RPGツクール2000
RPGツクール2000(アールピージーツクールにせん)とは、2000年4月5日にアスキーより発売されたWindows用ゲーム制作ツールである。
概要[編集]
PC向けのRPGツクールシリーズ6作目。前作のRPGツクール95で可能だったマウス操作が廃止となり、画面解像度も640*480(VGA)から320*240(QVGA)に縮小された。
基本的にユーザーによって作られたゲームはRPGが多いものの、あまりに万能であった故アクションゲームやシューティングゲームなども作る事が可能となり、更には2Dゲーム向けであるにも関わらず3Dシューティングまで登場してしまった。この進化のためか、これ以降、「RPGツクール」以外の派生ツクールシリーズはあまり発売されていない。
また、今作から「変数」の概念が導入され、それまであった「スイッチ」と組み合わせて活用する事で複雑な分岐も簡単に作る事ができる。現在主流となっているのはRPGツクールMVやMZなどだが、このようなモデルに低解像度モードなどが無い、プラグインなどを導入する必要がなく比較的簡単に制作可能であり、かつ自由度が比較的高いなどの理由で発売から20年以上経った現在も一部中毒者ツクラーの間で使用されることが多い。
廉価版として後述のRPGツクール2000 VALUE!、再廉価版のRPGツクール2000 VALUE!+がアスキーの合併先であるエンターブレインより発売された。
2013年6月30日、多くの旧作ツクールがサポート終了する中、本作は最新OSへの対応やダウンロード版配布が続けられていた。しかし、2020年8月20日のツクールMZの発表と同時に、2021年1月4日にサポート終了することが告知され、サポートが終了した。ただし、現在でも『VALUE+』ダウンロード版の販売は継続されている他、Steamでは英語版の『RPG Maker 2000』が販売されている。
ランタイムパッケージ[編集]
本作の発売当時はまだインターネットがさほど普及しておらず、回線速度も現在と比べると低かった事から、デフォルトで使用可能な素材をユーザーが予めダウンロードしておくことで作品の容量削減を行うことを目的に、「ランタイムパッケージ」(通称:RTP)が配布されている。ダウンロードページから無料でダウンロードでき、ツクールを持っていなくても使用可能。[注 1]
これはVX Aceまで使われたが、インターネットの回線速度の上昇等で必要性が薄まったのか、MVからは廃止されている。
サンプルゲーム[編集]
- 花嫁の冠
- Abyss-Diver#0
- 海賊
- クイーン・クー
- III
- 蠢く闇の砦
- 修道院
の7つである。このうち、『花嫁の冠』以外は素材をツクール2000作品で自由に使用可能である。
RPGツクール2000ハンドブック[編集]
2001年3月に刊行された。制作のコツなどが書かれたものだが、現在は絶版となっており入手は困難。付属CD-ROMにはサンプルゲームとして『いけいけダンジョン』『アクションRPG』『悪魔の塔』の3作が収録された他、限定素材、サンプルゲーム『修道院』のバグ修正パッチが含まれている。後述する廉価版の『VALUE!+』で、このハンドブックに収録された素材のみが収録された。
また、余談ではあるが、日本の図書館では唯一国立国会図書館東京本館にCD-ROM付属で在庫があるので、興味はあるけどいきなり中古で買うのは怖いという方はまずは読んでみると良いだろう。
ただ、同館は書籍等の個人での館外持ち出しを禁止している[1]上、CD-ROMも閲覧こそ可能だが、USBメモリやCD等へのデータ複製はできない[2]ので、CD-ROMは実質無いものとして扱うのが良いかもしれない。「サンプルゲームを遊びたい!」という人は普通に中古で「付属CD-ROM有り」と書かれたものを入手した方が良いだろう。
RPGツクール2000 VALUE![編集]
2003年5月14日に発売された本作の廉価版。一部仕様変更がある他、コンテストパーク受賞作など32本のゲームが作品集として収録されている。
主な仕様変更[編集]
- BGMにMP3ファイルが使用可能になる。[3]
- ピクチャー同時表示枚数が20枚→50枚に。
- イベントコマンド「キー入力の処理」でShiftキーが使用可能に。[4]
- 敵の設定可能な最大HPが9999から99999に増加。
- 戦闘中のイベントコマンドの追加。
- 戦闘アニメがピクチャーの上に表示されるようになる。
- Windows 95が動作保証の対象外となる。
なお、無印でもV1.50以降のアップデータを適用すれば同様の機能が利用できる。
RPGツクール2000 VALUE!+[編集]
2012年9月27日に発売された再廉価版。仕様変更はないが、絶版となった『RPGツクール2000ハンドブック』の付録CD-ROMに収録されていた素材が収録されている。また、ユーザー登録はオンラインに変更された。Windows XP以前の全OSが動作保証の対象外となっている。2000とは。
脚注・出典[編集]
- ↑ 資料を返却して退館する - 国立国会図書館
- ↑ コピー(複写)を申し込む - 国立国会図書館
- ↑ それまでのツクールシリーズではMIDIとWAVEしか使えなかったため、かなりの進歩である。MIDIは音源がマシン環境に左右されるという弱点があった。なお、効果音では使用不可である。他にも、ファイルの仕様上、ループができないというそれなりに痛い弱点がある。
- ↑ デフォルトでShiftキーを使う動作はないため、「Shiftキーを押してセーブ画面を開く」など、ショートカット的に使われる事が多い。
注釈[編集]
- ↑ 但し、対応するツクール作品以外での使用は、対応するツクール作品を購入済みであることが条件となる。