量子体積

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量子体積(りょうしたいせき、英語:Quantum Volume)とは、量子コンピュータの性能を包括的に評価するための指標。

概要[編集]

IBMの研究者が2017年に提案[1]したベンチマークで、単位の表現としては「1QV」のように表される。量子ビット数・誤り訂正の割合・接続性・並列性などを示す数値から算出されるが、量子コンピュータの計算速度はこの指標に含まれない。

IBMは、古典的コンピュータの半導体の集積率が18か月で2倍になるという経験則「ムーアの法則」にちなんで、量子体積の数が年々2倍になっていく「量子版ムーアの法則」を掲げており、これはIBMの量子コンピューティング開発を牽引してきたジェイ・ガンベッタ博士本人によって「ガンベッタの法則」と呼ばれている[2][3]

歴史[編集]

  • 2017年 - IBM製のシステム「Tenerife」が4QVを達成[2]
  • 2018年 - IBMの「Tokyo」が8QVを達成[2]
  • 2019年 - IBMの「Johannesburg」が16QVを達成[2]
    • 1月8日 - IBMがCES2019にて、16QVかつ20量子ビットのシステム「IBM Q System One」を発表[4]
  • 2020年
    • 1月8日 - IBMがCES2020にて、32QVかつ28量子ビットのシステム「Raleigh」(ローリー)を発表[1][4][5]
    • 7月7日 - 32QVのIBM製量子コンピュータが新たに6台追加される[2]
    • 8月20日 - IBMは自社の27量子ビットのシステムがアップグレードを経て64QVに達したと発表[6]
    • 10月1日 - 米企業IonQが、同社の開発した32量子ビットのイオントラップ型量子コンピュータが推定400万QVに達すると発表[7]
    • 10月29日 - 米企業Honeywellが、同社の量子コンピュータが9月下旬に128QVを達成したと発表[8][9]
  • 2022年
    • 4月7日 - IBMは量子プロセッサ「Falcon r10」が256QVを達成したと発表[10]

出典[編集]

  1. a b IBM Doubles Quantum Computing Power Again-SomagNews”. SomagNews (2020年1月11日). 2020年11月21日確認。
  2. a b c d e いま押さえるべき「量子コンピューティングのいまとこれから」”. IBM (2020年7月22日). 2020年12月2日確認。
  3. 量子優位性時代の到来の鍵となる量子ボリュームとは?”. IBM (2019年6月10日). 2020年11月21日確認。
  4. a b IBM、昨年比で性能2倍の量子コンピュータ「Raleigh」発表 2030年までの実用化に一歩前進 - ITmedia NEWS”. ITmedia NEWS (2020年1月9日). 2020年11月20日確認。
  5. “【イベントレポート】IBM、世界初の単体で動作する汎用量子コンピュータ「Q System One」 - PC Watch”. PC Watch. (2019年1月9日. https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1163693.html 2020年12月2日閲覧。 
  6. IBM Japan Newsroom - ニュースリリース”. IBM (2020年8月21日). 2020年11月22日確認。
  7. 米国のIonQが史上最強の量子コンピュータを開発したと発表、IBMの量子ボリュームの記録を2桁も上回ると主張”. TechCrunch (2020年10月6日). 2020年10月6日確認。
  8. Honeywell QuantumComputerでQuantumVolume128を達成”. Honeywell. 2020年11月20日確認。
  9. Honeywell announces its H1 quantum computer with 10 qubits”. TechCrunch (2020年10月29日). 2020年11月20日確認。
  10. IBM、「量子版ムーアの法則」に従い、256量子ボリュームを達成 ~「2量子ビットゲートは99.9%の忠実度、強力なコヒーレンスタイムを確認」”. アイマガジン|i Magazine|IS magazine (2022年4月8日). 2022年6月4日確認。

関連項目[編集]