ドゥヘロウ=へリンクスドルフ=ヴォルガストフェリー線
ドゥヘロウ=へリンクスドルフ=ヴォルガストフェリー線とはドイツの鉄道路線である。
概要・歴史[編集]
1863年に開業した、ポーランドのシヴィノウィシツィエ中央駅からドイツのへリンクスドルフリゾート駅を経てヴォルガストフェリー駅までを結ぶ全長80㎞の単線非電化の路線である。ウーゼドムの海水浴場地帯へのアクセスに使われ夏季は旅行者でにぎわう。ドイツ鉄道の子会社ウーゼドム海浜鉄道(以下UBB)が線路を保有しドイツ鉄道が運行している。
昔はアンゲルミュンデ=シュトラールズント線のドゥヘロウ駅まで繋がっていたが、第二次世界大戦末期に[ドイツ軍]]がペーネストロム川にかかるカルニン可動橋を破壊し、そして戦後ソ連への賠償として1945年から1948年にドゥヘロウ駅からアールベック駅までの区間を廃止・解体した。よって戦後はヴォルガストフェリー駅からアールベック駅の間のみの運行となった。
2000年代になると、ポーランドにシヴィノウィシツィエに新しい駅(シヴィノウイシツィエ中央駅)を設置しドイツ・ポーランド国境付近とアールベック駅の区間が2回に分けて復元された。一方ヴォルガストではペーネストロム川に鉄道と道路を組み合わせた橋が建設され本土の鉄道網と1945年以来直接接続された。
また、路線全体(ドゥヘロウ駅からシヴィノウイシツィエ中央駅とカルニン可動橋)の復元をする計画自体は東ドイツ時代から存在し現在も議論されている。しかしカルニン可動橋の再建の費用、シヴィノウィシツィエ中央駅の設置に伴う用地不足から復元は困難となっている。(詳しくは後述)
運行形態[編集]
ツュッソウ=ヴォルガスト港線とともにRE23号線として設定されヴォルガスト駅からシヴィノウイシツィエ中央駅間は夏季には1時間に2本運行される。 へリンクスドルフリゾート駅は頭端式の駅となっておりスイッチバックが行われる。
全路線復元計画[編集]
ドゥヘロウ駅からアールベック駅までの復元計画は東ドイツ時代にはあったものの実施はされなかった。しかしドイツ再統一後は重要な課題となった。1990年代に利用客は増加傾向になり、その後アールベック駅からシヴィノウイシツィエ中央駅への延長により路線を完全に復元したいとの意見が新たになった。それはベルリンからのアクセスが約2時間に縮小される可能性があり、これは前述したとおり夏季は海水浴客でにぎわうため観光需要が高くアクセスは早い方がよいからである。
2003年の連邦交通インフラ計画では州における効率的な輸送ルートの建設において言及されており2004年の連邦鉄道拡張法でも言及されている。
しかしドイツ政府は復元計画から撤退し2008年に委託した報告書に関連して「鉄道の経済的な運営では現時点では明らかではない」と述べている。当時、UBBは報告書は貨物輸送の可能性を考慮していないと批判した。しかし計画自体はまだ連邦交通インフラ計画には含まれていた。
そしてこの復元計画は2010年にポツダムで開催されたドイツ・ポーランド・オーダー会議の議題として取り上げられた。ドイツ鉄道は復元には1億4000万ユーロの費用がかかると見積もった。
路線を復元するためにはカルニン可動橋を復元するか代わりになる橋を建設する必要がある。そこで橋の再建に尽力する協会と党を超えたドイツとポーランドの行動同盟「カル二ナー・ブリュッケ」が2010年4月9日に結成された。そして2010年4月末にドイツ鉄道インターナショナルによって新しい便益と費用の分析が発表された。行動同盟の意見ではこれは貨物輸送が考慮されており、最悪便益と費用の比率は2:6になる。
2010年9月にメクレンブルク=フォアポンメルン州の当時の運輸大臣フォルカー・シュロットマンはドイツ鉄道に対し復元区間に関する経済報告を求めた。この調査は復元計画が連邦交通インフラ計画に含まれるための前提条件である。そして同州は欧州連合からの追加資金が可能か検討した。
2010年10月にドイツ鉄道(DB Regio Nordost)の地域マネージャーとUBBのマネージングディレクターはカルニン橋の再建が経済的であることを確認し、特に南西部への貨物輸送は恩恵を受けるだろうとした。
2012年春、ドイツ連邦議会において、入手可能な報告書によるとカルニン可動橋を含む路線復元計画は現時点では非経済的であると回答した。2012年10月にドイツ鉄道はシヴィノウィシツェへの乗客の可能性も考慮し新しい研究を発表した。現在の計画では可動橋ではなく跳開橋を設置することと単線路線にすることが含まれていた。これにより建設費用は以前の計画より4000万ユーロを抑えることができる。メクレンブルク=フォアポンメルン州は2013年にこの計画を連邦交通インフラ計画2030(当時は連邦交通インフラ計画2015)に登録した。さらに欧州連合のコンサルタントはシヴィノウィシツェトンネル(プロジェクト名:ウーゼドム交差)の建設後、ウーゼドムとヴォリンが結ばれる可能性があると指摘した。しかし連邦議会においての政府の回答はこの計画は地方鉄道輸送のみにおいて重要であり連邦交通インフラ計画2030に含めるべきでないと述べている。
ドイツ鉄道ネッツAGはこの計画に賛成しているが、いくつかの疑問を指摘している。特に路線を復元したあとの運行費用が不明であることや、この計画の地域化対策の予算に十分な資金が確保できるかも不透明でることを指摘した。ドイツ連邦ネッツAGの代表者はシヴィノウィシツェへのポーランド方面の貨物輸送がないとこの路線は経済的に運営が困難であると主張した。
連邦交通インフラ計画2030では路線の復元の検討が「さらなる要件/国際プロジェクト」のカテゴリーに含まれている。カルニンの橋は新線用に建設される予定である。2017年12月にある建設会社が路線の復元のために最大1億5000ユーロ投資することで同意したと言われている。
2022年2月、再開発のために貨物輸送や長距離輸送の路線を建設しないことが提案された。この路線はUBBの既存の路線に統合されドゥヘロウ駅の代わりにアンクラム駅に接続される予定である。2023年1月10日のメクレンブルク=フォアポンメルン州のプレスリリースにはその区間に3つのルート案が検討され、そのうちの一つが有利になると判明したと発表された。このルートはドゥヘロウからツィルコウの東までの既存道路を改造し、そこから北にツィンノヴィッツ駅からへリンクスドルフリゾート駅に至る既存路線との分岐点までの約7㎞の新路線を建設するものである。さらにアンクラムへの接続も計画されている。カルニンの可動橋を復元するのかバイパスにするのかは現時点では不明である。今後2年間でさらに綿密な計画に加え、経済的な実現可能性の調査が行われる。またこの計画は約5億6000万~8000万ユーロの建設費用と約1億1000万から2000万ユーロの計画費用が見積もられる。
2023年10月20日にドイツ連邦議会は「ABS/NBS ドゥヘロウ-ウーゼドム-へリンクスドルフ/シヴィノウィシツェ」という計画を連邦鉄道の要件計画の潜在要件に含めることを決定した。
駅一覧[編集]
- ヴォルガスト港駅
- ヴォルガストフェリー駅
- バンネミン・メルショウ駅
- トラッセンハイデ駅
- ツィンノヴィッツ駅
- ツェンプリン駅
- コーゼロウ駅
- ケルピンゼー駅
- シュトゥベンフェルデ駅
- ユッケリッツ駅
- ノイ・プーダグラ駅
- シュモレンゼー駅
- バンジンリゾート駅
- 新へリンクスドルフ駅
- へリンクスドルフリゾート駅
- アールベック・バルト海温泉駅
- アールベックリゾート駅
- アールベック・グレンツェ駅
- シヴィノウィシツェ中央駅