アースライト・ウォーズ 割れぬ少女と蝉の王
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『アースライト・ウォーズ 割れぬ少女と蝉の王』(アースライト・ウォーズ われぬしょうじょとせみのおう)は、六塚光/著、zinno/イラストによる日本のライトノベル。一迅社文庫刊。
ストーリー[編集]
山王と呼ばれる蝉にも似た姿の神を祀る風習が残されている町、瀬江。そこでは約400年前に起こったある事件を発端に、青木戸と赤間という二つの地区の間で対立が続いていた。
父親の都合で瀬江に引っ越してきた深町勇真はその日の夜、手から光の剣を出現させる能力に目覚める。瀬江の文化への接触や現地の人々との交流を通じ、自らに生まれた力が山王に関係するものなのではないかと考えた勇真は、謎を突きとめるべく行動を開始する。
同じ頃、深夜の町では蝉の頭をした怪人が出没し、住民が行方不明になるという事件が発生する。
謎の怪人との遭遇、そして周囲から忌避されているクラスメイト・聖橋あやめとの交流など、力の正体を追い求める内に様々な出来事を経験していく勇真だったが、やがてそれが瀬江を密かに支配しているものとの対決につながっていくことになる。
登場人物[編集]
主な登場人物[編集]
- 深町勇真(ふかまち ゆうま)
- 本作の主人公。学年は高校一年生。父親とともに都会から瀬江に引っ越してきた。
- 自らの手に発現した光の剣の正体を知るべく、瀬江を奔走する。
- 趣味はスポーツ観戦(特にアメリカンスポーツや冬季オリンピックなど)。
- 以前通っていた中学と高校では剣道部に所属しており、中学の県大会では準優勝したほどの実力を持つ。
- 母親とは既に死別している。
- 聖橋あやめ(ひじりばし あやめ)
- 本作のヒロイン。勇真のクラスメイトで、髪型は黒髪のロングストレート。勇真が転校してくる少し以前に、瀬江に引っ越してきた。
- 口数が少なく、感情を表に出すことがほとんどないため無愛想な印象を持たれやすいが、猫や甘い物が好きなど、年相応の少女らしい一面も持っている。
- 父親が瀬江の土地の買占めを企んでいるという理由から、クラスメイトから避けられている。そのことを心配して話し掛けてくる勇真に対して、最初は素気ない態度を取っていたが、彼との交流が続くにつれ少しずつ心を開くようになっていった。
- 勇真と同じく、母親とは既に死別している。
- 聖橋顕三(ひじりばし けんぞう)
- あやめの父親。瀬江周辺の土地を買い漁り、ニュータウンとして開発しようとしているため、瀬江の住民から嫌悪の目で見られている。
- ビジネスマンらしく、普段は礼儀正しい物言いだが、山王を信仰する瀬江の住民を蔑視するかのような態度を取る。
青木戸[編集]
- 青木戸愛菜(あおきど あいな)
- 勇真のクラスメイトで青木戸の住民。ショートカットの髪型や男性的な言葉使いなど、ボーイッシュな雰囲気を纏っている。
- 転校してきたばかりの勇真に何故か好意を抱き、度々接触してくる。
- 青木戸の住民の例に漏れず、赤間の住民であるクラスメイトの響子とは仲が悪く、いつも口喧嘩をしている。
- 青木戸俊成(あおきど としなり)
- 愛菜の父親。細身の体形と精悍な顔つきが特徴。
- 気さくな性格で、引っ越してきたばかりの勇真に対してもフランクに対応する。
- 趣味はアメリカンフットボール。
赤間[編集]
- 赤間響子(あかま きょうこ)
- 赤間に住む勇真達のクラスメイト。髪型はセミロング。
- 愛菜と同じく勇真に好意を抱き、積極的にアプローチを試みている。同じ目的を持った愛菜とは、相手が青木戸の住民ということもあって激しく対立している。
- 勇真と同じく、冬季オリンピックの観戦が趣味で、特に好きな競技はパシュート。理由は本人曰く、「三人のスケーターが一列になって滑り続ける絵面が面白い」から。
- 休日は父親と剣道の稽古をしている。
- 赤間忠勝(あかま ただかつ)
- 響子の父親。筋骨隆々で体が大きく、娘の響子とは似ても似つかない容姿をしている。その体型に見合った豪快な性格で、人当たりがよい。
- 休日は響子と剣道の稽古をしている。
その他[編集]
- 深町辰人(ふかまち たつひと)
- 勇真の父親。
- 以前は証券会社のトレーダーとして働いていたが、義父である総二郎の死をきっかけに会社を辞め、彼の遺した家に勇真とともに引っ越してきた。理由は本人曰く、「若いうちに一生分の金を稼いでさっさと引退して、あとは田舎で悠々自適に過ごすのが俺の夢だったんだよ」とのこと。
- 引っ越してきてからは、瀬江の郷土研究を行っている。
- 中立総二郎(なかだち そうじろう)
- 勇真の母方の祖父。
- 心臓の静脈瘤によって八十代半ばで死去。
- 生前は郷土研究をしており、瀬江の文化や山王の伝承に関する様々な書籍を遺している。
- 瀬江の住民の間ではかなりの有名人で、彼の書いた書籍は瀬江の一世帯に最低一冊は置かれていると言われている。
- 浜島(はましま)
- 勇真のクラスの担任の若い女性教師。
- 瀬江ではない別の地域出身で、生徒達や瀬江の住民が四六時中いがみ合っていることに苦悩している。
- 安東浩介(あんどう こうすけ)
- 勇真が以前通っていた高校の生徒で、剣道部に所属している。
- 中学の県大会では、勇真を下して優勝に輝いた経緯を持つ。
- 剣道部の特待生として勇真と同じ高校に入学したが、練習試合の際に勇真と事故を起こし、鎖骨を折る大怪我を負う。しかし、事故の当事者である勇真のことを恨んではおらず、彼に再戦を望む内容の手紙を送っている。
- グラコウスキー
- 深町家の飼い猫。名前は「そんじょそこらの猫らしかぬ名前を付けよう」という理由で、勇真が名付けた。
用語[編集]
- 山王(さんのう)
- 瀬江で言い伝えられ、祀られている異形の神。首から下は人間と何ら変わりはないが、頭は蝉そのものという容姿が特徴。戦いの神という位置付けにある。
- 自らの存在を世に知らしめるために、自らの姿に似せて「蝉」という種を作ったという伝承が残されている。
- 山王剣(さんのうけん)
- 瀬江に引っ越してきた勇真に発現した謎の能力。
- 一メートル半ほどの長さの光の棒のような形状をしている。柄の部分は二十センチほどあり、両手で握ることもできる。
- 使用者の意思によって、出力を調整することが可能。勇真は山王剣の出力を手に収まる程度の微弱なものにすることで、夜中に照明代わりとして使用することがあった。
- 投げ槍のように投擲することも可能。
- セミホタル
- 瀬江に生息していると言い伝えられている妖怪の一種。山王の卷族であるとされている。姿や大きさは普通の蝉と全く同じだが、尻の部分が蛍のように光っている。
- 瀬江では夜中になると、山中で小さな光が見えることがあり、その光はセミホタルが放っていると言われている。
- 瀬江(せうみ)
- この物語の舞台で、東北地方に位置する町。
- ライフラインは発達しておらず、スーパーマーケットやコンビニなどは一つもない。街灯も一切なく、冬の季節は日が沈むと真っ先に暗くなり、放射冷却現象によって霧が発生する。
- 青木戸(あおきど)
- 瀬江の地区の一つ。古くから赤間と反目している。
- 赤間(あかま)
- 瀬江の地区の一つ。青木戸とは古来から対立関係にある。
- 中立(なかだち)
- 瀬江において、青木戸と赤間のどちらにも属さない地区。青木戸と赤間の双方が手を出してはならない中立地帯、という意味合いから地名が名付けられた。
- 代々、青木戸と赤間の調停を務める者が住んでおり、勇真の祖父である総二郎もその一人であったといわれている。
- 瀬江神社(せうみ じんじゃ)
- 瀬江に建てられている神社。青木戸と赤間の両方に同じものがある。かつては中立に一つだけ本社があったが、青木戸側と赤間側に分社され、朽ち滅んでしまった。
- 導浄寺高等学校瀬江校地(どうじょうじこうとうがっこう せうみこうち)
- 勇真達の通う高校。一学年の人数は20人強という、非常に小規模な学校である。
作品一覧[編集]
- 『アースライト・ウォーズ 割れぬ少女と蝉の王』 ISBN 9784758041980 (2010年12月20日)