ラリー

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ラリー(Rally)とは、運転者であるドライバーと経路やタイムを指示するコ・ドライバーの2名が1台の競技車に乗車し、指定された区間における速さや通過時間の正確さを競う自動車競技である。使用する道路の都合上、競技車は開催地において公道を走る事のできる装備を持つ必要があり、ドライバーにおいてもモータースポーツライセンスのほか、有効な運転免許証が必要となる。

概要[編集]

現在のラリーの原型はラリー・モンテカルロが起源とされ、欧州の各都市からモナコへ集合するイベントであった。現在でも「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」として当時のスタイルのまま開催されている。 遠くの目的地にいかに正確にたどり着くかがラリーであるともいえる。近年はロードセクション区間とスペシャルステージで構成されるスペシャルステージラリーが主流であり、コースの規模と日程がコンパクトになっている。 走る道路は通常のアスファルト舗装(ターマック)だけでなく、石畳の道やグラベルまで幅広いため、路面の変化に対応できるドライバーのテクニックや車が必要となっている。

細い林道や荒れた路面をアクセル全開で駆け抜けていくため、ラリードライバーは頭のネジが外れているとか、そもそもネジがないとか言われたりもする。命知らずのライダーが集うとされるマン島TTもそうであるが、一瞬のミスが文字通りの命取りとなる競技である。

競技[編集]

前述のスペシャルステージラリーのほか、アベレージラリーや競技性が少ないレジャーラリーが存在している。

スペシャルステージラリー[編集]

世界ラリー選手権も採用しており、スペシャルステージ(SS)によるタイムトライアルが主体となったラリーである。SSはラリーにおける花形といわれ、グラベルアクセル全開で駆け抜ける迫力は人気が高い。道路を閉鎖して行うSS区間と一般車と混じって走行するロードセクションにわかれており、ロードセクションは次のTC(タイムコントロール。次のSS区間の開始地点であることが多い)までに決めれた時刻ちょうどに到着することを求められている。なお、一般道路であるため制限速度などの交通法規を守る必要があり、違反者は現地の執行機関により罰金などの処分を受ける。さらに早着は遅刻よりもペナルティが多く課される[注 1]

アベレージラリー[編集]

日本においてはタイムラリーなどと言われて知名度の高いラリーである。タイムラリーとよばれる時間の正確さを競う第1種アベレージラリーとスペシャルステージラリーのような第2種アベレージラリーが規定されている。

第1種アベレージラリー
速さではなく時間の正確さを競うため、通常の車でも参加できるのが特徴である。主催によってはクローズド格式[注 2]で開催されることもあるため気軽に参加することが可能である。日本でも競技者は多く、専用のラリーコンピュータを搭載して参加するチームも多い。
第2種アベレージラリー
第1種アベレージラリーにSS区間が追加されたようなラリーであり、スペシャルステージラリーにも似たようなラリーである。時間の正確さに加えて速さを要求されるため、より競技性の高いものになっている。

なお、ダカールラリーを始めとするラリーレイドやクローズドなダートコースで複数人が同時に並走するラリークロスなどは別の競技である。

ラリーカー[編集]

サーキットなどで行われるレースと異なり、市販車をベースに競技車をベースに改造して製作されるのが一般的である。規定によりグループAやグループN、廃止されたグループBなどに分類されており、改造の範囲やベースとなる車の認定要件などが定められている。1990年代に日本車の連勝が続いたが、グループAの規定を活かせたことが大きいとされている。グループAのベース車の認定要件となるホモロゲーション認証を受けるためには年間2500台以上生産される必要があり、セダンタイプの四輪駆動車の需要が高い日本においてはこの台数制限の閾値が低く、トヨタ・セリカスバル・インプレッサ三菱・ランサーエボリューションなどのラリー参戦を念頭に置いた自動車開発が可能であったとされている。グループAに参戦した車のベース車は市販されている車のため、ラリーファンなどが買い求めるケースも多かった。しかし、環境問題の高まりなどでモータースポーツへのイメージの悪化や自動車に対する需要の変化などでメーカーが車両を生産し続けるのが大きな負担となっていた。そのため、競技を前提とした高パフォーマンス車の開発をやめ、撤退したメーカーは多い。

WRCなどに使用されるラリーカーの場合、ロールゲージ4点式シートベルトなどの乗員保護具の装着のほか、追加の前照灯消火器、スペアタイヤ[注 3]の搭載などが大きな特徴である。外観などはベース車の印象が色濃く残っており、日本開催であれば公道を走るための装備を備え、車検に適合する範囲での改造となる。エンジン回りの改造はサーキットよりも厳しく、リストラクターによる馬力制限が行われることも珍しくない。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 遅刻が1分あたり10秒なのに対し、早着は差分がそのままペナルティとして課される
  2. ライセンスを要求される国内格式や国際格式ではなく、運転免許証があれば参加できる格式のこと。
  3. 通常のスペアタイヤではなく、ほかの装着タイヤと同じサイズの物を搭載していることが多い