ノンステップバス
ノンステップバス(Non step Bus)とは、出入り口と地面の段差が減らされたバスのこと。バリアフリー対応のバスとして、日本の路線バスでは積極的に導入されている。車両前扉から中扉付近の床面が下げられ、地面との段差が軽減されている。中扉より後ろには床面に駆動部等を設けるため、一段高くなっている。障害者、年寄りなど身体機能の高くない利用者であっても容易に利用できる。また、車椅子乗降時のスロープ傾斜角も改善される。2022年現在、よりコンパクトな駆動部を天井や最後方に設けるなどして、車内段差を一切なくし一層のバリアフリー対応を期したフルフラットバスの運行が開始されている。
誕生の経緯[編集]
1990年代のバリアフリーの推進によって、従来のツーステップバス・ワンステップバスに代わり、ノンステップバスの製造が企画された。また車イスや障害者が乗り易いことも条件にあたった。
初期型(1997年~2005年)[編集]
1990年代後半、各バス製造会社から様々なノンステップバスが生まれた。メーカーにより仕様が異なり、手すりやドア部分に違いが見られた。また、車内の段差を階段とするか、スロープとするか、などの試行錯誤が続いた。
この頃は製造において全てフルフラット構造にしたたため、最後部のデットスペースが多く、従来型のバスに比べて座席数が減るものの、価格は高いという状態であった。エンジンルームが客室に出ていることから安全性の関係上後部座席は背もたれを長くした形となった。初期の運転においてはフィンガーシフトは付けず、オートマチックトランスミッションで走るバスが多かった。従来型のバスではラッシュ対応として折り畳み式の4ドアが出口に設けていたが、段差がなくなると乗客に当たる可能性が出てきたことからスライド式のドアが採用された。まれに、2ドアなどのバスもあった。初期型は2005年まで製造された。
中期型ノンステップバス(2001年~2003年)[編集]
21世紀に入るといすゞバスが製造した物が多くなった。フルフラット構造が高価だったことから、図面を一から見直し、後部のみを高くした構造に変更され、最後部デッドスペースの改良やコストダウンなど様々な工夫が見られた。初期に見られた後部のスロープは階段に統一された。フィンガーシフトのバスも多く登場した。この頃になると図面の見直しからエンジンルームの位置が変更したりなどがあった。バスの停車ボタンが天井に設置されていたバスもあった。
後期型ノンステップバス(2004年~2009年)[編集]
この頃になると、東京周辺での1都9県市によるディーゼル車規制や、公害防止のための社会的要請を背景に、ディーゼルエンジンの改良や省エネなどの工夫が盛り込まれた。また、国土交通省認定のバスが誕生し、後部にステッカーが貼ってあるのが多くなり、それまではメーカー毎に異なっていた手すりや部分的な高さなどが統一されるようになった。これは2022年現在でも変わっていない。
現在のノンステップバス(2010年~現在)[編集]
2010年に入ると、ハイブリッドエンジンが採用されるなど、さらなる環境対策が施された車両が多くなった。また、手すりが視認性の高いオレンジ色になるなど、バリアフリー対応も進んでいる。
今後のノンステップバス[編集]
環境対策として排ガスの浄化、よりエネルギー効率の良いエンジンの開発が進められている。
日本では高齢化社会を背景に、バスなどの公共交通機関の利便性向上が求められている中、ノンステップバスに代わる新たな選択肢も出現している。
ひとつは、エンジン位置を見直し車内の無段差化を実現したフルフラットバスである。高齢利用客が増加する中、足腰の悪い人でも後方座席まで使える特長から、ノンステップバスの置き換えが進んでいる。
地方では、マイカー利用が困難となった高齢者の移動手段確保が課題であるが、30席程度を備えるバスよりも、10席程度のバンタイプを用いた乗合タクシーが好まれるようである。