隠し撮り

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隠し撮り(かくしどり)とは、一般的には撮影時に被写体について了承を取らないまま撮影することを指す言葉である。いわゆる盗撮である。一方で密着取材などで「撮影すること」のみの承諾を得ていても「撮影機材の場所」においては隠して撮影されることもあるため、一概にすべてが盗撮かつ犯罪とはいいがたいものである。

本稿においては隠し撮りがなされる場面や手法について記述する。法関係については盗撮の項を参考されたい。

概要[編集]

隠し撮りを行う目的としては撮影対象の調査やドッキリ撮影、またはわいせつ目的など多方面に及ぶ。隠し撮りの対象は人に限らず物や街並みも対象になり、特に機密性の高いエリアや情報を目的に隠し撮りする例も多い。近年では開発中の自動車がプレス公表前に流出した事件もあり、隠し撮り対策はセキュリティ上の重要なポイントにもなっている。また、上映中の映画やミュージシャンのライブなどを撮影し、いわゆる海賊版として流通させるために撮影されることもある。

隠し撮りが行われる例[編集]

わいせつ目的
男女問わず、下着や裸体を撮影するために行われるものである。当然犯罪である。
金銭目的
隠し撮りしたものをネタに不当な要求をしたり、著作権で保護されている映画などを撮影して海賊版として販売するために行われることがある。こちらも犯罪である。
取材目的
独裁国家などは市中の撮影が禁じられていることもあり、そういった国の内情を探る際などに行われることがある。テレビの潜入取材などでも行われることがある。
芸能人の恋愛模様(不倫報道・熱愛報道)を取材するために隠し撮りが行われることもあり、その正当性についてはしばしば物議がかもされる。
捜査目的
捜査機関による隠し撮りは必要な範囲において相当な方法で行われれば適法とされている[1]
リアクション目的
ドッキリ企画などでターゲットの表情を撮影するために行われることがある。この場合は撮影時に被写体の了承を取っていない状態で行われ、のちに承諾をとってから公開されることもある。
諜報目的
国家間の諜報情報を入手するために行われるものから企業間においての経営上の情報を入手するために行われるものがある(産業スパイ)。小型カメラから人工衛星までその手段は最も多様であるといえる。
告発目的
いじめパワハラなど、証拠が残りにくい加害行為を記録するために被害者や第三者が行うものである。
防犯目的
犯罪の抑止や犯行後の証拠保全を目的として行われるものである。防犯カメラはこれ目的である。

手法[編集]

一般的に既存のカメラを利用して行われることが多い。近年では小型で性能の良いアクションカメラスマートフォンもよく使用されるほか、スパイカメラと呼ばれる小型の隠し撮りに特化したカメラまで個人で入手できるようになっている。その一方で犯罪用途にも多く使われることがあり、その入手性の良さが問題として挙げられている[注 1]

スマートフォンに限らず、近年のノートパソコンはベゼル上部にWebカメラを内蔵している機種がほとんどである。そのため、攻撃者がネットワークを通じて侵入し、利用中のユーザの顔写真を勝手に撮影して詐欺サイトにアクセスさせたり[注 2]、脅迫するネタにすることもある。

諜報目的の隠し撮りも古来から行われてきたものであり、要人や開発中の兵器類などが諜報機関のエージェントにより撮影されてきた。現代では人工衛星からの光学的な撮影やSARなど、はるか上空からの情報入手が行われている。産業スパイにおいても隠し撮りは行われており、開発中の製品の試作品や顧客などの重要情報の一部などを撮影して持ち出すことも行われていたという。現在においては前述のように情報機器に不正にアクセスして撮影することもあるとか。

対策[編集]

現時点では隠し撮りを完全に防ぐ手立てはない。しかし、リアルタイムで画像を伝送するシステムを使用する隠し撮りは装置が大掛かりになるため[注 3]、わいせつ目的などの隠し撮りは基本的に実行犯が付近に存在するものである。設置型の撮影機器にしても設置後に回収する必要があるため、実行犯が回収するより前に回収できれば情報の流失は押さえられ、実行犯の姿も確認することができる可能性もある[注 4]

ネットワーク経由で情報機器のカメラに不正アクセスされる件についてはアンチウイルスソフトなどでソフト面でのセキュリティを向上させるほか、カメラを搭載していない機器を選定したりテープでレンズを塞ぐなど物理的な防御も効果がある。企業においてはさらに個人・社有・所属を問わずカメラ付きの情報機器を持ち込ませないようにするなど流出元を絶つという手法もある。

なお、開発中の自動車にダズル迷彩のようなカモフラージュを施したうえでテストコースを走っているのはデザインを隠しつつテストを行うためである[注 5]。この迷彩デザインの詳細を認識させ難くする効果があるといわれているためである。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. いじめやパワハラ、セクハラなどの現場を気づかれずに抑えることができるのは利点であるが、犯罪者はその利点を逆方向に活用してしまう
  2. こちらの場合はかつてのワンクリック詐欺サイトでよく見られたアクセスIPの表示に近い
  3. ワイヤレス伝送の場合は電波も放出するためより発見しやすくなる
  4. スイッチオンで撮影開始するような機種の場合はスイッチを入れた瞬間も記録されるため
  5. 特に近年はドライブレコーダーの普及もあり、公道テストで無意識に撮影されてしまうことも多いから大変だとか

参考[編集]