ホイール (自動車)

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ホイール(wheel)とは、車輪を意味する言葉である。本稿では自動車用として用いられるホイールについて記述する。

アルミホイール

概要[編集]

エンジンから伝達される動力をタイヤに伝えるための重要な部品である。かつては木材や金属などでつくられ、タイヤを使用せず直接地面と接していた。エンジン性能等の向上により、従来の素材では動力が伝えきれなくなったために車輪の外周にゴムを取り付けたことから現在のようなホイールとタイヤの関係が生まれた。なお、本来はタイヤとホイールは別の部品であるが、この組み合わせを以て「タイヤ」と呼称する例が多い(空飛ぶタイヤタイヤ交換など)。

ホイールと車体側はボルトナット(ハブボルトとホイールナット)で固定される。日本の乗用車では4穴や5穴が一般的であり、ランクルハイエースなどでは6穴が採用されていることがある。なお、レーシングカーはセンターロックホイールと呼ばれる1穴タイプが採用されている。この穴の間隔はPCDと呼ばれ、同じ穴数でもPCDが異なれば装着することはできない。

近年の自動車においては製やアルミ合金製のホイールが主流であるが、一部においてマグネシウム合金製のホイールが使用されることもある。性能やデザイン、耐久性などにおいて各素材に一長一短があるため、より適切な材質を選んで使用されることが一般的である。

スチールホイール[編集]

鉄製のホイールで日本では鉄チンホイールと呼ばれることも多い。 低コストなため、商用車やカスタムを前提としたベースグレードなどで純正採用されることが多い。スペアタイヤとしても良く使用される。自動車にあまりコストを掛けたくないという人が利用するケースも見られる。一般的に重くデザインが悪いというイメージもあるが、アルミホイールよりも安価で強靭であるため貨物車における採用が多いことやシンプルなデザイン性を逆手に取ったカスタムなども存在する。モータースポーツにおいてはNASCARが2020年までスチールホイールを使用していた。なお、鉄チンの由来はあいまいであり、鉄砧(てっちん)からきているといわれる。鉄砧は金床とも呼ばれるもので、黒いスチールホイールが鉄砧の黒い鉄の塊に似ていることから、などと言う説もある。

アルミホイール[編集]

アルミニウム合金を用いて製造されたホイールで、アロイホイールなどと表記されることもある。製造方法により鋳造ホイールと鍛造ホイールに分けられることが一般的である。鋳造ホイールは溶かしたアルミ合金を型に流し込んで成型する。鍛造ホイールより値段が安い。鍛造ホイールはアルミ合金に高圧プレスなどの鍛造過程を与え、より軽く、より強固なホイールとなっている。一方でコストは高い。現在販売されている純正ホイールや社外品ホイールのほとんどがアルミホイールである。デザインの自由度が高く、性能を重視するスポーツ走行向けの製品だけでなく、見た目重視のドレスアップ系ホイールも数多く販売されている。

マグネシウムホイール[編集]

マグネシウム合金を用いて製造されたホイールである。アルミホイールよりも軽量であるが、量産に向かないためコストが非常に高いこと、強度が低い点やホイール自体のコンディション維持が難しいことなどの点からメーカー純正採用されている例は少ない。一方でスーパーカーなどでは純正採用例があり、カウンタックブガッティ・ヴェイロンなどで採用されている。日本車ではトヨタ・2000GT日産・フェアレディZの初代(S30型)の「Z432」などに設定されていた例がある。レースなどにおいては長期の耐久性を考慮しなくても良いため採用される例がある。なお、マグネシウムの性質上クラッシュなどで地面と接触した場合は引火する危険性もある。かつて世界ラリー選手権グループBにおいて、ランチア・デルタS4がクラッシュした際に炎上、焼け残ったのはフレームとサスペンションのみという凄惨な事故が起こっている。

ホイールスペーサー[編集]

タイヤを車体の外側にオフセットするためにホイールスペーサーやワイドトレッドスペーサー(ワイトレ)と呼ばれるスペーサーを利用することがある。これはホイールとハブボルトの間に挟み込むように設置するものである。フェンダーとホイールのツライチにするなどドレスアップ目的であったり、リフトアップで上がった重心のバランスをとるためにトレッド幅を広げて安定させるために利用されるものがある。

一方、何でもかませればいいというわけではなく、粗悪なものや雑に取り付けるとホイールの回転がブレるだけではなく、ハブボルトに異常な負荷がかかって破損するケースもある。また、軽自動車規格の限界ぎりぎりで製造された車にホイールスペーサーを利用し、全幅が超えた場合は普通車として新たに登録する必要がある。

2023年11月には北海道でホイールスペーサーが原因と思われるタイヤの脱落が発生[1]、外れたタイヤが園児に直撃し、意識不明の重体となった痛ましい事件も発生している。

関連項目[編集]

脚注[編集]