ゴースト (競走馬)
ゴースト | |
---|---|
欧字表記 | Ghost[1] |
品種 | サラブレッド[1] |
性別 | 牡→セン [1] |
毛色 | 芦毛[1] |
生誕 | 2016年4月23日(8歳) [1] |
抹消日 | 2022年6月10日(JRA) |
父 | ハーツクライ[1] |
母 | ガヴィオラ[1] |
母の父 | Cozzene[1] |
生国 | 日本(北海道安平町)[1] |
生産 | ノーザンファーム[1] |
馬主 | 西村健[1] |
調教師 | 武幸四郎(栗東) →橋口慎介(栗東) [1] |
競走成績 | |
生涯成績 | 23戦4勝[1] |
獲得賞金 | 8032万円[1] |
ゴースト(欧字名:Ghost、2016年4月23日 - )は、日本の競走馬[1]。
馬名の意味は、「幽霊」[2]。
重賞未勝利ながら、可愛いらしい見た目や特徴的な馬名、健気に走り続ける姿がファンを魅了し、「おばけくん」「おばけちゃん」といった愛称で人気を集めた。
経歴[編集]
デビュー前[編集]
2016年4月23日北海道安平町のノーザンファームで誕生[2]。
2017年のセレクトセールに上場され、オーナーの西村健に4536万円で落札される[2]。
栗東の武幸四郎厩舎に入厩し、デビューを目指して調教を行う[2]。
3歳(2019年)[編集]
デビュー戦[編集]
2019年1月14日京都競馬場で行われた3歳新馬戦に、秋山真一郎を鞍上に迎えて9番人気で出走する[2]。
スタートから出遅れ、道中はパトロールビデオにも映らないほど馬群から大きく遅れた最後方を追走。ゴールまでその差が縮まることなく、前の馬から大差の殿負けでデビュー戦を終えた。
更に「タイムオーバーによる出走制限」のため1ヶ月間の出走制限と、競走中終始十分に追うことができなかったことについて平地調教注意となった[2]。
転厩[編集]
デビュー戦後には、気性の悪さから去勢手術が行われ、その後武幸四郎厩舎から橋口慎介厩舎へと転厩となる。転厩時には、「とんでもなく気の悪い馬がいる」という噂が橋口厩舎のスタッフ間で流れたが、去勢してからの入厩であったためか、実際は「噛まない、蹴らない、可愛い」の三拍子揃った馬となっていた[3]。
初勝利、2勝目[編集]
2019年6月29日中京競馬場で行われた3歳未勝利戦で転厩初戦を迎え、8着(13頭中)でレースを終える。その後2戦を挟み、同年8月24日小倉競馬場で行われた3歳未勝利戦(芝2000m)で、松山弘平を鞍上に3番人気で出走し、デビュー5戦目で見事初勝利を上げた[2]。
その後1戦を挟み、2019年12月21日阪神競馬場で行われた3歳以上1勝クラス(芝2600m)のレースに1番人気で出走。クリストフ・スミヨンを鞍上に2勝目を上げ、3歳の 歳を終えた[2]。
4歳(2020年)[編集]
2連勝してオープン入り[編集]
年明けから、休養を挟みながら2勝クラスのレースに4度出走[4][5]。
2020年8月22日札幌競馬場で行われた札幌日刊スポーツ杯(芝2600m)にクリストフ・ルメールを鞍上に2番人気で出走し、1/2馬身差で勝利。3勝目を上げる[6]。
続けて同年11月22日阪神競馬場で行われた西宮ステークス(芝2400m)に鮫島克駿を鞍上に8番人気で出走し、1/2馬身差で勝利。4勝目を上げ、見事2連勝でオープン入 りを果たした[7]。
5歳(2021年)[編集]
2021年1月5日中京競馬場で行われた万葉ステークス(芝3000m)に鮫島克駿を鞍上に出走。道中は後方で待機し直線で好走。自身初のオープンクラスでのレース、3000m以上のレースであったが、5着と健闘した[2]。
競走中止[編集]
2021年3月21日阪神競馬場で行われた阪神大賞典(芝3000m)に鮫島克駿を鞍上に出走。自身初の重賞レース出走である。3コーナーで心房細動を発症し4コーナー手前で競走中止となる。同日栗東の厩舎に戻った時に獣医が診察をした際はまだ症状が続いていたが、翌日の診察では症状はなくなっていた。その後、天皇賞・春出走を控え短期放牧を挟む[3][8]。
天皇賞・春(G1)出走[編集]
2021年5月2日阪神競馬場で行われた天皇賞・春(芝3200m)、自身初のG1レースに出走する。前走阪神大賞典の時に発症した心房細動の影響もなく、12着でレ ースを終えた[9]。
その後4戦に出走。ステイヤーズステークスでは5着と好走するも、勝ち星を上げるなことはできず2021年を終えた[10][11]。
6歳(2022年)[編集]
障害転向[編集]
年明けからダイヤモンドステークス(芝3400m)、阪神大賞典(芝3000m)と2戦に出走[12][13]。
直後、障害転向が発表された。放牧には出ず在厩のまま飛越のトレーニングを開始。森一馬を鞍上におよそ1カ月の調教を行い、2022年4月28日無事に障害試験に合格。試験後カメラに近づいて来たゴーストは、調教に携わった関係者たちが喜んでるのが分かったのか、得意げな表情をしていた[14]。
同年5月15日新潟競馬場で行われた障害4歳以上未勝利戦(芝2890m)で、障害転向初戦を迎える。調教時同様森一馬を鞍上に2番人気で出走。道中は安定した飛越で中団を追走、最終障害飛越後はこれまでの平地レースで鍛えてきたスタミナと脚力を生かした追い上げを見せ、初障害ながら2着と健闘した[2]。
レース後は鞍上の森一馬に労われ、ゆっくりとターフを後にした。
JRA競走馬登録抹消[編集]
転向初戦から中3週、中京競馬場での出走を目標に、初勝利を目指して調教を行っていた[15]が、屈腱炎を発症。2022年6月10日付でJRAの競走馬登録を抹消となる[16]。
登録抹消後は北海道の牧場へ移動。地方競馬での再デビューを目指し、治療を行っている[17]。
アイドルホースオーディション[編集]
2022年7月から8月にかけて行われた、『京都競馬場Presents アイドルホースオーディション2022』では、第2位を獲得した。
STEP1では5679票を獲得し第5位となり、上位10頭のみが参加できるSTEP2へと駒を進めた。 STEP2では、32734票を獲得し第2位に選ばれる。第1位のメイケイエールには8000票と大差を付けられたものの、第3位の重賞4勝馬ディープボンドには6500票以上の差を付けた。
重賞未勝利ながら、数々のG1馬や重賞馬を差し置いて、ぬいぐるみ化の権利を獲得。 関係者をはじめ、多くのファンに愛されていることを証明するような形となった[18]。
エピソード[編集]
ネームプレート[編集]
橋口慎介厩舎内にあるゴーストの馬房や、調教ゼッケンのネームプレートには、おばけのイラストと共に「おばけ」の文字が描かれていた。これは担当する調教助手が描いたものであり、「おばけイラスト可愛い」と検索し、自分なりにアレンジして描いたそうである。同調教助手は過去にも、担当馬であるカバジェーロのネームプレートに、カバのイラストを描いていた[3]。
装飾品[編集]
ゴーストは、鬣や尻尾をヘアゴムやお化け型の髪飾りで結わえたりと、様々な装飾品を身につけてレースに出走していた。 中には、担当の調教助手が勝負服の色に合わせ、自ら毛糸で手作りしたものもある。 そのため、厩舎宛にファンから髪飾りが届くことも少なくはなかった。[2]
夜は怖い[編集]
ゴーストは芦毛であるため身体全体が白いが、顔だけ特に白い。そのため、「夜に馬房から顔を出していると、顔だけ浮き出てちょっと怖い。」と担当の調教助手はコメントしている[12]。
競走成績[編集]
以下の内容は、netkeiba.com[2]及びJBISサーチ[19]に基づく。
日付 | 競馬場 | レース名 | 格 | 距離 | 馬場 | 頭数 | 馬番 | 人気 | 着順 | 騎手 | 斤量 | タイム | 着差【秒】 | 1着馬(2着馬) | 馬体重【kg】 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019.01.14 | 京都 | 3歳新馬 | 芝1600m | 良 | 15 | 15 | 9 | 15 | 秋山真一郎 | 56.0 | 1:43.7 | 7.1 | ゲバラ | 518 | |
2019.06.29 | 中京 | 3歳未勝利 | 芝2200m | 稍重 | 13 | 3 | 5 | 8 | 松山弘平 | 56.0 | 2:17.7 | 1.1 | シャイニングデイズ | 492(-26) | |
2019.07.13 | 中京 | 3歳未勝利 | 芝2200m | 稍重 | 17 | 1 | 8 | 3 | 鮫島克駿 | 56.0 | 2:19.2 | 0.0 | ボンベール | 492(0) | |
2019.08.10 | 小倉 | 3歳未勝利 | 芝2000m | 良 | 18 | 12 | 1 | 5 | 松山弘平 | 56.0 | 2:01.3 | 0.5 | シーリアスラブ | 482(-10) | |
2019.08.24 | 小倉 | 3歳未勝利 | 芝2000m | 良 | 18 | 2 | 3 | 1 | 松山弘平 | 56.0 | 2:00.7 | (0.5) | (ローザンヌ) | 490(+8) | |
2019.11.10 | 京都 | 3歳以上1勝クラス | 芝2400m | 良 | 11 | 5 | 2 | 2 | O.マーフィー | 55.0 | 2:27.8 | 0.4 | ショウリュウイクゾ | 498(+8) | |
2019.12.21 | 阪神 | 3歳以上1勝クラス | 芝2600m | 良 | 16 | 10 | 1 | 1 | C.スミヨン | 55.0 | 2:38.9 | 0.7 | (レオビヨンド) | 502(+4) | |
2020.01.25 | 京都 | 睦月賞 | 2勝クラス | 芝2400m | 稍重 | 10 | 7 | 2 | 5 | S.フォーリー | 55.0 | 2:29.7 | 1.3 | ヴィッセン | 506(+4) |
2020.03.15 | 阪神 | 淡路特別 | 2勝クラス | 芝2600m | 稍重 | 11 | 6 | 3 | 7 | 松山弘平 | 55.0 | 2:40.9 | 1.6 | ツーエムアロンソ | 510(+4) |
2020.07.12 | 函館 | 横津岳特別 | 2勝クラス | 芝2600m | 良 | 13 | 2 | 6 | 7 | 坂井瑠星 | 57.0 | 2:43.4 | 0.7 | シンボ | 494(-16) |
2020.08.01 | 札幌 | 阿寒湖特別 | 2勝クラス | 芝2600m | 良 | 10 | 8 | 4 | 2 | 岩田康誠 | 57.0 | 2:40.3 | 0.2 | アンティシペイト | 490(-4) |
2020.08.22 | 札幌 | 札幌日刊スポーツ杯 | 2勝クラス | 芝2600m | 良 | 9 | 5 | 2 | 1 | C.ルメール | 55.0 | 2:40.0 | (0.1) | (トロピカルストーム) | 502(+12) |
2020.11.22 | 阪神 | 西宮ステークス | 3勝クラス | 芝2400m | 良 | 16 | 2 | 8 | 1 | 鮫島克駿 | 54.0 | 2:25.9 | (0.1) | (セントレオナード) | 498(-4) |
2021.01.05 | 中京 | 万葉ステークス | OP | 芝3000m | 良 | 14 | 7 | 4 | 5 | 鮫島克駿 | 54.0 | 3:04.5 | 0.6 | ナムラドノヴァン | 500(+2) |
2021.03.21 | 阪神 | 阪神大賞典 | G2 | 芝3000m | 重 | 13 | 13 | 8 | 中止 | 鮫島克駿 | 56.0 | ー | ー | ディープボンド | 496(-4) |
2021.05.02 | 阪神 | 天皇賞・春 | G1 | 芝3200m | 良 | 17 | 10 | 14 | 12 | 鮫島克駿 | 58.0 | 3:17.5 | 2.8 | ワールドプレミア | 496(0) |
2021.08.07 | 函館 | 札幌日経オープン | L | 芝2600m | 良 | 15 | 2 | 6 | 4 | 鮫島克駿 | 56.0 | 2:40.5 | 0.7 | ディアスティマ | 502(+6) |
2021.09.05 | 札幌 | 丹頂ステークス | OP | 芝2600m | 良 | 10 | 5 | 2 | 3 | C.ルメール | 54.0 | 2:44.5 | 0.2 | カウディーリョ | 498(-4) |
2021.11.07 | 東京 | アルゼンチン共和国杯 | G2 | 芝2500m | 良 | 15 | 11 | 11 | 14 | 鮫島克駿 | 54.0 | 2:33.8 | 1.4 | オーソリティ | 496(-2) |
2021.12.04 | 中山 | ステイヤーズステークス | G2 | 芝3600m | 良 | 13 | 12 | 8 | 5 | 鮫島克駿 | 54.0 | 3:48.1 | 0.5 | ディバインフォース | 490(-6) |
2022.02.19 | 東京 | ダイヤモンドステークス | G3 | 芝3400m | 良 | 14 | 13 | 10 | 12 | 北村宏司 | 54.0 | 3:32.1 | 2.0 | テーオーロイヤル | 492(+2) |
2022.03.20 | 阪神 | 阪神大賞典 | G2 | 芝3000m | 良 | 13 | 5 | 11 | 12 | 鮫島克駿 | 56.0 | 3:07.3 | 2.3 | ディープボンド | 498(+6) |
2022.05.15 | 新潟 | 障害4歳以上未勝利 | 障害2890m | 良 | 12 | 9 | 2 | 2 | 森一馬 | 60.0 | 3:13.1 | 0.8 | テイエムタツマキ | 502(+4) |
脚注[編集]
- ↑ a b c d e f g h i j k l m n o “ゴースト”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年10月10日確認。
- ↑ a b c d e f g h i j k l “ゴースト | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2022年10月6日確認。
- ↑ a b c “【天皇賞・春】めっちゃ可愛いおばけ!? ゴースト初GIへ「無事だったからこそ前向きに」”. netkeba.com. 2022年10月6日確認。
- ↑ “【睦月賞】(京都) 早め先頭に立ったヴィッセンがそのまま押し切る”. 競馬実況web (ラジオNIKKEI) 2022年10月6日閲覧。
- ↑ “【阿寒湖特別】(札幌) アンティシペイトが抜け出し3勝目”. 競馬実況web. ラジオNIKKEI. 2022年10月6日確認。
- ↑ “【札幌日刊スポーツ杯】(札幌) ゴーストが外から脚を伸ばして3勝目”. 競馬実況web (ラジオNIKKEI) 2022年10月6日閲覧。
- ↑ “【西宮S】(阪神) ゴーストが早めに抜け出して押し切る”. 競馬実況web (ラジオNIKKEI) 2022年10月6日閲覧。
- ↑ “【阪神大賞典】競走中止のゴーストは心房細動”. netkeiba.com 2022年10月6日閲覧。
- ↑ “【天皇賞】ゴースト好仕上がり 橋口師「言うことない」 枠順は5枠10番に確定”. デイリースポーツ 2022年10月6日閲覧。
- ↑ “【ステイヤーズS】(中山) ディバインフォースがゴール直前差し切り重賞制覇”. 競馬実況web (ラジオNIKKEI) 2022年10月6日閲覧。
- ↑ “【次走】ステイヤーズS5着のゴーストはダイヤモンドSへ”. netkeiba.com 2022年10月6日閲覧。
- ↑ a b “【阪神大賞典】ゴースト雪辱見えた!?陣営「前走以上の出来。追い切りも良かった」”. スポーツニッポン 2022年10月7日閲覧。
- ↑ “【阪神大賞典レース後コメント】ディープボンド和田竜二騎手ら”. 競馬実況web (ラジオNIKKEI) 2022年10月7日閲覧。
- ↑ ““飛んだお化け” 障害転向に手応え 得意げだったゴースト”. デイリースポーツ 2022年10月7日閲覧。
- ↑ “【次走報】障害デビュー戦で2着の〝おばけくん〟ゴーストは6月中京で「初勝利」目指す”. 東スポ競馬 2022年10月7日閲覧。
- ↑ “【先週のJRA抹消馬】芦毛馬ゴースト、良血馬フランツ、竹之下騎手ダービー初出走のヴィントなど”. netkeiba.com 2022年10月7日閲覧。
- ↑ “「おばけくん」で人気の芦毛馬ゴースト抹消、地方競 馬移籍へ”. 日刊スポーツ 2022年10月7日閲覧。
- ↑ “アイドルホースオーディション最終結果発表!どの馬がファン待望 のぬいぐるみ化されるのか?” (日本語). netkeiba.com. 2022年10月6日確認。
- ↑ “競走成績:全競走成績|ゴースト”. JBISサーチ. 2022年10月7日確認。