タイヤ

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タイヤ外径から転送)
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タイヤ(tire)とは、自動車・自転車などの車輪の外周にはめるゴム製の輪の部品。路面・地面あるいは軌道の上を転がる踏面(トレッド)を形成するものの総称。また、鉄道車両の弾性車輪の外側の鉄輪のこともいう。

役割[編集]

タイヤは路面との摩擦を利用し、エンジンからの動力を路面に伝えるほか、旋回や制動力にも直接影響する重要なパーツである。静止中や走行中を問わず車の重量を支え、路面のギャップを吸収するため乗り心地にも直結する。

タイヤには様々な種類があり、コンパウンドの質やトレッドパターン(タイヤと路面の間にある水を排出するための溝)などにより様々な状況に適したタイヤが製造されている。例えばレーシングタイヤにおいては水を排出するトレッドパターンが全くないものもあり、かつ柔らかいコンパウンドを使用しているため非常に強力なグリップを発揮する。一方で寿命は通常のタイヤに比べて著しく短い。乗用車用のタイヤでも左右非対称なトレッドパターンを採用し、グリップ力と排水性を高める工夫をしている製品もある。

自動車用の保安基準[編集]

自動車用のタイヤについては道路運送車両法の保安基準の第9条(走行装置等)により、性能や使用限度などが定められている。 告示[注 1]によると、以下の二つの基準に適合する必要がある。

  • 亀裂やコード層(カーカス)の露出など、著しい破損がないこと。
  • すべり止め(トレッドパターン)の溝を有し、その深さが1.6mm(バイクなどの二輪車は0.8mm)以上あること。

なお、別の告示[注 2]の場合は上記に加えて

  • タイヤ1本に加わる荷重が、そのタイヤの負荷能力値(ロードインデックス)を超えないこと。
  • 適正な空気圧であること

以上の二つが追加されている。

タイヤの種類[編集]

ラジアルタイヤ[編集]

現在一般的にタイヤといえばラジアルタイヤを指す。また、スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤを除いたいわゆる「サマータイヤ(夏タイヤ)」と呼ぶ場合が多い。また、一般にノーマルタイヤと言えば一般道向けのサマータイヤであることも多い[注 3]。 近年のタイヤの一部には回転方向が指定されているものがある。

応急用タイヤ[編集]

テンパータイヤ、補助タイヤとも呼ばれ、パンク時などの交換用として搭載されているタイヤを指す。タイヤ幅は短い。現在主流となったラジアルタイヤではなく、バイアスタイヤと呼ばれる構造をしている。近年では燃費や搭載による経済性から新車へ搭載がオプションであることも多く、応急修理材が代わりに積まれている。しかし、サイドウォールの破損によるパンクは修理が不可能であり、応急タイヤが積まれていない場合はJAFなどのロードサービスに連絡する必要がある。携帯電話がつながらない場合や連絡手段がない場合は立ち往生することとなり、付近を通る車を待つか連絡可能な場所まで徒歩で移動する必要がある。

スタッドレスタイヤ[編集]

「ウィンタータイヤ」とも書かれる。凍結路や雪道(積雪路)や氷の上に対応したタイヤであり、摩擦係数が低い場合でもサマータイヤに比べてグリップするように製造されている。従来はタイヤに金属の鋲を取り付けたスパイクタイヤがスノータイヤとされていたが、環境問題などによりスパイクタイヤが製造禁止となったことで開発されてきたのがこのスタッドレスタイヤである。スタッド(スパイク)がない(レス)なのでスタッレスであり、スタッレスは誤り。

サマータイヤより深い溝やサイプと呼ばれるグリップ力確保のトレッドパターンのほか、ゴムが低温時でも柔軟性を確保するためにより柔らかいコンパウンドを利用し、路面に多く触れるようにしてある。 また、タイヤの摩耗限界を示すスリップサイン以外に、スタッドレスタイヤとしての限度を示すプラットホームと呼ばれるサインがあるのが特徴。プラットホームが出てもスリップサインが出るまでは夏タイヤとして使用することができる(夏タイヤと比べてウェット性能やグリップ力は当然低下する)。

オールシーズンタイヤ[編集]

サマータイヤとスタッドレスタイヤの中間のような性能を持つタイヤ。過去にはクロカン車オフロード指向のSUVなど新車で装着されるタイヤの事をオールシーズンタイヤと称していたため、日本ではオフロード指向の「オールテレーンタイヤ(全天候タイヤ)」が「オールシーズンタイヤ」として認識されていることが多い。現在販売されているオールシーズンタイヤはサマータイヤなどと変わらない大きさのものが多く、オンロード指向のタイヤが多くなっている。オールテレーンタイヤは軽いオフロードをイメージしたタイヤが多かったが、現在では未舗装路を走る機会が減ったこともあり、オンロード向けのトレッドパターンを使用したり、高速走行にも対応するハイウェイテレーンタイヤと呼ばれるタイヤが増えつつある。

レーシングタイヤ[編集]

F1ラリー競技において使われるタイヤであり、一般路で使用されるタイヤと比べ耐久性や経済性を犠牲にし、オンロードグリップ性能を高めたタイヤである。オフロードグリップやスノーグリップは著しく低い。レーシングタイヤは、カーブでも安定して走れるように、タイヤ幅が広いワイドタイヤを付けている。 サーキットで使用されるタイヤには主にドライタイヤ(乾燥路用)とレインタイヤ(雨天時)に分けられる。 ドライタイヤは排水用の溝が無いスリックタイヤがメインであり、使用するコンパウンドによりハードタイヤやソフトタイヤと呼ばれる。レインタイヤには排水用の溝が彫られており、降り始め等に対応するインターミディエイトと路面水量が多いときに使われるウェットタイヤがある。 あくまでサーキット専用タイヤであるため、公道で使用することはできない。

ラリー競技は公道で行わることが前提のため、車検に適合する範囲で性能が高められている。 一般にラリータイヤと呼ばれるグラベルタイヤは深い溝とブロックパターンにより未舗装路でのグリップに優れる。一方で舗装路ではグリップが劣ることが多い。また、未舗装路を走るため、サイドウォールが分厚くパンク耐久性を高めており、同サイズの通常タイヤと比べて重く硬い。一方で寿命は短く、一つの選手権で複数のタイヤセットを消費することは珍しくない。

メンテナンス[編集]

タイヤのメンテナンスとしては空気圧の調整がもっとも有名である。走行する路面や状況に合わせてタイヤの空気圧を調整することが望ましいとされるが、一般公道の走行であれば規定の空気圧[注 4]に調整する程度で問題ない。バイクや自動車でオフロード走行を楽しむ人は空気入れを持参している場合が珍しくない。これはタイヤの空気圧を規定値を下回る程度まで抜いてタイヤの設置面を増やし、グリップを増加させるためである。しかし、空気圧が低い状態のまま舗装路でスピードを出すとスタンディングウェーブ現象を誘発し、最悪の場合タイヤがバーストする。空気圧は高すぎても低すぎても影響が出るため、メーカーは安全性を考慮したうえで空気圧を設定している。

タイヤに空気ではなく、窒素を充填する場合もある。サーキット走行の際は高速域での加減速や旋回を行うためタイヤに熱がこもりやすく、酸素が膨張して空気圧に影響を及ぼすために窒素を充填するユーザも多い。しかし、そうでない一般用途で窒素充填の効果を感じる機会は少なく、窒素ガスだから空気が抜けないというわけではないため[注 5]、日ごろの空気圧点検が肝要である。近年はTPMSと呼ばれるタイヤの空気圧のモニタリングシステムが普及している。

空気圧以外にも溝の残量をチェックしたり、スタッドレスタイヤであればトレッド面の硬さをチェックするメンテナンスもある。残量を計るゲージやタイヤ用の硬度計もあるため、それらを用いるのも良い。また、サイドウォールに損傷などがないか目視点検することも効果的である。

厳密にはタイヤではないが、ホイールナットの緩みも同時に点検するとなおよい。タイヤ交換した直後や数100kmほど走った程度が良い。トルクレンチがあれば規定トルクでの締め付けができる。

タイヤサイズ[編集]

タイヤサイズの情報・タイヤのサインは、順番に、タイヤ幅、偏平率、ラジアル構造、リム径を記述する形式になっている。 例えば「195/65R15 80H」という記述の場合、タイヤ幅は195mmで、65がタイヤ幅に対する扁平率(%)となる。Rはラジアルタイヤであることを示し、15はタイヤの内径(リム径)インチとなる。なお、その次の80は「ロードインデックス」と呼ばれ、そのタイヤ1本で支えることのできる最大負荷能力を示す。Hは速度記号となり、そのタイヤが走行できる最高速度を示す。数値の区切りは、一般に、タイヤ幅は10区切り、扁平率は5区切りとなっている。

タイヤの直径については、タイヤの外側の直径(タイヤの全体の直径)を「外径」、ホイールの直径を「内径」「リム径」という。

タイヤサイズ表記の数値が異なると、計算により、タイヤ外径が自動的に変わる。

タイヤ外径の計算

計算時には、単位表示は統一あり。タイヤ外径は、mmで表す。
タイヤ外径(mm)=〔タイヤ幅(mm)×扁平率(%)×2〕+〔リム径(インチ)×25.4〕。
例:上記の通り、「195/65R15」の場合、タイヤ外径は、計算は、
(195×65%×2)+(15×25.4)=634.5mm≒634mm
結果は、小数点以下1桁になるが、小数点以下は切り捨てて書く(?)。

速度とタイヤ外径からタイヤの回転数を計算する場合

回転数の単位はrpmで表す。
例:タイヤ外径634mmで、時速60km/hのときのタイヤの回転数は、
①タイヤの外周を求める 0.634m×3.14159265358=1.99176974237m
②時速60km/hのときに、1分間で進む距離を求める 60÷60=1km

③1分間に進む距離に対して、タイヤの外周で割る 1000÷1.99176974237=502.066066537rpm

一般にスピードメーターに表示される速度は純正タイヤの円周に合わせて計算されるため、純正指定タイヤとは違うタイヤを装着する場合に差異が出る。そのため、経済的もしくは純正サイズが市場にない場合で異なるサイズに変える場合はスピードメーターで許容される誤差の範囲内に収まるようにタイヤを選定する必要がある。

タイヤの外径が大きければ凸凹道のオフロード性能が良いわけではなく、タイヤのトレッドパターン・扁平率やサイドウォールの強度・タイヤの空気圧が重要である。

前輪駆動車や後輪駆動車の場合、前後で違うサイズのタイヤを装着することもあるが、四輪駆動車、特にフルタイム4WDの車は原則として4輪全ての外径を揃える必要がある。4輪に著しい不整合がある場合、差分をデフが吸収しきれずに良くて損傷、最悪車両火災を引き起こすことになる。そのため、国土交通省から4WDのタイヤ交換についての注意喚起も出ている。[1] e-4WDやインホイールモーターによる四輪駆動は前後の駆動を繋ぐわけではないので、このようなリスクは少ないと考えられている。

近年ではドレスアップ効果を狙って大径ホイールに扁平率が低い扁平タイヤ(ロープロファイルタイヤ)を組み合わせることも多い。タイヤとタイヤハウス、またはフェンダーの隙間を埋めるため、純正より大きいタイヤを装着することもある。これを「インチアップ」と呼ぶことが多い。扁平タイヤはホイールのデザインを強調できるメリットがあるものの、限界域での挙動がナーバスになったり、タイヤ内の空気量が少ないため乗り心地が悪化しやすい。また、ホイールのインチアップによるバネ下重量の増加による運動性能の低下も懸念される。なお、インチダウンし扁平率を高くする場合は効果が逆になり、厚みが増え、乗り心地がしなやかになり限界域の挙動が若干マイルドになる。サマータイヤとスタッドレスタイヤを履き替える必要がある地方の場合、サマータイヤは純正を使用しスタッドレスタイヤをインチダウンして装着するケースもみられる。スバル・レヴォーグのようにスタッドレスとサマータイヤの形状の違いから、干渉やチェーンの装着などの理由でメーカーが公式にインチダウンを推奨しているケースもある。

モンスタートラック[編集]

ビッグタイヤが特徴の自動車。そのタイヤは直径1.7メートルもあり、1500馬力を超える出力を余すことなく路面に伝える。なお、この車両は日本においてオフロードサーキットのみで使用できる。

SUV用のタイヤ[編集]

SUV用のタイヤは、外径は大きめで、普通自動車用タイヤで表すと大径タイヤで、700mm以上~800mmぐらいあり、最も大きいサイズ付近は776mm以上~800mmで、ビッグタイヤであり、中型トラック用・中型バス用タイヤの外径に比較的近くSUVの構造は、最低地上高は高く、車高も高くなり、凸凹道、砂利道、荒れ地、階段、段差、丸太道のような障害物、林道、山道、芝生、ぬかるみ、雪道といった未舗装路を乗り越えることができ、オフロード・ラフロード・悪路に強く、走破性能が高く、登坂能力も高く、意外と万能なタイヤで、あらゆる場所でもそれなりに走れることを目的とする車で、駆動方式は4WD四輪駆動)が必須・基本とされていて、便利な車で、便利なタイヤで、車の見た目がよく目立ちやすく、かっこいい車である。SUV以外の乗用車であるノーマルサイズのタイヤでは行けないような場所を進んで行ける車。SUVは、タイヤが大径タイヤの範囲で、最低地上高が高いハッチバック系のボディの車で、シャーシの構造と重さは、モノコックという普通のシャーシ~ラダーフレームという重いシャーシが採用され、ボディを支える力が強く、安定感のある車である。ビッグタイヤの定義は、「ビッグ」=「大きい」を強めた言い方で、ビッグタイヤは、SUVの中でタイヤ外径が最も大きいサイズで、タイヤ外径は776mmで、ランドクルーザープラド用タイヤ、パジェロ用タイヤ、クロカンSUV用タイヤのことである。タイヤ外径が大きいほど、最低地上高は高く、リフトは高くなり、対地障害角ができ、車高全体はやや高く、地面からボンネットまでの最高の高さは高く、室内の床から運転席の椅子の底部までの最高の高さはやや高く、室内の床からダッシュボードまでの最高の高さはやや高く、床面もやや高く、視線は高くなり、重心は高くなり、シャーシは少しでも重くなり、タイヤ幅は広くなり、厚みが増え、路面に接する面積が大きくなり、同じ一回転で進む距離は長くなり、駆動方式は4WDが加わり、エンジンパワーは更に強くなり、機能は増え、車両重量(車重)は重くなり、最小回転半径は大きくなり、タイヤ内径も少し大きくなり、全幅は少しでも広くなり、フェンダーの縦横の長さも長くなり、凸凹にははまりづらく、高低差の大きめの凸凹道、段差、丸太道、ロックセクションなどのオフロード走破性が強く、路面の衝撃・振動に強く、タイヤを動かす力が大きく、ハンドル操作もやや重たくなり、アクセル、ブレーキの踏み心地もやや重たくなり、燃料タンク容量は大きくなり、燃料消費が多くなり、航続距離(1回満タン走行距離)は少し短くなり、全ての条件にほぼ比例する場合が多い。ビッグタイヤは、タイヤの接地面積が増える。ビッグタイヤであるほど、低い回転域でも大きめの速度を発生する。タイヤ外径776mmのビッグタイヤに対するタイヤサイズは、「265/65R17」。タイヤ外径776mmのビッグタイヤを履ける普通車は、全幅は1800mm以上~1900mm以下で、MLサイズ付近~Lサイズで、3ナンバーのみで、最低地上高は205mm以上~225mm以下である。

オフロード系タイヤの一つであるビッグタイヤの表面の仕組みは、トレッドパターンは、オンロードとオフロード両方できるように、オンロード向けよりも、溝の割合が比較的深く、溝に小石などが挟まりにくく、さまざまな凸凹道のオフロードでの走破性を重視し、オフロードグリップを高めている。

特徴[編集]

鉄輪と比較して、路面との間の摩擦が大きい。そのため、より大きなトルクを伝えることができ、急な坂を上るのに有利。

一方で、走行で消費エネルギーが大きく、その分環境負荷が大きい。また、摩耗しやすく、頻繁に交換が必要となる。

その他[編集]

  • 一般的なトラック用、バス用のタイヤの外径は、最大で100cm弱が限界。
  • タイヤを装着するホイールには、鉄製のスチールホイールとアルミニウム製のアルミホイールが普及している。一部ではマグネシウムホイールを採用しているケースもある。
  • タイヤの幅が細くなるほどステリングが軽く、太くなるほど重くなる傾向がある。電動パワーステアリングでは気にならないことが多いが、油圧式パワーステアリングの場合は10mmの差でもわかりやすい。
  • 電車用のタイヤは、「動輪」と呼ばれる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. 道路運送車両の保安基準第2章及び第3章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示第5条(走行装置等)
  2. 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第89条(走行装置)
  3. スタッドレスタイヤに対するノーマルタイヤや、スポーツタイヤに対するノーマルタイヤなど
  4. 通常は運転席のサイドシルや説明書に記載してある。しかし純正以外のタイヤの場合は空気圧が変わる可能性もあり、確認が必要である
  5. そもそもタイヤの真空引きか窒素100%の部屋でタイヤをホイールに装着しない限り窒素以外のガスが入ってしまう。前者はタイヤに強いストレスを与えるし、後者は費用に対する効果が疑問である
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