イカ・タコを元とする未来生物
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本記事ではイカ・タコを元にする未来生物を解説する。
概要[編集]
少なくない思弁進化作品では、イカ・タコ(頭足類)を元した未来生物が登場している。その理由は複数あり、彼らが非常に知的な生物[1]であることが挙げられる[2]。また多数の足(触手)を備えているため、閉められたビンを開けたり、貝殻を集めてシェルターを作成したり出来る[3]。(※文化(動物)も参照)
さらに現代でも頭足類は、干潟、浅瀬、外洋、深海、など多数の環境に新出しているのも理由である。加えて現在の競合相手とされる魚類や甲殻類は、地球温暖化に伴う海の酸化に弱く、将来的に頭足類へニッチを明け渡す可能性も指摘されている[4]。
登場作品[編集]
本作では2つの時代に登場する。
1億年後[編集]
- スワンパス 1億年後の沼地にて半水生へと進化した魚食性の頭足類。原始的な肺と4本の扁平な触手を持ち、肺が濡れてさえいれば数日は陸上で過ごす。強い毒性をの唾液を持ち、ゾウ大の動物[5]でも一咬みで即死させられる。(こうした毒は現在のヒョウモンダコにも見られる。)大人は水中の敵[6]を警戒し、子育てを安全な陸上植物の中で行う。その植物とは一種の相利共生の関係を築いている[7]。祖先と同じく、体の色を変えて警告色を発する。
2億年後[編集]
- レインボースクイド 全長数十メートルに達する巨大な海生イカ。擬態能力や高い知能は祖先譲りで、危険な相手[8]には警告信号を送り付けて追い払う。それでも軟骨魚類のシャーコパスは、オオカミのような群れで攻撃を仕掛けてくるため、時には餌食になってしまう事もある。祖先と同じく魚食だが、この時代には魚類も進化を遂げており、一部が空中へと進出している[9]。そこで本種は、体表面の色素で獲物用の疑似餌を作り出し、騙されて向かってきた標的を長い触腕で捕獲する。暗い海に適応した結果、眼球はサッカーボール大になっている。
- メガスクイド 完全な陸上生物となった雑食性のイカ。その体重は生息地の北部森林で最大級となる8トンで、本種には歯向かう者はおろか、近寄る者すらいない。メガスクイド自身も常に額の鳴き袋で唸り声をあげ、周囲へ縄張りを誇示しながら生活している。これ程の巨体にも関わらず体内に骨格はない。代わりに輪っか状の筋肉が束になって脚を構成しており、このような脚を八本使いながら器用に歩く。この歩行様式は他に類を見ない方法で、数本の脚を同時に前へ振り出し、残された脚は前半の着地後に纏めて引き寄せる[10]。人間の歩行速度と変わらない速度で移動し、道中で発見した餌は、植物、菌類、動物、その種類を問わず手当たりに触腕で捕らえて食べる。特に後述のスクイボンの幼体は大好物とされる。しかし8トンもの大きさにしては消食である[11]。
- スクイボン 2億年後で最も賢いとされるイカ。メガスクイドと同じ北部森林の樹上に棲み、体構造はメガスクイドと共通点が多い。だが形態や生態には違いが多く、本種はより小型で腕も長い。さらに目は柔軟な柄の先に付いていて立体しが可能。こうした身体を生かし、本種は木の枝を掴んで回転しながら移動する[12]。その様は鉄棒の大車輪を思わせる。触腕は柔軟かつ器用で、小枝や葉を編み込んだ巣を樹上に構えたり、木の実や小枝、小石などを掴む事も可能である。この能力は作成や菜食だけに留まらず、天敵メガスクイドへの反撃にも使われる。前述のとおりメガスクイドはスクイボンの幼体が好物であり、見つかると攫われてしまう。しかし本種も黙って見てはおらず、周囲の物を天敵の頭上目掛けて投げ落とす。それによって相手が混乱すると、すぐさま仲間が子供を奪い返しに向かう。このように本種は仲間意識が強く、子供同士でも食料を分け合い、互いの世話も行う。こうした進化は森の中の生活に適応した結果とされる。
本作では3つの時代に登場する。
500万年後[編集]
- ノミダコ 体長5センチメートルのタコ。口器のカラストンビが細長い注射針のように進化しており、これで大型の海棲動物から血を摂取する。本種の退化気味の腕は、宿主へ吸着するために使われている。繁殖期になるとオスが遊泳用のヒレを発達させ、他の寄生主に巣食うメスまで移動し、交尾と産卵の後に死ぬ。残された幼生は遊泳用のヒレで泳ぎ回り、親と同じように宿主を見つけて寄生する。こうして幼生の頃に分布を広げている。生涯を同一の宿主で過ごすため、現生の蚊やチスイコウモリのように病原菌を媒介することはない。
1億年後[編集]
- プロトテラスクイド アジアの湿地帯に棲むイカ。頭足類の歴史上、本初めて陸上へ進出したのは本種である。十本の足のうち八本がパッド状の足として機能し、残る二本の触腕は、手のような働きをする。まだ完全な陸生適応は遂げておらず、皮膚に両生類のような粘膜を覆うことで乾燥から身を守っている。また呼吸方法も原始的で、主な呼吸は水中で行っている。これにより陸上で過ごせる時間は限られたものになっており、定期的に水中へ帰らなければならない。さらに動きも遅いため、陸上の捕食者には頻繁に狙われてしまうが、これを多産[13]で補っている。
- フキモドシイカ ヨーロッパの熱帯林に生息する陸生イカ。数本の触手で地面を移動する。特徴的なのは縦に巻かれたゼンマイ状の胴体で、内部は空洞の海綿状で肺のようになっている。ここに空気を出し入れし、胴体を最大では高さ4メートルまで伸ばせる。胴体の先端にはヒレが進化した把握器があり、これで木の上の果実などを掴み取ることが出来る。この動きをすると体内の空気抜けるため、「シュッ」と音がすると同時に胴体が元の形状に戻る。名前の由来は縁日で売られている“吹き戻し”という玩具にある。
2億年後[編集]
- ランドマインスクイド 地中を棲家とするイカ。本種の祖先は生存競争に敗れた陸生イカであり、そんな祖先が生き残るべく進出したのが地中だった。地中では不要/邪魔な眼球やヒレは退化している。目立たない存在ではあるが、ランドマインスクイドはれっきとした肉食動物で、地下を進みながらも振動を頼りに地上の様子を常に探っている。そして獲物の居場所を突き止めると、真下から触手を伸ばして捕獲する。獲物は本種の毒針によって眠らされ[14]、その間に体内に侵入されて体内を貪り食われる。
- トビダコ 陸生タコから進化した飛行性タコ。八本の腕の間に皮膜が張られており、これがコウモリや翼竜のような翼へと進化している。普段は草原の上を上昇気流に乗って飛び回り、優れた視覚を利用して獲物を探す。そして獲物を見つけると急降下して捕獲する。こうした生態は2億年後前の人類時代にいたトンビと酷似している。多数の亜種が確認されていて、翼の綺麗な「飾りダコ」、100匹以上の群れを作る「連ダコ」、オス同士の縄張り争いが激しい「喧嘩ダコ」、保護色を使いこなして姿を晦ます「忍者ダコ」などがいる。
- ティラノスクイド 巨大かつ獰猛な全長8メートルの陸生イカ。強力な肉食動物であり、主に大型動物を襲う。八本の足の半分を歩行に、もう半分を武器に使用する。歩行用の足はゾウの足と似ていて爪はない。武器となる足は獲物の捕獲に使われ、先に生えた鉤爪で獲物の肉を引っ掻いて口元まで引きずり込む。最大の武器は異常に巨大化した口器(カラストンビ)で、腕が引き寄せた獲物を食い千切るのに使われる。2億年後の地球では本種が頂点捕食者の座にあり、大型の獲物を獲物にしている。そのため動きは鈍い。頑強な体格と長い腕を生かし、他の肉食動物を脅して獲物を強奪することもある。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 一説には鳥類並み
- ↑ Kröger et al. 2011, pp.602-613
- ↑ ナショナルジオグラフィック 2016年11月号
- ↑ 未来の海を制するのは「タコ」かもしれない:研究結果 https://wired.jp/2016/06/01/octopuses-may-indeed-be-your-new-overlords/#galleryimage_226715-603_1
- ↑ 未来の陸カメのトラトンの子供
- ↑ 電気を発する肉食魚のラークフィッシュ
- ↑ 植物はスワンパスに自身が咲かせた花の警護をしてもらい、代わりにスワンパスは保育所となる水瓶を提供してもらう
- ↑ 肉食性の甲殻類のシルバースイマーや、シャーコパスのようなサメ
- ↑ 胸鰭を翼にしたタラ科のフリッシュなど
- ↑ つまり常に走る動作ではなく、歩く動作である
- ↑ アフリカゾウの食事量の1/10
- ↑ イメージとしてはテナガザルの移動方に近い
- ↑ r戦略
- ↑ 毒には強い麻酔効果がある