針生誠吉

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針生 誠吉(はりう せいきち、1927年8月17日 -2020年11月3日[1] )は、日本の法学者。東京都立大学名誉教授。専門は憲法、中国法。

東北大学法学部卒業、東京大学大学院公法専攻修士課程修了。法学博士(東京都立大学)[2]

経歴・人物[編集]

仙台市の多額納税者の家の次男として生まれた。1943年3月、旧制仙台一中3年の時、「一中の自由のために」と題した論文で配属将校を厳しく批判する事件を起こし(仙台一中配属将校弾劾事件)、放校にはならなかったが懲罰徴兵を避けるため1944年3月から上海に留学した。敗戦後すぐに帰国し、旧制二高に入学。1950年、東北大学法学部法律学科に入学。1958年3月、東北大学大学院修了。東京大学社会科学研究所への内地留学、成蹊大学を経て[3]東京都立大学法学部教授[4][5]。1991年3月に都立大学を定年退職[3]。1998年時点で青山学院大学講師[6]、2002年時点で早稲田大学講師、日本学術懇談会代表[2]、2003年時点で東京大学大学院非常勤講師、早稲田大学大学院講師、東京大学各研究所非常勤講師[7]

日本の代表的な憲法学者の一人[8]。全国憲法研究会の会員で[8]、1989年から1991年に代表を務めた[9]。1977年に市民団体「小金井を住みよくする会」が発足した際に代表幹事となり[10]、のち顧問となった[11]

英語ドイツ語ロシア語中国語ができる[3][7]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『中国の国家と法――過渡期理論を中心として』 東京大学出版会(東大社会科学研究叢書)、1970年、第2版1980年
    • 『中国の国家と法』 東京大学出版会、1980年(第2版)
  • 『自治体憲法学――創造のための基本問題』 学陽書房(法学選書)、1976年
  • 『日本憲法科学稿――教材・講義ノート 1』 敬文堂、1985年
  • 『日本憲法科学』 敬文堂、1989年
  • 『熟成期天皇制論』 三省堂(現代法学者著作選集)、1993年

共著[編集]

  • 『現代憲法大系 1 国民主権と天皇制』 横田耕一共著、法律文化社、1983年

編著[編集]

  • 『文献選集日本国憲法 15 各国憲法論』 樋口陽一共編、三省堂、1977年
  • 『中国の開発と法』 安田信之共編、アジア経済研究所(経済協力シリーズ)、1992年
  • 『高齢社会と在宅福祉』 小林良二編、日本評論社(都市研究叢書)、1994年/東京都立大学出版会(都市研究叢書)、2001年(復刻版)

分担執筆[編集]

  • 『現代福祉国家論批判』 鈴木安蔵編、法律文化社(学術選書)、1967年
  • 『日本の憲法学――歴史的反省と展望』 鈴木安蔵編、 評論社(憲法理論研究叢書)、1968年
  • 『基本的人権 第1 総論』 東京大学社会科学研究所編、東京大学出版会、1968年
  • 『基本的人権 第3 歴史 第2』 東京大学社会科学研究所編、東京大学出版会、1968年
  • 『日本の憲法判例――その科学的検討』 憲法判例研究会編、敬文堂出版部、1969年
  • 『仁井田陞博士追悼論文集 第3巻 日本法とアジア』 仁井田陞博士追悼論文集編集委員会編、勁草書房、1970年
  • 『現代中国法の基本構造』 幼方直吉編、アジア経済研究所、アジア経済出版会(発売)、1973年
  • 『体系・憲法判例研究――有倉遼吉教授還暦記念 1 総論・統治機構』 和田英夫ほか編著、日本評論社、1974年
  • 『現代法と労働法学の課題――沼田稲次郎先生還暦記念』 沼田稲次郎先生還暦記念論文集発起人会編、総合労働研究所、1974年
  • 『地域と自治体 第5集 現代資本主義と地方自治』 自治体問題研究所編、自治体研究社、1976年
  • 『現代の民事法――川崎秀司先生・重倉珉祐先生古稀記念論文集』小室直人、小林三衛責任代表、法律文化社、1977年
  • 『憲法の科学的考察――上野裕久教授退官記念』 稲田陽一、小林孝輔、星野安三郎刊行発起人、法律文化社、1985年
  • 『日本国憲法の理論――佐藤功先生古稀記念』 芦部信喜、清水睦編、有斐閣、1986年
  • 『戦後憲法学の展開――和田英夫教授古稀記念論集』 和田英夫教授古稀記念論集刊行会編、日本評論社、1988年
  • 『第三世界開発法学入門』 安田信之編、アジア経済研究所(アジアを見る眼)、1992年
  • 『平和と民主教育の憲法論――星野安三郎先生古稀記念論文集』 星野安三郎先生古稀記念論文集刊行委員会編、勁草書房、1992年
  • 『定本憲法の二十一世紀的展開――針生誠吉先生古稀記念論文集』 針生誠吉先生古稀記念論文集刊行委員会編、明石書店、1997年
  • 『戦後法学と憲法 歴史・現状・展望――長谷川正安先生追悼論集』 杉原泰雄、樋口陽一、森英樹編、日本評論社、2012年
  • 『日本国憲法の継承と発展』 全国憲法研究会編、三省堂、2015年

脚注[編集]

  1. 東京新聞2020年11月20日
  2. a b 日外アソシエーツ編『新訂 現代日本人名録2002 3.そ~ひれ』日外アソシエーツ、2002年、1866頁
  3. a b c 法と民主主義2004年12月号 日本民主法律家協会
  4. 佃實夫ほか編 『現代日本執筆者大事典 第3巻 (人名 す~は)』 日外アソシエーツ、1978年、730-731頁
  5. 紀田順一郎ほか編『現代日本執筆者大事典77/82 第3巻(す~は)』日外アソシエーツ、1984年、772頁
  6. 日外アソシエーツ編『現代日本人名録 1998 4. そ~ひれ』日外アソシエーツ、1998年、1593頁
  7. a b 紀田順一郎ほか編『現代日本執筆者大事典 第4期 第3巻(す~は)』日外アソシエーツ、2003年、869頁
  8. a b 「天皇=元首論を憂慮 憲法学者が警鐘」『朝日新聞』1988年12月14日付夕刊7面(文化)
  9. 全国憲法研究会について 全国憲法研究会
  10. 小金井を住みよくする会とは 小金井を住みよくする会とは
  11. 第37回みんなで憲法を考えてみる集いPDF”. 小金井を住みよくする会 (2017年). 2017年10月28日確認。

関連文献[編集]

  • 紀田順一郎ほか編 『新現代日本執筆者大事典 第3巻(す~は)』 日外アソシエーツ、1992年、824頁
  • 小泉義之 「国家の眼としての貧困調査」、天田城介、村上潔、山本崇記編『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』 ハーベスト社、2012年