コウモリを元とする未来生物
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この項目ではコウモリを元とする未来生物について解説する。
概要[編集]
思弁進化においては翼手目(コウモリ)が多く作品を跨いで登場する。これには哺乳類においてコウモリが齧歯類に次いで2番目に種類が多く[1][2]、さらに大きさや食性の多様性が豊富で、なおかつ飛行能力を持っていることが理由の一つである。現生のコウモリと同様に飛翔能力を持つものと、逆に翼が退化して地上性に進化したものがいる。
思弁進化というSFジャンルはドゥーガル・ディクソンの著作『アフターマン』から大きく影響を受けており、コウモリも例外ではない。『アフターマン』にはナイト・ストーカーと呼ばれる肉食性の地上性コウモリが登場し、これはSFドラマ『プライミーバル』に登場する捕食動物にもインスピレーションを与えた可能性がある[3]。また『驚異の未来生物: 人類が消えた1000万年後の世界』でも地上性コウモリの例として『アフターマン』および『プライミーバル』が言及されている。
登場作品[編集]
書籍[編集]
- 『アフターマン』(1981年)
- バタヴィア列島という5000万年後の島に生息するコウモリが描かれる。感覚器官を花への擬態に利用して虫をおびき寄せて捕食するフローアー、サンゴ礁の分布する浅海で遊泳して魚を捉えるサーフバット、木にぶら下がって果実や昆虫などを摂食するフライトレス・シャロスなどがいる。表紙を飾るナイト・ストーカーは背丈1.5メートル程度の捕食動物で、飛行のために祖先が発達させた前肢を歩行に、枝を掴むために使用していた後肢を手として使用する。目は退化し、音波を受容する耳と鼻葉が発達している[4][5]。
- 『驚異の未来生物: 人類が消えた1000万年後の世界』(2015年)
- 1000万年後の世界を描き、飛翔性と地上性の両方のコウモリが登場する。飛翔性のものとしては、大群で行動して繁殖期に曲芸飛行を行うヴェロキプテルス属、気嚢を獲得して高度7000メートルまで飛行を可能としたギガプテルス属がおり、いずれもメキシコオヒキコウモリの子孫である。地上性コウモリには、最大で体高1メートルに達する四足歩行で吸血性のノスフェラポダ・キンスキーがおり、こちらはナミチスイコウモリの子孫である。
- 『未来の奇妙な動物大図鑑』(2015年)
- ウルフバット、ネルンボルンクテリス、ウミモリ、ワイバーンが登場する。
映像[編集]
- 『フューチャー・イズ・ワイルド』(2002年)
- 氷期を迎えている500万年後の北アメリカ砂漠に生息するデスグリーナーが登場する。昼行性であり、翼開長は1.3メートルに達する[6]。
- 『プライミーバル』(2007 - 2011年)
- 四足歩行の2.5メートルのコウモリが登場した。反響定位能力は健在で、敏捷性に長ける[2]。
関連項目[編集]
脚注[編集]
出典[編集]
- ↑ “国土技術政策総合研究所 研究資料”. 国土技術政策総合研究所. p. 1. 2020年3月12日確認。
- ↑ a b “NHK海外ドラマ 恐竜SFドラマ プライミーバル 古生物ファイル”. NHK海外ドラマホームページ. NHK. 2010年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月12日確認。
- ↑ Naish, Darren. (インタビュー). “Of After Man, The New Dinosaurs and Greenworld: an interview with Dougal Dixon” (英語). Scientific American Blog Network 2018年9月21日閲覧。
- ↑ 岩本恵美 (2019年9月17日). ““もしも”の世界が広がる5千万年後の地球 「アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑 児童書版」”. 好書好日. 朝日新聞社. 2020年3月12日確認。
- ↑ “裳華房 編集子の“私の本棚” 第20回 著者の空想世界で闊歩する,5000万年後の異形の動物たち”. 裳華房. 2020年3月12日確認。
- ↑ “フューチャー・イズ・ワイルド 完全図解”. ダイヤモンド社. 2020年3月12日確認。
参考文献[編集]
- マルク・ブレー、セバスティアン・ステイエ 『驚異の未来生物: 人類が消えた1000万年後の世界』 森健人(監修)、遠藤ゆかり訳、創元社、大阪市中央区淡路町4-3-6、2017年8月23日。NDL:22944210。ISBN 978-4-422-43025-6。NCID:BB24475513。OCLC 1002069050。ASIN: 4422430254。