日発売。ビルボード・チャートで四週連続首位を記録した。

概要[編集]

前作「レッド・ツェッペリン II」でハード・ロックバンドとしての地位を確立したバンドは、ツアーとレコーディング漬けだった1969年から一旦休暇を取る。翌年1月頃からジミー・ペイジロバート・プラントはウェールズのスノウドニア・ナショナルパーク内のコテージ、ブロン・イ・アーに滞在した。水道や電気も通っていないこの地で休養と共に、前作までのハード・ロックバンドというイメージから脱却を図るペイジとプラントを中心にアコースティック中心の曲作りが進んだ。元々二人の音楽的共通点がブルースに加えカントリーミュージック(デイビー・グラハムやバート・ヤンシュ)であったこと、CSN&Yなどのカントリー・バンドが流行していたことから新作の方向性がアコースティック中心となったと言われている。

その後オリンピック・スタジオ、ハンプシャーのヘッドリィ・グランジでジョン・ボーナムジョン・ポール・ジョーンズを加えて主なレコーディングがされ、8月までコンサートなどを重ねながら様々な場所でレコーディングされた。途中「祭典の日」の冒頭にノイズの入るトラブルなどあったが、最終的にメンフィスでマスタリングが完了した。

アメリカでは発売前から100万枚の注文が殺到し、非常に期待されたアルバムだったが、アコースティック中心(10曲中6曲、B面全て)のサウンドはハードロックを期待していた多くのファンには失望をもって迎えられた。(当時学生だったロッキン・オンの社長渋谷陽一氏も「軟弱すぎる」と感じたとのこと)しかし、「ギャロウズ・ポウル」や「スノウドニアの小屋」などの曲はアコースティックギターを用いながらもハード・ロック調であり、落ち着いて聴けば、メロウな曲は「タンジェリン」と「ザッツ・ザ・ウェイ」ぐらいなものである。このアルバムは、今後のツェッペリンの音楽性を広げる第一歩になった、問題作かつ最重要作であるという評価がされている。

収録曲[編集]

全10曲43分4秒。クレジットには含まれていなくとも実質的なアレンジを施したメンバーも表記する。全体としてボーナムの登場曲が少ないアルバムと言えよう。

A面
  1. 移民の歌(Immigrant Song ペイジ&プラント) - ツェッペリンの曲の中でも著名なハード・ロックナンバー。
  2. フレンズ(Friens ジョーンズ、ペイジ&プラント) - アコースティック曲ながらジョーンズのアレンジが独特。
  3. 祭典の日(Celebration Day ジョーンズ、ペイジ&プラント) - 曲調自体はポップだが、音が非常に重くハード。
  4. 貴方を愛し続けて(Since I've Been Loving You ジョーンズ、ペイジ&プラント) - 彼等の本領発揮とも言えるブルースナンバー。
  5. アウト・オン・ザ・タイルズ(Out on the Tiles ボーナム、ペイジ&プラント) - ボーナム主導のハードロックナンバー。
B面
  1. ギャロウズ・ポウル(Gallows Pole ペイジ&プラント) - 本作において重要な役割を果たすアコースティック・ハードロック。
  2. タンジェリン(Tangerine ペイジ) - 後の「天国への階段」の布石ともとれる曲。
  3. ザッツ・ザ・ウェイ(That's The Way ペイジ&プラント) - スノウドニアの丘で作曲されたというメロウなカントリー曲。
  4. スノウドニアの小屋(Bron-Y-Aur Stomp ジョーンズ、ペイジ&プラント) - これもアルバムで重要なアコースティック・ハードロック。
  5. ハッツ・オフ・トゥ・ロイ・ハーパー(Hats Of To (Roy) Harper チャールズ・オブスキュアー(ペイジのペンネーム)) - カントリーミュージシャンであるロイ・ハーパーに捧げられたのかもしれないが結局はよくわからんアコースティック曲。

アウトテイク[編集]

  • このアルバムからはアウトテイクが3曲知られている。
  • ホワット・キャン・アイ・ドゥ(Hey Hey What Can I Do ボーナム、ジョーンズ、ペイジ&プラント) - 本来ならばB面最後に収録されるべきアコースティック・ハードロックだが、シングル「移民の歌」B面に収録された後は1990年まで日の目を見ることがなかった。
  • ブロン・イ・アー(Bron-Yr-Aur ペイジ) - ペイジによるアコースティック・インストゥルメンタル。1970年のステージで披露されていたが、1975年の「フィジカル・グラフィティ」に収録された。
  • プア・トム(Poor Tom ペイジ&プラント) - 解散後「コーダ (最終楽章)」に収録された。
  • スノウドニアで、ペイジの素性を知らない地元の若者たちがギターを弾いてくれと頼んだが、彼は「僕はギターが弾けないんだ」と言って断る逸話がある。
  • ブロン・イ・アーの休養後、ペイジとプラントは農夫風のいでたちに目覚めたのかヒゲを生やした。
  • アルバムジャケットのデザインはペイジの知り合いのデザイナーに任されたが、「農村における生物や自然の営みを見開きジャケットの下の円盤を回して表現する」というやたら難しい彼の意向を十分理解できず、妙にポップなものとなってしまった。そのままリリースした意図は不明だが、ペイジは見開きの手抜き風絵柄に関して「トウモロコシとかマジでナンセンスだろ」と怒りをあらわにしている。