関西電力役員金品受領問題

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関西電力役員金品受領問題(かんさいでんりょくやくいんきんぴんじゅりょうもんだい)とは、令和元年(2019年10月になって表面化した、関西電力(略称・関電)の金品受領問題(汚職問題)である。高浜町元助役・森山栄治の死後半年を経て発覚することになった。

概要[編集]

関西電力・高浜原発が立地する福井県高浜町の建設会社・吉田開発平成30年(2018年1月金沢国税局の税務調査を受けたのをきっかけとして、関電の役員らが高浜町の元助役である森山栄治から多額の金品を受け取っていたことが発覚する。具体的には吉田開発と森山がかなり深い関係にあり、森山が関電の会長・八木誠や社長の岩根茂樹など20名に合計およそ3億2000万円相当の金品(現金商品券)を渡したとみられており、その見返りに関電は吉田開発に対して平成26年(2014年9月から平成29年(2017年12月まで、社宅や社屋、水道水を貯めるタンクなど8件の工事を特命で発注していたという。

この一連の汚職は平成30年(2018年)9月までの社内調査で判明していたが、関電は公表を恐れて1年間、事実を公表しなかった。しかし平成31年(2019年)3月に森山が90歳で病死。その没後に金沢国税局が森山の自宅を調査すると、多数の金品が発見され、さらに関電役員の氏名と「確かに返しました」との趣旨を記した文書が添えられていたものまで発見された。関電は金沢税務局の調査が始まると発覚を恐れてか、平成30年(2018年)2月に森山に対して受領していた金品約1億6000万円を返還している。また、森山の金品受け渡しが東日本大震災福島第1原発事故の後、一斉に停止された原発を再稼働させようとした時期と重なっており、高浜原発の稼働に汚職が絡んでいた疑いも指摘されている。

ただ、森山は既に死去しており、どこまで汚職が明らかになるかは不透明である。またこの汚職の公表内容などが不十分との指摘が関電に多数寄せられており、そのため関電は外部の識者のみで構成する委員会を設置して再調査することを決定している。また、関電以外にも同じようなことをしている電力会社はあるのではないかとの見方が広まっており、再稼働問題に向けて大きな足枷になることは避けられない見通しである。

2019年10月9日、受領問題の責任をとって岩根茂樹は会長を辞任し、10月18日に中部電力の社長・勝野哲が新会長に就任した。勝野は4か月前まで会長を務めており、再任となる。

関電は但木敬一元検事総長を委員長とする第3者委員会を設置した。また福井県の元幹部も森山から贈答品を受け取っていたことが判明しており、そのため県も調査委員会を設置している。

森山について[編集]

森山は昭和62年(1987年)まで高浜町助役の地位にあり、その地位を退いた後から亡くなる前年の12月まで関電プラントの非常勤顧問を務めていたという。これは原発の設備工事や定期点検を行う関電の100パーセント子会社である。

政治家への献金問題[編集]

2019年10月8日自民党の参院幹事長・世耕弘成が代表を務める資金管理団体・「紀成会」が福井県高浜町の元助役・森山が退職後に相談役として雇用されていた兵庫県高砂市のメンテナンス会社「柳田産業」の社長から2012年から2015年にかけて合計600万円の献金を受けていたことが政治資金収支報告書で判明している。世耕は「純粋な個人の支援者の方からなされた寄付」であり森山との面識はないとしている。